NISAは負けられない戦い。お得な有利な利用法について
NISAは悪い制度だとは思わないけどね
子供版ニーサが始まりそうなので、いまさらだけどNISAについて書いてみる。
「NISA口座の利用状況等について」(金融庁)より引用(以下の当記事の図表はすべてこの調査結果から引用しています)
なかなか利用が進まないNISA。わたしの周りでも使っている人はいない。利用者はお年を召した方が大半のよう。
NISAって別に不利な制度とは思わないので、他人に利用すべきかと聞かれたらたぶん利用した方がよいって答えると思う。でも、その優位性は一般に思われいるほど大きくない。
NISAの大きな特徴って、
(プラス面)値上がり益及び利配に税金がかからない
(マイナス面)他の口座と損益通算できないため、NISA口座で損をしたら丸損(節税効果が無い)になる
っていうのがある。
ちょっと冗長になるけど、マイナスの特徴についてちょっと説明しておく。
株式投資で10万円の損失を被ることは、本来的な意味での▲10万円の損ではない。本来的ってなんだよって思われるかもしれないけど、まあ破いて捨てちゃった状態をイメージしてください。
破いて捨てちゃう状態と違うのは、ある株式で計上した損失を、ほかの株式で得た利益と相殺させることができるからだ。
企業が繰り延べ税金資産を計上するように、税金がある世界では(相殺できる限りにおいて)損失の一部は資産になりうる。
そして、NISA口座においては、その他の口座と損失の通算ができない。
具体例を出すなら、以下のようになる。
50万円の利益を得た場合、
NISA口座 50万円の利益(税金ゼロ)
通常の口座 40万円の利益(50万円-10万円の税金)
50万円の損失を被った場合
NISA口座 ▲50万円の損失
通常の口座 ▲40万円の損失(▲50万円+10万円の節税効果)
これだけ見ると、両口座の期待値はあまりかわらない。
ただ、厳密には絶税効果は、損失と相殺出来るだけの十分な利益が出ていることが必要になるので、実際の期待節税効果は10万円より小さい数字にはなるけど(ここは精緻な人向けに、わかっててあえて単純化して書いているんですよってアピールですw細かい話なので、無視してくださいw)
何が言いたいかっていうと
NISA、それは負けられない戦い
ってこと。
すなわち大きく値上がりするかもしれないけど、めちゃくちゃ値下がりするかもしれないって商品はNISA向きではない(当然だけど、アップサイドとダウンサイドの期待値が同じ前提)。
NISAを活かすなら大して儲からないけど、(ほぼ)確実にプラスになる商品がいいと思う。値動きが小さくて、クーポン収入が得られるもの、債券的なものが一番向いている。しかし、非常に残念なことに現行のNISAでは債券対象外となっている。
NISA対象の金融商品
現行のNISA対応の金融商品は以下の通り。
・上場株式
・公募株式投資信託
・上場REIT (不動産投資信託)
・ETF (上場投資信託)
・ETN (指数連動証券)
一方で以下の商品は対象外である。
・公社債投資信託
・保険商品
・預貯金
・債権
・FX
・MMF / MRF
・公社債投資信託
・非上場株式
太字で書いた上の2つが使えないのが何とも痛い。なにげに保険商品(生保の一般勘定)は、元本保全を目的にする場合、実は結構使える
安全性を重視する(余裕のある優良な)企業年金とかは生保の一般勘定を使うことがある(そしてコンサルとか信託銀行(が儲からないので)にいやがられるw)。
ここまで読んで頂いた方はわかって頂けると思うが、
NISAは負けられない戦い
なのだが
負けにくい商品を使うことが難しい
制度なのである。
でも、ほとんどの投信が株式投資信託になっている
って書いておきながら、実はNISA対象となる株式投資信託って部分に少しからくりがある。
NISAの対象にあるのは、あくまで税法上の株式投資信託である。目論見書に「課税上は株式投資信託として取扱われます」とあれば、NISA対象となる。
しかし、この文言が入っていたとしても、実際はほとんど債券で運用しているファンドも多い。
たとえばこうゆうやつ(投資推奨じゃないです、たまたま例にしやすかったのを載せただけ)。
DIAM外国債券パッシブ・ファンド| DIAMアセットマネジメント
募集しやすさなどの関係(債券型は元本割れ時に募集できない)で、実際は債券ファンドでも株式投資信託として売り出しているファンドは実に多い。
NISAの制度を活かすって意味においては、こういった隠れ債券ファンドは有力な選択肢になるだろう(元本変動がガチの株式型と比べて少ないって意味ね。手数料負担が重かったら有利とはいえないから、実際は良く吟味してください)。
NISA関連商品の販売状況
「NISA口座の利用状況等について」(金融庁)によれば、NISAを販売する側の人の推奨商品は以下の通り。
「配当が期待できる株式等」は相対的にディフェンシブだから良いと思うけど、「値上がりが期待できる株式等」はどうなんだろ。
その予想が当たる限りにおいては別に良いんだけど、(予測の精度が並なら)あまりNISAを活かしているとはいえない気がする。まあ、確実に良い株を顧客に売ってやるって気概が現れているのかも知れませんがw
それと、毎月分配型は少し疑問。毎月分配型は元本部分の払い戻しによる配当(俗に言うたこ足配当)を行っているケースが多いと思うけど、元本部分の配当(払い戻し)はそもそも非課税。すなわちNISAがあまり関係ない。
ただ、下の図を見ると
おおむね、顧客ニーズと一致しているようです。
やっぱり毎月分配金型って売りやすいんですね。利用者が高齢者がおおいって調査結果と整合的なんでしょうけど。
まとめ
いろいろ書きましたが、あくまでNISAの制度上有利な利用法って観点で書いてます(あと、各金融資産の過去実績に基づくリターンが今後も再現することを想定していません。株式は過去これぐらい上がったから、今後もこれぐらい上がる、みたいな考え方)。言うまでも無く実際の利用法は各人の自由です。自分が3倍になると考えている株式に投資して、値上がり益を最大限享受することを目指す、な~って使い方もぜんぜんアリって思ってます。
ただ、一般的な予測能力しかないことを前提に、NISAの有利な利用方法を考えると、おそらくは値動きが少なく、確実な利配収入が得られる金融商品がたぶん最も有利でしょうね~
だから、NISAは損がさせない戦いなのです。
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