FRB議長がハト派的スタンスを示した際の為替市場の反応
2013年11月の、イエレン氏の議会証言は米景気に慎重な見方を強調しており、為替市場から極めてハト派的と受け止められました。
それを受け、金融緩和の継続を予想したドル売りが続くことになり、日本は円高に苦しむことになりました。
しかし、ブラジルなどの新興国では、一旦は米金利引き締め懸念から停会していたものの、世界の緩和的な金融環境がまだ続くとして、回復傾向に転じることになります。
このように、イエレン議長の発言は、為替市場の教科書通りの展開につながることになります。
他の金融市場はどうなったのか
株式市場
金融緩和の長期化は単純に株式にはプラス。発言があった当日のNYダウは85ドル高となりました。NY地区連銀製造業景況感指数が▲2.2とエコノミスト予想の+5から大幅に下回っていたにもかかわらず、悪い経済指標を吹き飛ばしてしまいました。
足元の経済指標より、より大きな金融政策の方向性の方が大事なわけで、テーパリングが遠のいたことをより好感した形です。
債券市場
債券市場は、緩和終了になったとき最も影響を受ける市場です。FEDは大量の債券を購入していたのに、その買い手がいきなり居なくなってしまうわけですから。
そうした懸念が遠のいたため、債券市場はポジティブに反応し、金利は低下し債券価格は上昇することになりました。
異なる解釈とストラテジスト予想への教訓
ただ、イエレン氏の証言をハト派と解釈することへの異論も出ており、いろいろな見方につながりました。
コラム:イエレン氏証言はドル100円台定着を意味せず=池田雄之輔氏 | Reuters
しかし、結果から言うとこの池田氏の意見は的外れに終わります。
FEBはその後も、金融緩和の終了には慎重なスタンスを継続し、実際に引き締め局面に移行するのは2015年になってからになります。
野村證券のストラテジストは、円安予想をしたがるので、割り引いて見るべきって教訓にもつながりました。
米国の金融引き締めはドル高円安につながります。
反対に、当時イエレン議長が示した緩和継続スタンスはドル安円高につながるので、予想したくない方向性になります。
そのため、ひねくれた解釈をして、イエレン議長はタカ派ってことにしたかったって面は見え隠れしますね。
まあ、もともと円安予想をしていた人が、その予想に固執して、新たな材料に対してゆがんだ解釈を行うっていうのは、ありがちな話ですので、単純にプライドの問題だったのかも知れません。