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EFPとは? 信託銀行がいま現物株買っている理由は?

この記事ではETF取引(Exchange of Futures for Physicals)という、機関投資家が利用している取引が株式市場に与える影響についてご紹介します。

 

年金のアロケーション変更?

2014年7月の主体別売買動向を例に話を進めます。

この辺りの週は、現物株式では信託銀行の買い越しが目立っていました。

7月第1週の現物買い越し834.7億円に引き続き、

7月第2週には342.4億円の買い越しになっています。

 

こうした動向に対し、信託銀行の売買動向年金はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人 )の動きが大きく反映されているため、この買い越しはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人 )のアロケーション(資産配分)変更に絡んだ年金基金の買いではないか、という見方が出ていまました。

ちょうどアベノミクス相場の始まりで、GPIFが政策的に株式の買い増しを進めていると見られている時期だったというのもあります。

  

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EFP取引が入っているかも

ただ、同期間に対応する主体別売買動向のTOPIX先物データをみると

7月第1週に605億円相当の売り越し
7月第2週の798億円相当の売り越し

となっています。

現物は買っているものの先物では売却しており、ちょっとちぐはぐな動き。 純粋に株式のエクスポージャを増やしているわけではなさそうです。

 

これはEFP取引(Exchange of Futures for Physicals)が入っている可能性が高そうです。

EFP取引とは、先物を買い建てておいて、後にそれを現物に変える取引を呼びます。

なぜ、信託銀行(年金基金)はこのような取引を行うのでしょうか?

 

(パッシブ系の)機関投資家の動きに詳しい人だとピンと来る人もいるかも知れませんが、あまり知られていないと思いますので、ちょっと理由を書いてみます。

ちょっと込み入った話になるので、冗長になるのは許してください。

 

 

配当落ちによるベンチマークからの乖離を埋める

年金ファンドの国内株式(パッシブ)運用はベンチマークに、配当込TOPIXを利用しています。
これは、国内株式部分の運用成績を配当込みTOPIXに合わせることを目標にする、と言う意味です。

 

年金基金から運用を委託されている運用会社は、運用成績を配当込みTOPIXに合わせるため、配当落ちが発生時点(多くの企業は3月)で、配当落ちに相当する金額を再投資する必要があります。

そうでないと、配当落ち分の株価下落によるエクスポージャの減少で、配当込みTOPIXと運用成績が乖離(上にも下にもマイルドなパフォーマンスになる)してしまいます。

ちょっとわかりにくいかも知れませんが、配当込みTOPIX指数は配当落ち日を挟んでも100で運用できる(したことになっている)のに対し、配当落ちに相当する金額を再投資しないと、(配当落ち分が2とするなら)98で運用することになってしまうからです。

98で運用すれば、100で運用している配当込みTOPIX指数とパフォーマンスが乖離するのは当然です。

これを避けるためには、(98を100にするために)配当落ちが発生時点(多くの企業は3月)で、配当落ちに相当する金額を再投資する必要があるのです。

 

しかし、配当落ち時点では、配当金は支払われていないため、現金を使って現物株を買うことはできません。

ではどうするか。

配当落ち分のエクスポージャーを取るために、先物を買い建てます。想定元本が配当落ちに相当する金額を先物買いを入れるわけですね。

このオペレーションは多くの企業が配当落ち日を迎える3月末に最盛期を迎えます。



そして、6月になってくると、実際に配当金が支払われるため、現物株を購入するための現金が準備できます。

ここで、これまでエクスポージャを膨らませる(配当落ち分を維持する)ため保有していた先物買いをポジションを反転させることになります。

これが、配当落ちの時に買い建てておいた先物を現物に乗り換える取引(EFP取引)が発生します。

すなわち、先物売り+現物株買いですね。

 

これがおそらく7月の1週、2週の主体別売買動向で、現物買い、先物売りになっていた理由でしょうね~。

 

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FXの税金を他の金融商品と比較して理解。確定申告が必要ですよ

FXにかかわる税金についてまとめ

FXと税金の関係を理解しておくことは大切です。

ただ、FXのみ単独で説明されても、FXは株式投資など同時にやっている人も多く、他の金融資産と組み合わせたときにどのような課税体系になっているかを理解していないと不十分になるケースもあります。

特にFXの税金は「FXで荒稼ぎした主婦が申告漏れ(脱税容疑)で摘発される」というショッキングなニュースが話題になったこともあり、神経質になりやすい問題(ただ、よほど悪質でなければ刑法上の犯罪にはならない)。

申告漏れになってしまうということは、自ら税金を納める申告する必要があったということですが、「税金を申告する義務があるなんて知らなかった」という人も少なくないかもしれません。

副業感覚でFXをやっている人もいるかと思いますが、(稼いでいる)副業には確定申告は必要ですよね、FXに限らず。

 

また、個人投資家にとって投資の最大のコストは税金なので、FXで利益が出たときににかかる税金についてしっかり理解しておきましょう。

目次(要約)

投資(FXなど)に関する税金は3種類あるよ

世の中にはいろいろな金融商品がありますが、それらに投資して利益が出れば税金を納める必要があります(日本にいる場合。香港などに引っ越せは金融商品への投資は無税)。

でも、それぞれの金融商品ごとに税金のかかり方は異なります。

これが結構複雑なので、FXを中心に株式投資など金融商品への税金を図示しました。

FXなどの税金の全体図

この図を見て真っ先に理解して欲しいことは、金融商品には以下の3種類の課税形態があるってことです。

・総合課税

・分離課税(源泉分離課税)

・分離課税(申告分離課税)

FXは株式投資と違って必ず確定申告が必要

株式投資の場合は「特定口座」というルールがあるため、利益が出た時にも源泉徴収という形で証券会社に税金を徴収してもらうことが可能です。上の図の真ん中にある源泉分離課税に該当するわけです。

そのため確定申告は、必ずしも必要がはありません(源泉徴収無し口座もあるものの面倒なので利用者は少ない)。

 

ですが、FXにはこの特定口座という制度がないため、一定額以上の利益が出た場合には必ず確定申告を行う必要があります。

 

なお、確定申告というのは1年間の収入と経費から所得(つまりもうけのこと)を計算し、所得税の金額を算出して国に報告する手続きのことです(住民税についてはこの確定申告の内容に従って自動的に算定されます)

確定申告は毎年2月16日〜3月15日の間に、あなたの住所地を管轄している税務署に対して行う必要があります。

FX取引による利益は「雑所得」として確定申告を行います。雑所得というのは事業やお給料などの所得以外の所得に分類されているという意味です。

FXによる雑所得には所得税15%、住民税5%の税金がかかります。


法人としてFX取引を行っている時には発生した利益について法人税が課されます。

 

会社員なら年間20万円以上の利益が出とき確定申告しよう

FXで一定の利益が出た時には確定申告が必要ですが、いくら以上の利益が出たら確定申告が必要か、という問題は各自の状況によって異なります。

会社員の場合、年間で利益の金額が20万円を超えた場合は確定申告が必要になります。

年金生活者の場合も20万円がボーダーラインですね(公的年金の収入が年間400万円超の方は除く)。

FXの利益額がこの金額以下なら、確定申告は不要です。

なお、年間の収入が2,000万円を超える高所得の会社員は、FXに収入にかかわらず確定申告が必要ですね。

 

ちなみに、この20万円が確定申告するかしないかの分水領になっているのは、サラリーマンの場合だけです。

あなたが、他に収入がない主婦や学生、専業トレーダー、自営業(フリーランス)の場合は、確定申告が必要不必要の境目が38万円になります。すべての人が控除できる基礎控除が38万だから、38万円が確定申告のボーダーラインになっているわけです。

 

利益はFX会社の取引報告書で確認しよう

年間でいくらぐらいの利益が出たか?については利用しているFX会社が年に1回送ってくる「取引報告書」に記載されています。

複数のFX会社を利用している方はそれらをすべて合算して計算を行います。

この時の注意点としては株式取引の利益とFX取引の利益を合算することはできないことです。

株式投資で損を出したので、FX投資の利益を相殺してほしいっていうのは、税法上はできないってことです(人情としてはわかるのですが・・・)

FXによる雑所得は税法上「先物取引に係る雑所得等」に分類され、「申告分離課税(しんこくぶんりかぜい)」という形で申告を行わなくてはなりません。

申告分離課税というのは要するに「他の種類の所得とは合算で計算することはできませんよ」という意味です。

つまりFXによる所得は事業所得や株式による所得とは合算できないということですね。

 

ただし、FXと同様に「先物取引に係る雑所得等」に分類される商品先物取引の損とは合算できるので、商品先物取引で損失を被っていた場合は損益通算という形で税額を減らすことができます。

・FXと株式投資の損益の通算→できない

・FXと商品先物との損益の通算→できる

 

それとクリック360のように取引所取引のFXは、昔は総合課税でしたが、税制改正で申告分離課税になったので、普通のFXとの損益通算が可能です(誤解されがちなので書いておきます)。

FXと損益通算できる金融商品は以下のようなものがあります・

  • クリック360(取引所FX)
  • 店頭FX
  • バイナリーオプション
  • 株式取引先物(日経225先物、TOPIX先物)
  • 商品取引先物
  • オプション取引(日経225先物)
  • CFD取引

スワップポイントは決済されると税金がかかる

FXで得ることのできる利益としては、通貨の変動による利益(ポジションを決済することで発生する譲渡益)の他に、スワップポイントによる利益もあります。

スワップポイントいうのは

「金利の安い通貨」で「金利の高い通貨」を買った時に発生する利益のことです。

日本円は諸外国の通貨に比べると預金金利が非常に低いため、外貨買いのポジションを取っている人はスワップポイントが発生する可能性が非常に高いですね(なお、日本円で持っている預金金利については口座に入金される時に源泉徴収されるので確定申告などは不要です)

受け取ったスワップポイントは「FXによって得た利益」とみなされますので、こちらも雑所得として所得税と住民税が発生します(譲渡益と合算して年間20万円を超えない場合には税金が発生しません)

 

そして、このスワップポイントについては、「いつ口座に入金されるのか」がFX会社によって違います。

毎日スワップポイントが口座に入金されるFX会社もあれば、ポジションを決済したときに入金となるFX会社もあります。

スワップポイントに関して重要なことは、確定申告が必要なのは「年間20万円以上の利益が出た時にのみ税金がかかる」ということです。

例えば1年目には10万円の利益がでて、2年目には15万円の利益が出たという場合、いつスワップポイントが入金になるかによって税金がかかるか否かが変わってきます。

上記の場合で2年間ずっとポジションを持ち続けた場合を考えてみてください。

毎日スワップポイントが入金されるFX会社であれば1年目も2年目も入金されるスワップポイントは20万円未満ですので税金はかかりません(確定申告も不要)

ですが、2年間ポジションを持ち続け、2年目にポジションを決済した時にまとめてスワップポイントが入金されたとすると、その年のスワップポイントによる利益額は25万円(1年目の分10万円+2年目の分15万円)ということになり、確定申告と税金負担の義務が発生してしまうのです。

スワップポイントがポジションの決済にともなって入金になるFX会社を利用している方は注意してくださいね。

 

損失が出た時も確定申告しよう

上記の通り、FXによる利益が20万円を超えない場合には確定申告を行う義務はありません。

ですが、損失が出た時には「損失の繰越控除」という制度を利用することができます。

損失の繰越控除というのは、「今年出た損失を来年の利益から差し引くことができますよ」という意味です。

例えば以下のようなケースを考えてみてください。

1年目:100万円の損失

2年目:30万円の利益

3年目:50万円の利益

4年目:50万円の利益

 

FXの損失繰越


1年目は利益が出ていませんので本来は確定申告を行う必要はありません。

ですが、確定申告をあえて行うことで「損失の繰越控除」を利用することができ、その結果として2年目と3年目の利益(合計80万円)については利益が0円という扱いにしてもらえるのです。

通算損益がプラスになる4年目で、初めて納税が必要な状況になるってことですね。

 

もし1年目の損失について確定申告を行わなかった場合には、2年目の利益について30万円×20%=6万円、3年目の利益について50万円×20%=10万円の税金が発生することになります。

1年目に確定申告をしなかったために、合計で16万円もの差が出ることになります。
そういう意味では、FXは利益が出た時だけでなく、損失が出た時にも確定申告を行うものと理解しておいた方が良いですね。利益が出た時だけの納税して、損が出たときは無視では税負担から長期的な勝算が下がりますからね。

この損失の繰り越しは最長で3年間可能です。

 

海外FX業者を利用した場合の税金

海外FX業者はレバレッジの柔軟性や口座がマイナスにならない(マイナスになる場合は業者が被ってくれる)などのメリットがあるのですが、税金上はデメリットもあります。


海外FX事業者で利益を出した場合は、総合課税になって、他の所得と合算課税になります。そのため、他の所得でそれなりの収入がある人は20%(申告分離課税の税率)以上の税率になる可能性が高く、海外FX業者の不利な点になります。

海外FX業者の税金

法人口座を利用した場合の税金

法人口座の仕組み

会社(法人)としてFX口座を開いた場合、個人向けの場合は25倍に設定されているレバレッジ制限がなくなる(みんなのFXは驚異の400倍レバレッジ)などのメリットがありますが、税金上のメリットもあります(FX初心者の方で法人口座を利用している人はいないとは思いますが)。

法人口座にかかる税金は法人税になります。

ざっくり表にまとめると以下のようになります。

法人FX口座の口座の税金

法人口座が節税になる理由

法人口座を利用した方がお得になる理由は何でしょうか。

上の表を見ていただければ、利益額800万円以下において税率が15%となっており、個人FX口座の20.32%より低いことがわかると思います。

また、損失繰越が9年間可能のメリットもあります。

 

しかし、法人口座は、最大のメリットは親族を会社の従業員として雇うことが出来るという点です。

中小企業の経営者一家がよくやっている節税策ですが、社長の息子や娘を会社の業務をやっていないのに従業員に登録して、給料を支払うというやり方です。

給料は経費になりますので、子供へのおこずかいや仕送りをFX口座の経費にできてしまうことになります。

もちろん、税務上はグレーな領域ですが、かりに税務調査があっても情報提供業務をやっているなどとして、少額の給料を支払っている分には修正申告を求められないのが普通です。

  • 税務署(国税)側も、子供がもたらす情報がFXの利益に全く結びつかないことは、証明できないからです。

 

FX利益の節税方法はセミナー、書籍代の費用を申請すること

FXの経費

FXの利益には経費が発生すれば控除できます。

金融商品の代表的な控除項目は手数料ですが、FXの場合は手数料は(基本的に)ありません。

では、費用はないのか、といえばそんなことはありません。

FXの代表的な費用は、セミナー代やFX書籍代などの勉強に使った費用です。

また、取引に使うPCやスマホ、通信費などの一部は費用として控除できると考えられます。

両建て取引による節税

あまり推奨しませんが、ポジションを両建てによって節税する方法もあります。

両建ての方法は、ドル円の買いポジションと売りポジションを同時に作ります。

その後、年末時点で損失の出ているポジションだけ決済します(これにより損失を計上)。

新年に入ったら、利益の出ているポジションを決済します。

決済に時間差があるので多少のマーケット(価格変動)リスクがありますが、損失を先に計上することで、課税を先送りする効果が得られます。

無申告はやめて納税は適正に行おう

ネットFX業者で上げた利益はすべて国税(税務署)に把握されています。

2009年に法律で、FXの全記録が業者によって記録され、国税に提出されるように変更になりました。FXの利益は隠せないと考えるべきでしょう。

マイナンバー制が導入された現在は、名寄せも簡単になって、どの所得が誰に帰属するか簡単に特定されます。

 

納税が適切になされなければ、以下のペナルティが待っています。

  •  過少申告加算税(含む無申告加算税):過小にFXの所得を申告していたので、15~20%のペナルティーとしての税金が発生
  • 重加算税:FXの所得を悪質に隠しの場合は、40%の加算税がかかる。
  • 延滞税:本来払うべき税金を払っていなかったので、7.3~14.6%の遅延損害金的なペナルティとしての税金がかかる。

無申告は加算税が取られるだけでなく、重大な所得隠しと認定されれば(1億円程度が目安と言われている)刑事罰すらあり得えます。

納税は適切に行いましょう。

 

 

FXの収入は会社に知られる?

FXが副業とみなされたら、勤め先の就業規則にある兼業禁止規定に引っかかるのでは?と心配している人がいるかも知れません。

しかし、FXは金融取引なので通常は副業ではありません。

ただの資産運用であって、株式取引や預金などとも同一とみなせます。

 

ただ、FXであまりにも大きな利益が出た場合は、会社には隠しておいた方が良いこともあるでしょう。

住民税の普通徴収で対策可能

FXで利益を上げれば、所得税と住民税に跳ね返ります。

所得税については、確定申告と同時に自分で納めるので問題ありません。

注意したいのは住民税です。住民税は、所得税に基づいて自動的に決定される仕組みです。所得税が決まってから、住民税が決まるまでタイムラグあるので、確定申告と同時に納税することが出来ません。

そのため、住民税は後ほど支払うのですがその方法が2種類あり、給料から差し引く形で会社が納付する「特別徴収」と、自分で税金を納める「普通徴収」があります。

特別徴収:会社が給料からの差し引きで納付

普通徴収:自分で直接納付

 

サラリーマンの原則的な納付方法は特別徴収なのですが、こちらを選択すると会社にバレます。税額が増えたことを地方自治体が会社に通知することで、会社にFXの利益を知られてしまいます。

こうしたことが起きないようにするためには、自分で直接納付する普通徴収を選ぶことが大事です。

 

普通徴収にする方法は簡単で、確定申告時に「自分で納付」欄にチェックを入れるだけです。わからないことがあれば、お住いの地方自治体の市民税課(住民税を担当している部門)などに確認することも出来ますよ。

マイナンバーとFXの税金との関係は

マイナンバー制度とFXの税金にどのようにかかわるか気になる人も多いと思います。

特にマイナンバー制度で、FXの収入が会社に知られるのが怖いって人が多いようですが、その点は大丈夫です。

マイナンバーを利用するのは行政だけ(そもそもマイナンバー制度は行政サービスの効率化のために導入された)なので、民間の会社がマイナンバーを利用して、FXや副業の収入を把握することはあり得ません。

 

 

金融政策の限界と財政政策の難しさ

金融政策の限界

現在世界中の中央銀行が採用する量的緩和政策は本来は異端とされる非伝統的金融政策です。それを最も強く批判してきた米国が、リーマンショックの世界金融危機に対応するため、非伝統的な金融政策に踏み切ったとき、多くの人がこれは一時的な緊急避難のための政策であると考えました。

米連邦準備制度理事会(FRB)は現在、バランスシートを積極的に拡大していませんが、バランスシートの規模を維持しており、8年以上も量的緩和を続けているとも言える状況になっています。

また、ECBやスイス中銀なのど主要の中央銀行は、より大胆な量的緩和に踏み切っています。金融危機の影響により、経済や金融システムに強力なデフレ圧力がかかっていることや、状況が回復するまでには長い時間を要することなどから、現在も依然として量的緩和が継続されています。

最も昔から量的緩和政策を続けている日本は、質的量的緩和に変わり、マイナス金利付きになり、イールドコントロールまで導入されました。

しかし、こうした金融政策には限界が見え始めています。

フィッシャー方程式に基づけば、マネー(の流通量)の増加は物価を押し上げるはずですが、主要先進国では物価が上がらないのです。

 

人口動態が大きく変化し、テクノロジーが飛躍的に発展している中で、様々な分野で影響が出ています。

キャッシュ・フローが一部の企業や国に集中しており、貨幣の流通は机上の計算ほどではない可能性もあります。

実際に、滞留している資金の受け皿になっている預金や保険に投じられたお金は、機関投資家(例えば、年金基金や保険会社、銀行など)の投資資金源になります。

しかし増加した資金を機関投資家がうまく運用するのは非常に難しい環境です。

政策的な低金利誘導と溢れるマネーによって債券価格は歴史的な上昇を遂げ、利回りは最低水準です。

そのため代表的な機関投資家である保険会社の合計時価総額は、金融危機前のピーク水準を大きく下回っています。

株式市場が歴史的高値にあることを踏まえれば、保険会社が運用難で深刻な影響を被っていることが分かります。

 

 

このことは、銀行にも当てはまります。実際に、特に欧州を中心に、低金利により収益力が低下した銀行は貸し出しの余力がなくなっています。

銀行システムにおける貨幣の流通速度が低下しており、低金利によって借入や貸出を促進する取り組みは機能しておらず、実際には逆効果になっている恐れもあります。銀行の信用乗数(マネタリーベースの伸びに対して、どれだけの信用を創造できるかを示す指標)はここ数十年で最も低い水準まで低下しており、それと同時に資産の利回りも記録的低水準に達しています。

信用創造が縮小しているため、システム全体の貨幣の流通速度が低下しています。したがって、金融システムの機能が変化していると考えられ、低金利によって経済を活性化することが困難となっているだけではなく、伝統的な信用経路が機能不全に陥り、金融市場の歪みが拡大する恐れもあります。

 

低金利を維持することで、信用に対する需要が拡大し、貸出が増加し、貨幣の流通速度が上昇すると期待するのはもはや適切ではないと可能性があります。現在は金融政策の新たな波及メカニズムが働いており、政策金利は低水準に維持されていますが、意図されたような結果は得られていません。

 

経済成長を促し、インフレ率を押し上げるには、金融政策による対応だけでは不十分であるため、今後は財政政策による対応も重要になると見込まれます。

 


近い将来、金融政策から財政政策へのバトンタッチが行われるかもしれない


日本や英国において金融政策が市場の期待に反するものとなっており、金融政策が分岐点を迎えている可能性があると考えられます。

イングランド銀行と日銀がそれぞれ7月13日と7月29日に金融政策決定会合で公表した政策は、市場の期待を大幅に下回る内容となりました。こ

れを受け、投資家の間では金融政策が分岐点を迎えているとの見方が広がっています。

しかし、金融政策は市場の期待を下回る内容となったものの、政策発表直後において市場はそれほど大きな反応を示しませんでした。

例えば、英国のEU離脱が決定した後の最初の金融政策決定会合で、イングランド銀行は市場の利下げ予想に反して政策金利を据え置きましたが、その決定から1週間半経った時点で、英国のFTSE指数は金融政策決定会合以前の水準を上回っていました。

さらに、同期間において、英ポンド/米ドルの為替レートはそれほど変化せず、英国債のイールドカーブでは10年債と2年債の利回りもほぼ変化しませんでした。

もちろん、イングランド銀行はその後の8月4日の金融政策決定会合で、利下げや量的緩和を含む包括緩和策を決定しました。さらに、日銀が発表した金融緩和策は市場の期待を下回る内容となりましたが、この報道は市場でそれほど材料視されませんでした。

以上を踏まえると、大胆な金融緩和が際限なく続けられることを市場はもはや期待していないように思われます。


米国では約5年間にわたりフィスカル・ドラッグ(財政的歯止め)の影響が出ていましたが、つい最近になって緩和されています。

実際に、国際通貨基金のデータ(2016年7月)によると、米国政府の支出と投資を前年比GDP寄与度の観点から見ると、長期的な平均(1960年から2010年まで)は全体の成長率に対して約0.5%の寄与となっています。

近年ではこの項目のGDP寄与度が一時マイナスに陥っていましたが、再びプラスに転じ始めているため、財政刺激策が経済成長に大きく貢献し始める可能性があります。

また、欧州や日本の実質政府支出も増加しているため、緩和的な金融政策を背景に、成長見通しが改善する可能性があります。

 

なぜ金融政策に頼りがちなのか

なぜ、各国が金融政策に頼りがちなのかと言えば、それは国民負担を伴わない(ように見える)ことでしょう。

金融政策はお金を刷るか、金利を変えるか、なので国民負担は見えにくくなっています。

 

一方で財政政策は、国債の残高増加という分かり易い国民の将来負担の増加があります。

負担とセットになっている以上、無負担に見える金融政策と比べ、財政政策は使いにくいツールになってしまっています。

でも、金融政策は効きにくくなっている

いくつかの中央銀行はここ何年かにわたり、量的緩和を通じて経済活動を活性化させ、インフレ率を押し上げることを目指してきました。

しかし、そうした目的を達成できない一方で、資産価格の上昇や、金融市場におけるボラティリティの低下を招きました。

あふれ出たマネーが、実体経済でなく、金融市場のみに向かっていることが浮き彫りになっています。金融市場に資金が向かうこと自体は、実体経済にとってもプラスです。

資産価格の上昇を通じた押し上げ効果というものが存在するので。

しかし、そうした効果にも一巡感がみられることが、現在の金融市場の不安です。

 

本来ポリシーミックスという言葉があるように、金融政策と財政政策の組み合わせは効果的です。

今後、金融市場にポジティブサプライズがあるとしたら、世界各国が財政支出拡大に動くことでしょうね。

「スワップポイントが多くもらえる日」を利用したアノマリー的トレード手法

スワップポイントを活かしたトレード

FXにはスワップポイント(金利)と呼ばれる金利収入があります。今回はこれを活かしたFXのトレード戦略をご紹介します。

スワップポイントはいつもらえるのか

スワップポイントとは何かについて知らない方は、下の記事を読んでいただけると分かり易いと思います。

 


スワップポイントを一言で説明するなら金利(2通貨間の金利差に基づく調整金利)ですが、高金利通貨を買い持ちすればもらえる金利って簡単に説明しておきます。

このスワップポイントは毎日もらえるわけですが、具体的に何時にもらえるのでしょうか?

 

その答えは、1日のマーケットの終了までポジションを持っていればもらえる、ということになります。と言っても為替は世界中で、かつ24時間取引せれているものです。日本時間だけ考えれば、1日の区切りは0時(24時)ですが、そんなに単純ではありません。

 

為替市場における一日とは、アジア時間から始まって、ニューヨークが一日のマーケットの終わりまでになります。

なので、スワップポイントを受け取るには、ニューヨーク市場が閉まる(NYクローズ)まで持っていれば良いということになります。

FXの1日の流れについては、以下の記事を参考にしてください。


下の表を見てもらいたいのですが、ニューヨーク市場が閉まるのは、日本時間の朝7時(夏時間の場合は)になります。

世界のFX市場の取引時間

そのため、毎朝7時に高金利通貨を買い持ちにしているとスワップポイントがもらえることになります。

スワップポイントが多くもらえる日

スワップポイントは金利(差)なので毎日もらえます。当然、土曜日、日曜日、祝日ももらえます。休日でも金利は発生しますからね。

しかし、基本的に土日は為替市場は閉まっています。そのため、土日を挟む場合、スワップポイントは3日分もらえることになり、普段の3倍となります。

 

土日を挟むというと、金曜日の終わり(土曜日の朝7時)までにポジションを取れば良いように思えますが、そうではありません。

為替の取引には、その他の金融商品と同じように、受渡日が設定されているからです。

為替の受け渡し日に関する説明

 上の図のようなイメージです。

FXの受け渡し日については下の記事をご参照下さい。

為替の受け渡しには2営業日必要なので、土日分のスワップ金利を受け取る状況を作るには、水曜日(木曜の早朝7時)までにポジションを作る必要があります。

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金曜日の終わりまでにポジションを持っている状況にするには、上の図のようなイメージです。

 

水曜のスワップ効果 (アノマリー)

高金利通貨買いの弱点は、為替レートが動いて損をしてしまうことです。

しかし水曜日にポジションを取れば、土日分のスワップポイントがもらえます。ということは、土日分のスワップポイントって価格変動のリスクをあまり取らず(1日分のリスクはある)金利だけもらえるのでお得ですよね。

 

そう考える人が結構いるので、高金利通貨は水曜日のNYクローズ(木曜朝)にかけて、上昇しやすい傾向があります。

理論的には裁定が働くので、こうしたチャンスはないはずなのですが、金融市場では人間のゆがんだ行動が生み出すアノマリーって結構あって、水曜日の高金利通貨スワップ効果もこうしたアノマリーの一つとみられます。

夜更かしできる人は、狙ってみるのもよいでしょう。

 

それと、今回述べた水曜日効果を知っていれば、高金利通貨を買い持ちしていて、そろそろポジションを閉じようかって時に水曜日はやめてみようかなって判断にもつながるかと思います。土日分のスワップ金利を捨てることになるので。

仮に短期売買で積極的に利用しなくても、判断材料の一つとして活用できる場面は多いかと思いますので、為替の受け渡し日とスワップ金利の関係はぜひ押さえておきましょう。

国債のイールドカーブをコントロールすることが、為替市場にもたらす影響

イールドカーブコントロールを導入

日銀は、黒田総裁の就任以降、金融緩和の強化(クレジット、エクイティリスクを取るなど質的緩和も含む)してきました。

しかし、2016年9月会合で打ち出した緩和策は、10年国債の金利をゼロ近傍にするというもので、イールドカーブコントロールと呼ばれています。

イールドカーブとは、国債の期間構造の事で、通常は長期債ほど金利が高くなる右肩上がりの構造になっています。

金利の期間構造

上の図のようなイメージです。

 

10年国債だけでイールドカーブがコントロールできる?

しかし、イールドカーブとは金利構造全体の事です。

なぜ、10年国債の金利をゼロにコントロールするだけで、金利構造全体(イールドカーブ)をコントロールできるのでしょうか?

これは、短期金利をマイナス0.1%としていることとセットで考えれば、分かり易いです。

イールドカーブの一番左端にある短期金利がー0.1%で10年債金利が0%なら、その間の年限の金利は普通はー0.1%から0%の間の数値を取るはずです。

 

だから、自然とイールドカーブ全体をコントロールできるってことですね。

 

イールドカーブコントロールの意図

金融緩和に苦しむ金融機関の救済

マイナス金利の導入以降、日本の金融機関は運用難に苦しんでいます。

そうした金融機関の運用難を救おうというのが、イールドカーブコントロールの意図とみられます。

 

なぜ、イールドカーブコントロールが金融機関を救うかについて説明します。

日本の金利構造はマイナス金利政策導入以降、10年国債までもがマイナス圏になっていました。

これでは金融機関は資産運用が難しいです。

 

しかし10年債金利をゼロ%にしからといって、資産運用が楽になるのでしょうか。0%でいくら運用しても、利益は生まないようにも思えます。

 

その答えは金利のロールダウン効果というものがわかれば、理解できます。

ロールダウン効果とは、10年債が時間の経過に従って9年債、7年債、5年債と年限が短くなっていくことを指します。

年限が短くなれば、短い年限の金利が適用されます。

債券というものは、金利が低くなれば、債券単価は上昇するという性質を持つので、イールドカーブが右肩上がりになってさえいればロールダウン効果から(ゼロ金利で債券を買ったとしても)利益が得られることになります。

 

これによって、金融機関に資産運用益を上げやすくさせようって意図ですね。

金融緩和の長期化

日銀は市場にお金をばらまくための政策ツールとして国債を購入しているわけですが、国債とは日本国の借金なので限りがあります。

そのため、日銀が国債を買いつくしてしまうことをある種の量的緩和の限界としてとらえる向きが為替市場にはありました。量的目標によって長期債券を購入し続けることがには持続不可能ということです。

しかし、(国債の購入量でなく)イールドカー ブの形状を目標とすることは、長期債の不足が回避でき、金融緩和を長期的に継続することを可能にしています。

イールドカーブコントロールが為替に与える影響

イールドカーブコントロールが為替に与える影響について、ある新聞で明らかに誤った解説がありました。

「イールドカーブを立たせる(純イールドにする、右肩上がりにする)ことで、円安効果を狙ったもの」という解説です。

 

マーケットの世界に絶対はないから、彼らが結果的に政界になるかも知れないですが、論理的には明らかに不整合です。

 

なぜなら、順イールドが金融機関の収益を助けるってことが示すように、イールドカーブが純イールドの国の国債には、投資価値が生まれます。先ほどのロールダウン効果がありますので。

そうすれば、日本の投資家はわざわざ海外にお金を持って行って運用しなくて良い(円高要因)し、海外からは純イールドの日本国債に投資価値を見出してお金が流入する(これも円高要因)可能性もあります。

このように、イールドカーブコントロールはそれ自体では、為替に円高インパクトを与えるものと言えるでしょう。

 

ただし、金融機関の収益性を助けることで、金融緩和局面を長期化するって意味もあるので現実は円安材料にもなりえますが。

 

ただ、金利の期間構造を右肩上がりにすることが、為替に与える影響を知ることは有益だと思って記事にしました。

 

追記:イールドカーブが急こう配になることによるヘッジ付き外債投資上のメリット

この記事の感想として、下のようなご意見をいただきました。

確かに円高要因に思えるけど、積極的に日本国債買うほどでもない金利だから為替への影響は軽微では?(テキトー)

ご意見はある意味正しくて、10年国債をゼロにしただけでは、日本国債の絶対値の金利は低いままです(ゼロですので)。

しかし、上述したようにロールダウン効果があるほか、外国人投資から見た場合はヘッジ付き外債(為替リスクがない外債投資)で投資するメリットがあります。

ヘッジ付き外債は、長期の債券(金利)買って、短期の金利(為替)でヘッジするというものです。

ざっくりヘッジ付き外債のリターンを示すなら、

ヘッジ付き外債のリターン=長期金利ー短期金利

となります。

短期金利はマイナスのままなので、長期金利がゼロ付近まで来ると、ヘッジ付き外債のリターンが大幅に改善します。

低金利環境は世界的な問題なので、このヘッジ付き外債のリターン向上は外国人投資家にとって魅力的です、流動性が高い日本の債券市場で、一定のリターンを稼げるわけですので。

 

イールドカーブが急こう配になるっていうのは、その国の債券市場の投資価値自体を高めていることがわかるかと思います。