日本のリート市場は、オフィスビルのしめる割合が大きくて、そのオフィスビルの賃料といえば、三鬼商事のデータがもっとも広く用いられます。
その、三鬼商事によれば、東京都心5区のオフィス賃料は、前年同月比で見て 60ヶ月連
続で下落しております。2009年以来、なかなか寒々しい状況が続いてきましたが、それでも日本のリートは、金利の低下によって金利負担を減らしたり、市況の低下によって高利回りになった物件を取得(外部成長)するなどして、なんとか分配金を維持してきたわけですが、そろそろこうした苦労が報われる時期が来るかも知れません。
というのも、まず空室率が明確にダウントレンドに入っています。2013 年 12 月の空室率 7.34%と、前年比で 1.3% 改善しています。
2014年に新規供給が予定されている大型ビルは比較的順調にテナントを確保しているといわれており、「虎ノ門ヒルズ」のテナント確保は約60%、「日本生命丸の内 1 丁目プロジェクト(仮称)」は三井物産による一棟借り、「室町古河三井ビルディング」はアステラス製薬による一棟借りと非常に順調です。
2014年は供給が少ないと見られるため、このまま順調に空室率の低下が続きそうです。
空室率は低下しているもののまだ、既存ビルの賃料は下落(新築は上昇)してる訳ですが、先行指標となるAクラスビルの賃料はすでに上昇が始まっています。
Aクラスビルとは、東京主要 5 区を中心に立地する延床面積 1 万坪以上、基準階面積 500 坪以上、築 11 年未満の良い感じのオフィスビルですが、需要回復期にその魅力高さから真っ先に空室が埋まり、賃料が上昇し始める傾向があります。
反対に、需要減退期には、賃料の高さから、空室ができやすく賃料が下がりやすいので、オフィスビルの先行指標的な位置づけになります。
そのAクラスビルの12月の賃料は、シービーリチャードエリスの調査によれば、 30,650 円と9 月の 30,600 円からちょっとだけ上昇しています。ただ、11 年 12 月の29,050円でボトムをつけて以降回復基調が続いており、そのトレンドが継続していることが確認できます(ただしAクラスビルの空室率は紆余曲折あった。これは、集計ビルが70棟程度と少ない上に、70%と大量の空室を抱えて竣工したアークヒルズサウスタワーの影響でありテクニカルな要因)。
昨今のオフィスビルの空室率の低下は、一部の優良ビルに限定されてきた市況回復の動きが、幅広く広がってきていることを示しています。
リートはなかなか良い環境にあるといえそうです。
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