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為替介入とFX。単独介入と協調介入、不胎化介入と非不胎化介入の効果の違いを知ろう

為替介入とFXの関係についてまとめる

今回は為替介入とFXの関係についてまとめます。

  • 単独介入と協調介入の効果の違い
  • 不胎化介入と非不胎化介入の効果の違い

などについて基本からまとめています。

 

なぜ為替介入が必要か 

為替は国民の生活に大きく結びつく分野です。どの国も自国通貨が極端に高くなってしまったら産業の競争力が落ちるし、反対に安くなり過ぎれば資本流出や物価上昇などに悩まされることになります。

日本のように安定している国の場合は、主に円高(自国通貨高)による仕事の海外流出が問題視されるケースが多いですね。

反対に、アジア通貨危機時の東南アジアのように、国内に資本が蓄積されていない場合は、自国通貨安は海外への支払い能力に影響するため経済危機に直結します。

このように為替は一国の経済に大きな影響を与えるにもかかわらず、しばしば極端な値動きをすることがあります。

変動相場制というのは市場の調整機能によって適切な為替レートを実現する手段ですが、市場の参加者である投資家も手探りであるべきレートを探っている以上、為替市場の行き過ぎは避けられないものです。

そのため、政府や中央銀行は為替レートを注視しており、為替レートが極端な水準にあると判断した場合には為替介入を行うのです。  

 

単独介入と協調介入の違い

為替介入は中央銀行や政府(国家)といった巨大な存在が為替市場を動かそうとするものなので、FX市場に大きな影響を与えます。

しかし、その効果は為替介入の種類の違いによって大きく異なります。

効果が限定的な「単独介入」

単独介入とは、文字通り一国が為替市場に単独で介入することです。

一国単位で行うため、その国にとって都合が悪い為替水準にあれば、いつでも起こりえます。一つの国の都合だけで実施できるので、機動性が高いのです。

しかし、それで為替市場を自由に動かせるかというと、うまく行かないケースも多いのです。

日本が為替介入を行う場合は、一連の為替介入で10兆円近く使うケースがあります。欧州債務危機の影響で円高が加速した2011年10月末から5日間で9.1兆円の資金を使って為替介入しました。

しかし、それによって為替市場の流れが変わったかと言えばそんなことはなく(介入効果は短期に留まり)、その後も日本は円高に苦しみ続けることになります。

為替市場の流動性は非常に高く、1日で500兆円もの金額が売買される市場です。

日本が介入に使った10兆円近いお金は、(大きな金額なので一時的に為替レートを円安誘導することはできるが)500兆円もの流動性がある為替市場の流れを反転させるような力はないわけです。

効果抜群の「協調介入」

一国の判断で勝手に行う「単独介入」とは対照的に、複数の国で連携して行う「協調介入」というものもあります。協調介入は、単独介入と違いFX市場に絶大な影響力を持ちます。

なぜ協調介入が効果的と言えば、複数の国が絡むので単純に介入できる金額が大きい、というだけではありません。

「為替をこっちの方向に動かそう(動かすべきだ)」という国際的な合意が出来ているという事実が重いのです。

どういうことかというと、単独介入なら、日本が円安ドル高を望んでいたとしても、米国は自国通貨高を望まないかもしれません。むしろ望まないケースはかなり多いでしょう。

為替介入をする国に、反対する立場の国があれば、かならずけん制が行われます。そうした状況下で、自国の利益だけを考えて長期間介入するというのは、国際的な問題に発展してしまいます。普通の国はそうした国際問題は避けようとするので、為替介入を長期間にわたって行うことはしません。

となれば、単独介入にはタイムリミットがあるので、為替市場のプレーヤーから足元を見られやすくなります。

 

しかし協調介入ならどうでしょう。

国際協調がとれているので、反対する国はありません。

複数の国の政府が大量の資金で介入するうえに、国際協調下で行うという為替介入であるので、際限なく介入してくる可能性があります。

為替市場の投資家だとしたら、世界中の政府の向こうを張って戦うことは無意味だと思うでしょう。

だから協調介入は成功率が高く、効果的なのです。

ちなみに有名なプラザ合意もその後の先進5か国(5G)による協調介入で、ドル安トレンドを作り出すことになります。

 

ここまでで以下のことが分かりました。

  • 単独介入の効果:限定的
  • 協調介入の効果:非常に大きい

 

不胎化介入と非不胎化介入

為替介入について話題になる時に、単独か協調か、だけでなく、不胎化か非不胎化かということも話題になります。

この場合の胎化とはインフレ(率の変動)を指します。

不胎化介入とは

為替介入を行うと、介入資金を得るため政府が資金を調達します。

それにより市中(経済)に出回るお金の量(ベースマネー)が変化して、インフレ率に影響を与えます。

このインフレ率の影響を排除しようとするのが、不胎化介入です。

介入によって増減したお金を、中央銀行が吸収(または放出)して補います。

それによってお金の量(貨幣量)の変化を抑えて、インフレ率を変えずに、介入効果だけを得ようとする介入方法です。

具体例は、下の非不胎化介入の個所で示しますのでご覧ください。

非不胎化介入とは

非不胎化介入とは、介入によって変化した貨幣量をあえてそのまま放置します。

放置することによって、より大きな介入効果を目指すって言ってもよいかも知れません。

ちょっとこれは難しいので、どういうことかと具体的に説明します。

 

日銀が円売り介入をすると、日本に円資金が増えます。

この増えた資金を日銀が吸収するなら、不胎化介入になります

一方で、非不胎化介入は円売り介入によって日本に円資金が増えてもそのまま放置です。

放置することでインフレ率は上昇しやすくなります(昨今のようにデフレ色が強くなく前の状態で考えてください)。

インフレ率の上昇は、その国の通貨(この場合は日本円)の売り要因(購買力が下がるので)です。

円売りで直接為替市場に働きかけるだけでなく、インフレ率の上昇を通じて二重に為替市場に円売りを促すイメージです。

 

そのため、非不胎化介入は不胎化介入より効果的とみなされています。

 

非不胎介入>不胎化介入

 

なお、日本の介入の仕組みは自動的に不胎化介入になる仕組みになっているのですが、外国人はそんなことを知らないことが多いので非不胎化介入のうわさが流れると為替市場は大きく反応します。

 

覆面介入と口先介入

覆面介入とは

日本は基本的には為替介入を行うと直後に介入実施を公表します。

しかし、場合によっては介入を隠す(公表を控える)ことがあります。

なぜこのようなことを行うのか説明します

 

介入直後に公表しなかったとしても、為替介入の結果は毎月公開されます。すなわち、多少知らせることが遅れても、すぐに為替市場は介入の実施を知ることになります。

 

しかし、のちになって、実はあの時日本が覆面で介入していたってことが知られることで、今後も覆面でいきなり介入してくるかも知れない、という疑心暗鬼を植え付けられます。

(単独)為替介入では長期的なトレンドは作れないと説明しましたが、短期的には十分レートを動かす力を持っています。

取引を行った直後に、覆面で介入されて、自分の不利な方向にレートを動かされるかも知れないと思えば、自ずと日本政府の望む方向(大抵は円安)に逆らうポジションは取り低くなります。

覆面介入は、そうした効果を狙っていると言われています。

 

なお、金融政策の透明性が求められる最近では、覆面介入は国際的な非難さらされやすくなっています。

口先介入とは

こっそり隠れて為替介入することでより大きな介入効果を狙うのが覆面介入だとしたら、あえて「やるぞやるぞ」ということで介入効果を狙うのが口先介入です。

よく政府関係者が

「為替市場は極端な値動きになっている」

「ファンダメンタルズからみて正当化できない円高水準になっている」

「投機的な動きには断固とした措置をとるつもりだ」

などと、為替市場をけん制する発言が出ますが、こういうのを口先介入と言います。

口先で、今の為替レートには疑問(不満)を持ってますよっていうことで、為替介入を匂わせて為替市場をコントロールしようというものです。

為替介入には実弾(お金)が必要ですが、口先介入は言葉だけで済むので低コストでいくらでも行えます。

 

こうした手段を駆使して、国は為替市場で影響力を持とうとするわけですね。

10万円以上の治療費等を払ったら、医療費控除で確定(還付)申告しましょう

医療費控除で還付金ゲット

10万円以上の医療費を支払った場合、確定申告することで還付金が戻ってきます(所得税を支払っている場合)。

この医療費の定義ですが、1月1日から始まる1年間です。

期間:1月1日から12月31日

5年間訴求可能

還付の請求は5年間さかのぼれます。わたしも今回2年前の医療費控除について申告する予定です)

だから、医療費控除の制度を知らなかったり、申告を忘れてしまっていたとしてもあきらめないでください。

過去を遡って医療費控除などの申告をすることを、専門用語では「更正の請求」って言って、還付請求しなかった(間違って申告した)ので、申告内容を修正してくださいって税務署にお願いすることです。

対象となる医療費

1 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)

 

2 治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)

 

3 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価

 

4 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。)

 

5 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれますが、所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費になりません。)

 

6 助産師による分べんの介助の対価

 

7 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価

 

8 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額

 

9 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの

 

(1) 医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの(ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれません。)

 

(2) 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、義歯などの購入費用

 

(3) 傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代(この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。)

 国税庁HPから引用

No.1122 医療費控除の対象となる医療費|所得税|国税庁

 

以前確定申告のやり方としてふるさと納税の寄付金控除を例に、国税庁のHPから申告書の作成方法を説明しました。

基本的に前回のやり方に沿って説明します。

この記事単独で医療費控除の還付申告の役に立つようにしたいため、重複部分も基本的に載せていきます。

 紙の申告書を作成して税務署に提出しても良いのですが、ネット環境があればやはり国税庁のHPから作っちゃって、プリントアウトして提出するのが楽だと思います。

以下、国税庁のHPから所得税(および住民税)の還付申告書を作成する手順をご説明します(e-taxを使えばもっと便利かも知れないが、電子証明書、ICカードリーダーが必要なため断念した)。

 

 

前回と同様、国税庁の申告書作成ページから作りましょう

https://www.keisan.nta.go.jp/h25/ta_top.htm

上のリンクをクリックしてください。

 

事前に用意するもの

・勤務先からの源泉徴収票(人事部などから取り寄せてください)

・支払った医療費を証明できるもの(領収書など)

 

まず出てくるのがこのページです。

赤く囲んだ部分をクリックして進んでください。

 

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次にe-Taxは使わない前提なので右の書面提出をクリック。

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PCなどの環境確認後、チェックを入れて進んでください。

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還付の申告ですので、上から2番目の赤く囲ったところをクリックしてください。

所得税及び復興特別所得税の確定申告書を作成、です。

 

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過去に申告したことがあれば、過去年分のデータが使用できるようです。わたしは初めてなので無かったのですが、申告経験がある方は積極的に利用するのが良さそうです。以下、過去年分のデータが無い前提で進めます。

 

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たいていの人は、自分の勤め先からの給与所得だけだと思いますので、その場合は一番左の「給与が1か所の方」から進んでください。

転職している場合は2か所になるので気を付けてくださいね。

給与所得が1か所とっていう意味は、同時に1か所ではなく、年内を通じて1か所って意味なので、転職した場合は2か所から給与所得を貰っていることになります。

以下、1か所からしか給与をもらっていない人の例で進めます。

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印刷して提出する前提なので、黒く囲ったところをチェックしてください。

また、生年月日を入力してください。

 

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源泉徴収票を見ながら以下の項目を入力してください。

源泉徴収票と同じ作りなので、見比べればすぐ入力できると思います。

黒囲いは必須。オレンジは住宅ローン組んでる人は入れてください。

 

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重要ポイントですが、ここで医療費控除以外の控除がある人は画面下部の黒囲いからそれらについても入力してください。

社会保険料控除とか生命保険(わたしは入ってないけど)とかある人が多いと思います。

 

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その後、進めると、以下の画面が出てきます。ここでいよいよ医療費を入力します。上から2番目の医療費控除をクリックしてください。

また、それ以外の控除がある人は、それらにすべてついても入力してください。

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医療費控除の入力方法

医療機関からの領収書等をお手元に用意してください。

画面の赤で囲った場所をクリックしてください。

(ご自分で医療費の明細書をすでに作成している場合は、医療費の合計額のみ入力するでも大丈夫です。医療費の明細書は作成していない前提で進めます)

「医療費の領収書を治療ごとに入力する」

「入力項目に直接入力する」

とチェックします。

 

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あとは、領収書一枚ごとに入力していきましょう。

面倒ですが、がんばりましょう♪

 

入力がすべて終われば、申告書がPDF化されます。

電子申告してもよいのですが、現在の制度だとあまりメリットはないので、わたしは印刷して紙で提出することにします。

こちらがおすすめですね。

 

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日銀の金融政策変更の歴史と為替市場の動向

日銀の金融政策変更の歴史を振り返る

円相場に大きな影響を与えてきた日本銀行の金融政策。金融政策の歴史ってブレトンウッズ体制とか大昔の出来事についてはよくまとまっているけど、最近の出来事ってあまり整理されていないと思うので、ここ20年くらいの歴史をまとめます。

その時の、円相場の水準および日経平均株価の動向とともに金融政策変更の歴史をまとめます。為替の大きな流れがわかるようにしたいと思います。

なお、日銀が大きな金融政策の変更を行ったら随時追加します。

 

清水総裁時代:量的緩和、ゼロ金利政策の導入期(1998年3月~2003年3月)

速水日銀総裁の時代

速水日銀総裁はITバブルの発生と崩壊を経験した総裁です。為替市場はドル円140円超、日経平均株価も20,000円超を経験しながらもその後は地獄を味わいます。

ただし、ITバブル崩壊後は相当な金融市場の混乱を経験します。リーマンショック時ほど急激ではないものの、株価の値下がりの値幅を見るとリーマン級の下落幅になっていますね。面白いのは、為替市場の調整はあまり見られなかったこと。

速水日銀総裁は日本だけでなく現在世界中で行われている量的緩和という非伝統的な金融政策の基礎を作った人だと思います。この政策は、リーマンショックから始まる金融危機に各国の中央銀行が対抗する手段になりました。

アメリカのQEが有名ですね。

速水日銀総裁時代のドル円と日経平均

 

速水日銀総裁の金融政策

1998年3月 速水日銀総裁に就任 。

1998年9月 無担保コール・オーバーナイト物金利の誘導目標を0.25%に引き下げた。この辺でゼロ金利の足音が聞こえる。

1999年2月 ついにゼロ金利政策を導入し、オーバーナイト物金利を一段と低めに誘導。

2000年8月 オーバーナイト物金利の誘導目標を0.25%に引き上げ(ゼロ金利政策の解除)

2001年2月 オーバーナイト物金利の誘導目標を0.15%に引き下げ。ゼロ金利解除が間違えだっと認めるような決断。

2001年3月 金融政策の操作目標を金利から日銀当座預金残高に変更し、目標を5兆円。(量的緩和政策の導入及び実質ゼロ金利政策への復帰)。ここから始まるゼロ金利と量的緩和の歴史。

2001年8月 当座預金目標を6兆円に。長期国債買入(買切 オペ)額を月2000億円増額し6000億円。

2001年9月 当座預金目標を6兆円超に。公定歩合を0.10%に引き下げ。

2001年12月 当座預金目標を10‐15兆円に引き上げ。国債買入額を月8000億円にした。

2002年2月 国債買入額を月8000億円から1兆 円に増額。

2002年9月 銀行保有株買い取りを決定。10月に発表した基 本要領で、総額2兆円の上限と買入を行う期間 を2003年9月までと規定。

2002年10月 当座預金目標を15‐20兆円に引き上げ、買い切りオペである国債買入額を月1兆2000億円とした。

福井総裁時代:量的緩和の解除、金利の引き上げを行う(2003年3月~2008年3月)

福井日銀総裁の時代

福井総裁の時代は、景気(金融市場)的に大変良い時代でした。ITバブル崩壊からの回復局面にあり、リーマンショック前の好景気に繋がる局面を総裁として経験しています。2006年3月9日には、量的緩和政策を脱却しました。日銀プロパーの福井総裁としては5年超続いた量的緩和という非伝統的金融政策から脱却できたことはうれしかったでしょうね(日銀では政治の圧力を跳ね返したって意味で、引き締め政策を採ることを勝利と捉える、といわれている)。

任期後半では、サブプライムローン問題や大型ヘッジファンドの閉鎖など、その後のリーマンショックの発端となるような事象が起きており、金融危機の入り口に立っていたことになります。

福井日銀総裁時代のドル円と日経平均

福井日銀総裁の金融政策

2003年3月 福井日銀総裁に就任。

2003年9月 銀行保有株買入れ期間を2004年9月まで延長 同年4月–翌1月 段階的に当座預金目標を30兆-35兆円まで引き上げ

2006年3月 量的緩和政策を解除。金融市場調節の操作目標 を日本銀行当座預金残高から無担保コール・ オーバーナイト物金利に変更。このころは金融市場に限れば、景況感はかなり良かったので、量的緩和解除も納得できるところ。

2006年7月 ゼロ金利政策解除。無担保コール・オーバーナ イト物金利の誘導目標を0.25%に引き上げ。過去ではなく、将来の物価見通しから金融政策を決める(「ビハインド・ザ・カーブ」型だから「フォワード・ルッキング」型にシフト)「新たな金融政策運営の枠組み」を導入。

 

白川総裁時代:リーマンショックに遭遇し立て直しに奔走(2008年4月~2013年3月)

白川日銀総裁の時代

白川日銀総裁は、ねじれ国会を利用した民主党の日銀総裁承認拒否戦略の結果として誕生した総裁でした。その後に誕生する民主党政権時代を通じて日銀総裁を務め、安倍政権誕生とともに勇退しました。

任期中にリーマンショック、東日本大震災が発生する不幸な総裁でした。また、就任時から過度に緩和的な政策を取る弊害を強調するなど、引き締めバイアスが強い印象があります。

世界各国が金融緩和競争に出る中で、日銀の政策は出遅れることになり、日本は強烈な円高に直面することになりました。

潜在成長率を引き上げてこそ経済問題は解決するってスタンスをもっており、迷走する政治の代わりに日銀が成長資金融資などを通じて日本の潜在成長率を引き上げようと努めました。

下に掲載しますが、大きな金融危機と大災害に対応するため頻繁に政策を発表しますが、政策を小出しにする印象を金融市場に与えており、効果は限定的でした。

本格的に為替市場のトレンドが反転するのは、総選挙で民主党が大敗して、安倍政権への期待が盛り上がる任期最終盤でした。

白川日銀総裁時代のドル円と日経平均

白川日銀総裁の金融政策

2008年4月 白川日銀総裁に就任

2008年10月 リーマンショックの発生を受け、無担保コール・オーバーナイト物金利の誘導目標を0.30%に引き下げた。銀行が日本銀行に預ける当座預金のうち、所要準備額を超える金額について利息を付す補完当座預金制度を臨時に導入した。利率は 0.1%。

2008年12月 リーマンショック後金融危機がもたらした2番底で、追加の利下げが必要な状況となり、無担保コール・オーバーナイト物金利の誘導目 標を0.1%に引き下げ、国債買入(買切オペ)額 を月1兆4000億円に増額、買入対象国債に30年債、変動利付国債および物価連動国債を追加。 また残存期間別の買入れ方式を導入。企業金融 支援特別オペの実施を発表。

2009年3月 国債の買入れ額を月1兆8000 億円ペースに増額。また買入残高上限1兆円の 社債買入れを2009年9月30日まで実施することとした。

2009年7月 社債買い入れ、CP等の買い入れ、企業金融支援特別オペの期限を同年12月31日まで延長。

2009年12月1日に開かれた臨時政策委員会・金融政策決定会合にて、10兆円程度の固定金利(無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標水準)、 期間3ヶ月、国債、社債、CP、証貸債権など全 ての日銀適格担保を担保とする資金供給手段 の導入を発表。

2009年12月18日の定例会合後「『中長期的な物価安定の理解』の明確化」を発表。

2010年3月 固定金利方式・共通担保資金供給オペレーショ ンの規模を10兆円から約20兆円に増額。

2010年4月 議長、成長基盤強化の観点から、民間金融機関 による取り組みを資金供給面から支援する方 法について検討を行い、改めて報告するよう、執行部に指示した。実質上の導入指示で総裁の強い思いを感じるところ。

2010年5月 成長基盤強化を支援するための資金供給の骨子策案を発表。貸付時の無担保コールレート・ オーバーナイト物の誘導目標水準での、共通担保を担保とする貸付としての資金供給(原則1 年)。

2010年6月 成長基盤強化支援のための資金供給策の融資・投資対象分野を発表。貸付総額の上限は3 兆円(一回当たり1兆円を限度とする)、対象金融機関毎の貸付限度額は1,500億円とし、貸付 受付期限を2012年3月末までとする方針を発表。

2010年10月 ①政策金利の0%~0.1%への引き下げ、②「中期的な物価安定の理解」に基づく時間軸の明確 化、③資産買入等の基金の創設の3つの措置からなる、「包括的な金融緩和政策」の実施を発表。資産買入等の基金は総額35兆円、資産買入 は5兆円に。 

 

2011年3月 東北地方太平洋沖地震による悪影響を考慮して、資産買入等の基金を5兆円増額し、40兆円程度とした。
2011年4月 被災地の金融機関を対象に、長めの資金供給オペを実施することを決定。

2011年6月 成長基盤強化を支援する資金供給の一環とし て、対象先金融機関が出資やABL(動産・債権 担保融資)等の残高の範囲内で借入れを行なうことが出来る枠を新たに設定。貸付限度額は 500億円(従来の1500億円とは別に設定)。貸付期間は原則2年(最長4年)。金利は0.1%。FRB との米ドルスワップ取極を2012年8月1日まで 延長すると発表。
2011年11月主要6中銀(米国FRB、カナダBoC、英国BoE、日本BoJ、欧州ECB、スイスSNB)、 国際短期金融市場の緊張への協調対応策を発表。米ドルスワップに適用される金利を 50bp引き下げ、新しい金利をUSD OIS+50bpとした。

2012年2月 中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な 物価上昇率として「中長期的な物価安定の目途」 を導入。当面は消費者物価の前年比上昇率1% を目指すこととした。資産買入等の基金を55 兆円程度から65兆円程度に増額することを決 定。 同年3月 成長基盤強化を支援するための資金供給を拡充することを決定。(円貨・外貨建て)貸付総 額は3.5兆円から5.5兆円に増額。

2012年10月 資産買入等の基金を80兆円程度から91兆円程度に増額することを決定。長期国債、短期国債 各5兆円に加えて、そのほかの資産の買い入れ額も増加。「貸出増加を支援するための資金供 給の枠組み」を創設。金融機関の貸出増加額について、低利・長期で 資金供給することを決定。資金供給は無制限。 政府と共同で、「デフレ脱却に向けた取組について」と題する文書を公表。 

2012年10月 財務省及び日本銀行、韓国企画財政部及びBoK との協議の上、日韓通貨スワップの時限的な増 額部分を2012年10月31日に予定通り終了することを決定。

2012年12月 資産買入等の基金を91兆円程度から101兆円程 度に10兆円増額。短期国債、長期国債をぞれぞれ5兆円増額。次回金融政策決定会合において、 金融政策運営にあたり目指す中長期的な物価 の安定について検討を行うことを決定。

2013年1月 ①「物価安定の目標」を導入することと、②資産買入等の基金について「期間を定めない資産 買入れ方式」を導入することを決定。物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率2%とし、2014年初から、期限を定めず毎月一定額の金融 資産を買い入れる(当分の間、毎月、長期国債 2兆円程度を含む13兆円程度の金融資産の買入れ)方式を導入。

黒田総裁時代 積極的な金融政策で為替市場は反転(2013年3月~)

黒田総裁は就任前の日銀の政策が歯がゆくて仕方なかったのでしょうね。

財務官として為替市場にかかわってきた経験も活かして、金融政策は市場の裏をかくのような果断なものが増えます。異次元緩和や量的・質的緩和など分かり易いキャッチコピーで

成長志向が強い政権との相性も良く、日経平均は20,000円を突破、為替市場もドル円が120円を大きく上回るの水準まで円安が進みました。

ただ、直近では世界的な景気悪化の影響もあり、一本調子の上昇とはいかなくなりました。ここからが正念場でしょうね。

黒田日銀総裁時代のドル円と日経平均

黒田東彦日銀総裁の金融政策

2013年3月 日銀総裁に就任

2013年4月 「量的・質的金融緩和」の導入(QQE1)を決定。マネタ リーベースを金融市場調節の操作目標とし、年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行うことを決定。また、長期国債買入れの拡大と年限長期化(保存残高が 年間約50兆円に相当するペースで増加し、平均 残存期間を7年程度になるよう買入れを行う)、 ETF、J-REITの買入れの拡大(それぞれ年間約 1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加。 CP等、社債等についてはそれぞれ2.2兆円、3.2 兆円の残高まで買入れたあと、その残高を維持) を行うことも決定。
「量的・質的金融緩和」を2%の物価安定目標実現に必要な時点まで継続することを決定

「量的・質的金融緩和」の導入 に伴い、

・資産買入等の基金の廃止

・銀行券ルールの一時適用停止

・市場参加者との対話の強化を実施する

ことを決定。被災地金融機関 を支援するための資金供給オペの貸付受付期 間を2014年4月30日まで延長。

2014年2月 「貸出増加を支援するための資金供給」と「成 長基盤強化を支援するための資金供給」について規模を2倍としたうえで、1年間延長することを決定。

2014年10月 「量的・質的金融緩和」の拡大(QQE2)を決定。 マネタリーベースが年間約80兆円(約10~20 兆円追加)に相当するペースで増加するよう金 融市場調節を行うとした。

また、長期国債買入れ拡大+年限長期化と、ETF、J-REITの買入れ拡大(それぞれ年間約3兆円(3倍増)、年間約900億円(3 倍増)に相当するペースで増加)を併せて発表した。

2015年4月 「展望レポート」で、2%の「物価安定目標」 の目標達成時期見通しを従来の「2015年度を中 心とする期間」から「2016年度前半頃」に先送 りした。

2015年6月金融政策決定会合において、金融政策に関するコミュニケーション方法の変更を発表。

2016年1月から 金融政策決定会合を年8回開催すること、「展望レポート」を年4回公表することなどを決定した。

2016年1月29日の決定会合ではマイナス金利の導入を発表した。-0.1%の金利適用で日本もいよいよマイナス金利の世界に入った。しかし為替市場は発表直後こそ円安に振れたが、米国の景気回復に疑念が持たれ始めていたこともあり徐々に円高傾向となる。

 

2016年7月の金融政策決定会合では、ETFの買い入れ額増額を発表。6兆円の買い入れ額を確保し、従来の3.3兆円の買い入れ額から倍増へのこだわりを見せた。

ただし、為替市場はマイナス金利の深堀を予想していたこともあり、為替市場は円高で反応。

 

2016年9月の日銀は10年国債の金利をゼロ近傍にする新たな長期金利コントロールを導入。これは国債の長期から短期までの金利構造を管理することを目的としており、イールドカーブコントロールとも見られる。

量ベースの金融緩和に限界が見えてきているとの見方が強まるきっかけになり、為替市場は円高に繋がった。 

 

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ビッグマック指数とは。為替レートの決定理論の一つです。

ビッグマック指数についてまとめ

ビックマック指数とは何か、についてご説明します。

為替レートというのは各国の通貨の比率ですので、各国の経済的な力関係から適切な比率(為替レート)を見出そうという考え方があります。

「ビッグマック指数」そうした経済力をベースにした為替レートの決定理論の一つになります。

ビックマック指数についてまとめます。

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ビッグマック指数とは

ビッグマック指数とは、ビッグマックの値段で各国の物価水準を推し量ろうとするものです。ビッグマックは世界各国で(基本的に)同じものなので、比較対象とするのに最適ってわけですね。

同じもの(ビッグマック)が、違う値段である→物価水準が違う

ってイメージです。

 

本来同じもの(ビックマック)の値段は同じであるはずですが(一物一価の法則)、同じ値段でないならそれは為替レートがおかしい(為替レートを通じて調整すべき)って考え方ですね。

 

この指数は英国のエコノミスト(職業ではなくて経済紙の名前)誌が1986年に考案しました。 

なぜビッグマックが指数として使われるのか

なんでビッグマックが指数として使われるかと言えば、その国の商品の調達力がビックマックに端的に反映していると考えられているからです。

牛肉、小麦といった西洋社会では主要な食料を使っており、その値段は食料全体を代表するとみられます。

また、店舗で提供している商品なので、家賃などの不動産関連コストやバイト代などの人件費、配送のための物流費など幅広くその国の実力を反映しているとみられています。

 

だからビッグマックが選ばれているのですね。

 

ビッグマック指数の実例

以下、一覧表(ビッグマック指数は本来はドル建てですが、円ベースに直しております・1ドル105円前提)

ビックマック指数

 

やはり欧州それもユーロゾーン以外の国が高いですね。スイススウェーデンノルウェーの通貨がユーロ安のあおりで以下に高騰しているかが分かります。

イギリスについては、計算方式的に直近のポンド安が織り込み切れていないので実際はもっと低いです。

ユーロ圏の先進国の中で、フランスが最も高いのはフランスの労働者が政府の政策などで優遇されている可能性が高い(だから競争力がない)、などいろいろ読み取れちゃうものもあるかも知れないですね。

 

 

対日本で見ると

日本基準のビックマック指数

このようになります。

 

日本は物価があまり高くないですよね。

 

この表をみて、「日本はもはや豊かでない」っていう主張を見かけることがありますが、その解釈はちょっと違うんじゃないかなって思います。

日本とタイ、ハンガリー、チェコがほぼ同じ水準になっている段階で、感覚的にもこれで豊かさを示すのは無理があるのですが・・・

 

「一人当たりGDP」を見て豊かさの議論をするならまだしも、「ビッグマック指数」は物価の指数なので豊かさを議論するには適さないのですよね

物価の高い国は豊かな国である可能性は高いですが、イコールではありません。

 

ロジカルには、日本の生産性が高いことで、同じ商品を安く提供できているって解釈すべきです。

日本みたいに整理された物流網が、日本よりビックマック指数が上位の国にあったらって考えると結果は同じとは思えないですよね。

物価の高い国は人件費の高さを通じてビックマック指数が高くなりがちですが、それは物流などの生産性の違いによって覆ることも多いのです。アルバイトが優秀な国なら、一人当たりの人件費は高くても、少ない人数で店舗を運営できるので、トータルの人件費はむしろ安くなるってこともあり得ます。

そうした、もろもろの要素を複合したのがビッグマック指数なわけですね。

 

購買力平価説とは

ビッグマック指数とは購買力平価説に基づく考え方です。購買力平価説とは為替レートの決定理論の一つです。

(絶対的)購買力平価説とは、為替レートは2国間の通貨の購買力によって決定されるという説です(上昇率にフォーカスする相対的購買力平価説もあるが省く)。

 

簡略化して説明すれば、

同じものは同じ値段のはず。もしそれが、同じ値段でないならば、それは為替レートの調整によって同じ値段になるべきであるって理論です。

上で説明したビックマック指数の説明そのままですね。

ビックマック指数はビックマック1つをもって簡易的に購買力平価を計算しているということが出来そうです。

 

これを意識しながら上の表を見ると、クローナクローネの北欧通貨、スイスフランなどは過大評価されてるって言えそうですね。

まあ、これらの通貨はユーロの代替としての需要が強い、などの背景があるのですが。

あと、ドル高を反映して米国のビックマック指数も高くなっています。

※ ビッグマック指数も半分お遊びのような指標(ビッグマックの大きさは国によって違う、消費税を調整する必要があるなど)ですし、購買力平価説自体も説明力は限定的なので、参考程度にご利用ください。

 

債券ニュースの読み方はFXにも役立つ。金利構造の違いで上昇する通貨はわかるよ

FXに影響を与える債券ニュースの読み方

債券のニュースって理解しにくいと思いませんか?

私は社会人になったばっかりの頃、そう思ってました。

株式のシンプルさに比べて、債券って特殊な用語が多くて難しいな~って。

でも当然のことですが、金融市場って全て繋がっていて、各国の金利は為替に影響を与えるし、為替は株式に影響を与えます。

特に債券の金利と為替(FX)の関係はとても深くて、債券ニュースを知ることは為替ニュースを理解することにもつながります。

 

なので、自分のメインでやってる市場(例えば為替、株式)以外の知識も一定は必要かなぁ~って思ってますので、債券ニュースの読み方解説(基礎用語と基本的な考え方のみ)をやってみます。

 

下のニュースを題材にします。

米国債(20日):利回り曲線フラット化、縮小見送り観測外れ - Bloomberg

 

いきなりタイトルからわかりづらいのですが、

利回り曲線(イールドカーブ)とは

債券は償還期間(元本が戻ってくるまでの期間)がさまざまに分かれていまして、それぞれに異なる金利水準となります。一般的に短期金利は低く、長期金利は高くなります。

イメージこんな感じです。

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(図の出来が悪いですが)伝えたいイメージは、この棒グラフの頂点を結んだ曲線?が利回り曲線ってことです。イールドカーブって呼ぶことが多いです。この曲線の形状は、その時のマーケットが織り込んでいる事象しだいで様々です。ただ、特殊なケースを除いて右肩上がりになっているってことは大きな特徴です。

 

フラット化とは

利回り曲線は右肩上がりなのですが、フラット化とはこの曲線の勾配がなだらかになることです。

フラット化するパターンとしては、以下のパターンがあると思いますが、それぞれ名前がついてます。

長期金利が(短期金利以上に)低下する → ブルフラット

短期金利が(長期金利以上に)上昇する → ベアフラット

短期金利が上昇し、長期金利が低下する → ツイストフラット(図の矢印方向にねじれて移動)

 

スティープ化とは

反対にスティープとはなんでしょうか? 

フラット化の反対で、上の図の金利の構造が急こう配になることです。イールドカーブの傾きが急になるのでスティープ(急こう配)化ってことですね。

具体的には、長期金利が短期金利以上の上昇すれば、傾きは急になるのでスティープ化ってことになります。

より詳しく分類すると以下のようになります。

長期金利が(短期金利以上に)上昇する → ブルスティープ

短期金利が(長期金利以上に)上昇する → ベアスティープ

 

 

これを実際のニュースに当てはめて読んでみる

上記の内容を頭に入れて記事の中身、について読んでみます。

米国債市場では5年債と30年債の利回り差 が3日連続で縮小。連邦公開市場委員会(FOMC)が緩和縮小を来年まで見送るとの予想が外れ、この見通しに基づいた持ち高の解消が続いた。

5年債と30年債の利回り差 が3日連続で縮小

フラットニングですね。

金融緩和は総じて金利を押さえ込む方向に作用しますが、その効果は短期と長期で異なります。

短期金利は金融政策の影響を直接受けるため、金融緩和による金利上昇抑制が効き易いのですが、長期金利については将来のインフレ率の上昇などを織り込むため相対的に金利上昇を押さえ込みにくい、という性質があります。

当時のFOMCは、金利市場の予想外のタイミングで金融緩和縮小(テーパリング)開始を決定しました。

これはマーケットに織り込みきれていなかった事象であるため、マーケットはそれを織り込みにいきます。

織り込みかたとしては、金融緩和が強く作用している短期金利(年限の短い債券、ニュースでは5年債)を長期金利に比べて(短期債券を売ることで)上昇させることになります。

 

「短期金利が長期金利より上昇した」ってことなのでフラットニングということになります。より詳しく言うなら長期金利も上昇し金利全般が上昇する中でフラットニングが起きたので、ブルフラットということになります。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、アイラ・ジャージー氏は「長期国債の利回り上昇を見込んだ持ち高の反転で、長期債はかなり上昇している。利回り曲線のスティープ化を見越した参加者が逆を付かれ、リスクを抱えたまま休日を過ごしたくなかった」と述べた。

 記事の流れに沿って書いていたので、最後に超基本的な内容が来てしまいました。

長期債が上昇=長期金利が低下

債券価格と金利は逆の関係になります。

 

この辺が分かれば上記のニュースは理解しやすくなるのではないかな~、と思います。

 

フラット化している国とスティープ化している国、どっちの為替が強い

最後に金利がフラット化している国とスティープ化している国は、どちらの通貨がFX市場で強いでしょうか?

通貨が強くなるのは、スティープニングしている国になります。

なぜかと言えば、スティープニング化している国は、短期金利が金融緩和などの影響で低く抑えられていて、将来のインフレ圧力上昇を見込んで長期金利が高止まりしているからです。

金融市場が、将来の金利引き上げを見込んでいるわけですね。

金利引き上げは、為替の上昇要因なのでスティープニング化している国の通貨は強くなりやすいのです。