成長株の5つの条件と成長が止まる5つの兆候 就職・転職活動にも
バリュー投資の開祖をベンジャミン・グレアムとするなら、成長株投資において同様の地位を占めるのはT・ロウ・プライスでしょう。
彼の投資手法は、成長株投資の概念がまだ成立していないうちに確立され、その後の投資家に大きな影響を与えました。
彼は自らの投資手法を天才のみに許された、インスピレーションを頼った投資手法とは考えておらず、一般の個人投資にも十分に真似ができるもの、と考えていました。
むしろ投資の他に本業に持つ人々にとって、短期売買の繰り返しよりも、成長企業の株式を保有しそれが成長株でなくなる兆候が出たら売却する、という投資手法の方が実践的と考えていたようです。
また成長企業が、成長力を失う兆候を示していることで、就職・転職先の分析にも使えるのでないかと思われます。
成長株式の条件
① 商品の研究開発力と市場の開拓力に優れていること
商品と生む力と同様に、マーケティング力が重要ってことでしょうか。確かに優れた製品を開発しても売り込み方に失敗した例は数多い。
② 激しい競争にさらされていないこと
競争が厳しければ、現在の優位性を保つのに多くの研究開発費がかかります。それでは利益率が低下傾向になりやすいうえに、大企業の参入により駆逐される恐れもあるでしょう。
③ 政府の規制から比較的自由な業種であること
政府の気まぐれで事業の安定性を損なうようだと厳しいですね。人材派遣業や消費者金融なども政府に足引っ張られました。
④ 総人件費が低い一方で、一人当たりの給与が高いこと
高付加価値の人間が少ない人数でやっている事業が良いということでしょう。人材の流出がない前提だと思います。成長企業が上手くいっているうちは、コア人材の流出は限定的なのかもしれません。
⑤ 売上高利益率が高水準で推移し、一株当たり利益が急速に伸びている一方で、投下資本利益率が10%以上あること
投下資本収益率が低いと将来的にはROEが低下します(投下資本収益率は長期のROEを定める)。ROEが低ければ成長企業とは呼べないでしょう。
優良企業の特質
① 優秀な経営者
② 傑出した研究開発力を持つ
③ 保有している特許の価値が高い
④ しっかりした財務内容
⑤ 好立地
①~④は分かりやすいというかそのままですね。
⑤は需要地の近くに工場がある、小売りなら店舗網が人口増加地帯にある、みたいなイメージかと思われます。
成長が止まる5つの兆候
① 質の劣る経営者への交代
これは怖いですが、成長し続ける限りはなかなかこうゆう悪い交代は起きにくいかと思いますが、大企業の子会社化などと絡めばありえますね。後はカリスマトップが高齢なケースでしょうか。信越化学の金川さんや日本電産の永守さんなど。
② 市場が飽和状態になる
これが起きたら完全無理です。新しい市場を創造するまで成長率は大きく下がることは確実でしょう。
③ 特許の期限切れ、あるいは技術革新による特許の有効性低下
特許を競争優位の源泉にしていれば厳しいですね。こういった企業は今は少ないですが、医薬品業界などはこういった構造が色濃く残っています。
④ 競争の激化
⑤ 法規制が厳しくなる
以上になります。
就職・転職先の見極めにも
企業の成長力の持続性を分析することは、就職、転職活動にも必要な視点ではないかと思います。その時々の時流によって一時的に人気化することはよくあることです。リーマンショック直前には外資系企業に東大生が殺到し、スマートホンが本格普及する直前には就職先人気企業ランキングにグリーなどが上位に顔を出していました。いずれもその後、大リストラ行われています。
就職は自分の労働力(時間)を一社に集中させるという、ある種究極の一点集中投資ですので慎重に見極めたいものです。
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