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なぜ原油価格は暴落しているのか。シェールオイルがもたらす新たな原油市場


2月26日 登録

無視されたシェールオイルの躍進


2013年10月に初めて米国の鉄道貨物とパイプラインによるシェールオイルの米国メキシコ湾岸地域への大量輸送が可能となり、米国シェール革命は始まった。

単に安い原油が出てくるようになったのでは無い。米国の精製マージンが急速に改善したことで、米国の石油精製業者は世界の他の国々に対して圧倒的な競争優位に立った。

米国産原油は輸出が原則禁止されているため、原油から精製された製品として世界市場に輸出された。日本企業は信越化学工業のようなごく一部の企業だけが米国に大規模な生産拠点をもち、その恩恵にあずかっている。

米国では革命、でも欧州ではシェール危機

米国の石油精製品輸出が20%強も急拡大したため、不利な条件に置かれた欧州の石油精製業者は米国シェール革命の影響を最初に被ることとなった。

欧州でもシェールを採掘する動きはあるが、厳しい環境規制や米国ほどの好条件(シェール採掘には大量の水が必要)が揃わずなかなか進んでいない。

そのため欧州ではシェールガス・オイルは機会(革命)ではなく、シェール危機見られている。

ただでさえ産業競争力が弱い欧州は、米国がシェールエネルギーという新たな武器を得て、エネルギーコストの低減などさらに産業競争力を強化してくることを警戒しているわけだ。

もともと欧州は陸続きのロシアから安いエネルギーを得られていた。そのため、米国のシェールガスを安い値段で買えるというメリットはないのに等しい。パイプラインで運ばれるロシアの天然ガスは、シェールガスよりも割安だからだ。

反対に、日本などアジアの工業国は、割高なエネルギーを買わされ続けてきているので、シェールガス産出はメリットの方が大きい。

なぜ、シェール革命のインパクトは過小評価されてきたか

シェール革命が、原油安をもたらすことについて騒がれたのは、2014年に実際に原油価格が暴落してからだ。なぜ、原油は高値を維持できていたのか。そして崩れは理由はなんなのか。

 

 

その原因は以下の要素が挙げられている。

シェールの技術革新余地がまだ十分に理解されていなかった

シェールガス・オイルは言うまでも無く若い技術だ。そのため、技術革新の余地が大きい。しかし、それは広く市場に知れ渡っては来なかった。

短期および長期の需要見通しが良好と見られていた

シェールガス・オイルがどんなにでても、新興国の躍進があれば、供給増を上回る需要増が起きると思われていた。しかし実際に起きたのは中国の減速である。それによって原油の消費量が伸び続けるというストーリーには疑問符が付いている。

地政学的リスクが懸念されていた

OPEC原油はリビアの供給が途絶し、イランの供給途絶も懸念されていた。そのため、伝統的な産油国の供給源が予想されていたためシェールの躍進は重視されなかった。実際には、米国とイランの歴史的な和解が進む中で、イスラム国の問題はあるものの、少なくとも地政学的リスクはコントロール可能な問題とみられてきている。


2014年初めに明らかになったシェールオイルの正確な規模

シェールガス・オイルの正確な規模が分かったのは2014年からと言われている。

2013年半ばに行われたパーミアン地域のシェール層の探査と最新技術での実験により、シェールの鉱区面積が当初考えられていた規模の2倍で、シェール層からはるかに大量の石油が抽出可能であることが明らかになった。これを機に、シェールは伝統的なエネルギーに対する(数多くの)競合する技術の一つから、最有力技術へと変貌した。

 

単に資源基盤が予想をはるかに超える規模だっただけでなく、技術革新により石油生産を危険性が格段に低い鉱業や製造業に近いものに変えた。空井戸を掘るようなことはなく、しかもシェール技術は従来、変動費がわずかで資本集約度が極端に高いエネルギー生産を、鉱業のように資本集約度がより低く、変動費中心の構造に転換させた。

さらには、石油生産は高速周期で減少率が高くなる、つまり、ほとんどリードタイムなしで素早く投資に応じて増産できるが、投資が減少すれば生産量が急減する。結果として、エネルギー生産は従来よりも予測可能となり、より柔軟かつ資本集約度が低くなっている。

サウジアラビアとの競合

シェールガス自身が主要因となって原油価格は急落している。もはや、採算の悪い鉱区は閉鎖するしか無い状況だ。

これまでは深海油田やオイルサンドなど効率の悪い採掘技術と競うだけで良かったが、良質な油田を抱えるサウジアラビアがシェール産業をターゲットに原油価格の引き下げを目指している以上、業界に求められるハードルは上がっている。

シェールガス・オイルがとてつもない埋蔵量を誇り、米国が原油の輸入国から輸出国に転じようとするなかで、これまでに無かった次元の競争状況(opecの価格決定力の喪失)が生まれているとみられている。

 

サウジアラビアの苦しい懐事情と国富ファンドがもたらす株式市場の波乱

原油価格の下落圧力からくる株式市場の波乱にはこの先も一層の警戒が必要である。世界には政府が出資する投資ファンド(国富ファンド、SWF)が7兆USD強あると言われている。

しかもトップ5のうち4つは原油を原資にした資金だ。

その資金が世界の金融市場で運用されているわけであるから、原油価格の下落で産油国政府の財政事情が悪化すればその資金を取り崩す必要が出てくる。

特にサウジアラビアは人口が3,139万人(2015年、IMF)で自国民の比率は73%と高く、過去10年間年率3.0%で増加しているから、例えばアラブ首長国連邦が人口960万人、自国民1割なのに比べて、その生活関連の財政的負担は重い。

原油価格下落による財政収入源でサウジアラビアはこれまでの貯蓄(対外純資産)を取り崩すことにならざるを得ない。サウジアラビアの対外純資産は7,950億USD、世界第5位の対外純資産国である。
同時に原油価格が1バレル=20USDで推移しても7年間はこの資産の取り崩しで財政は維持できる。これはサウジアラビアが暫くの間、一層競争的な原油価格を提示しうることを意味しており、さらなる原油価格下落の誘因と言えそうだ。

 

スンニ派の盟主としてイランには負けられない

上記のシェールガス問題に加えて、サウジアラビアとイランとの原油市場を巡る主導権争いがある。

16 億人のイスラム教徒のうち 9 割がスンニ派。そのスンニ派を束ねるのがサウジアラビア。アラブ首長国連邦が国王でなく首長の連邦としているのはサウジアラビアへの遠慮で、国王と名乗れるのはサウジ国王のみってことだ。

そして対立するシーア派陣営の名手たるイラン。サウジアラビアは対抗心をむき出しにする。

米国の中東における最大の同盟国として、欧米がイランに接近を図るのをはたから見るのは穏やかではないだろう。

イランに対して、原油増産や原油価格引き下げを通じて経済的に追い込み、中東での主導権を握ろうと必死だ。

サウジアラビアの原油生産能力は日量 1,250 万バレルで、実際 の生産量は1,025 万バレル(12 月)と生産余力がある状況。

これに対してイランは生産能 力 290 万バレルに対して 270 万バレルとその増産余地は現時点では限定的である。

 

さらにサウジアラビアには欧米と有的な関係を築いてきたおかげで、対外純資産が 7,950 億 USDと潤沢。これは経済制裁下にあるイランには持ちえなかったもので、サウジアラビアはこの過去の貯金でイランに対して低価格攻勢が仕掛けられるという面がある。


一方、イランの強みは1地理的に大量の原油が埋まっているにもかかわらず、これまで外交関係の悪さからあまり採掘できなかったため、埋蔵量が潤沢なこと。100 年以上の可採年数(R/P ratio、RPR、reserves/production ratio)の原油にある。またイランは世界有数の天然ガス埋蔵国家でもある。

シェールガスは国際収支を通じて、FX市場に影響を与える

 シェールガスの産出によって、世界の貿易の力関係は大きく変わった。

米国は石化エネルギーの輸入国から輸出国に変わり、貿易収支を大きく減らしている。これはシェールガスがもたらしたドル高要因と評価されいる。

日本円、インドルピーユーロなどのエネルギーの純輸入国通貨は、経常収支の改善(黒字化)を受けて、強い基調に転換した。

一方で、シェールガス・オイルが原油価格の下落につながったおかげで、苦戦しているのは中東だ。サウジアラビア・リアルUAEディルハムなどは大きく値を崩しいてる。

天然資源が豊富な豪ドル、カナダドルなどもどちらかと言えば敗者だ。

 

このように、シェールガスは原油価格の変化を通じてFX市場に大きな影響を与えている。

 

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