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高頻度アルゴリズム取引に個人投資家はどう向き合うべきか。デイトレやってる場合じゃない。


2月26日 登録

日銀政策決定会合直後に特徴的な値動き

今回は、12月の日銀政策決定会合直後の株価の特徴的な値動きから、高頻度アルゴリズム・トレーディング(Highfrequency trading、以下HFT)が株式市場に与える影響と、HFT業者が跋扈する中でデイトレードにどの程度勝算があるのかについて考えてみたいと思います。

また、高頻度アルゴリズム業者がなぜ為替市場では存在感が低いのか、についても考えます。

 

12月の日銀政策決定会合直後の日経平均株価指数の値動きは、非常に特徴的な値動きでした。

発表直後の12:50と12:51の出来高が急増し、大きく上昇した一方、13:05には出来高を伴いながら大きく下落しています。 

 

この間の出来高は、直近過去30営業日において類を見ない異常値でした。

 

ちなみに、実際に公表された日銀のステートメントの内容は、「ノーサプライズ」と言えるものでした。

 

さて、このような実質的にサプライズの無い内容であったにもかかわらず、このように激しくマーケットが変動した背景には、高頻度アルゴリズム・トレーディング(High
frequency trading、以下HFT)の存在があったことは間違いないと見られています。

 

高頻度アルゴリズム取引(トレーディング)とは

高頻度アルゴリズム取引とはフラッシュボーイズでずいぶんと有名になりましたが、高性能なコンピューターを用いたアルゴリズム・トレードであり、細かい株価のさや(値動き)を利益に変えようとする取引手法です。

 

参考リンク

株式市場における高速・高頻度取引の影響

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2013/data/rev13j02.pdf

HFTが早期に普及した米国では、14年3月出版の「フラッシュ・ボーイズ」を契機に、公平な取引ではないとHFTへの批判が噴出することになります。

 

このHFTですが、一般に知られている価格変動をトリガーとする(ある一定の値幅以上の動きが出たときに自動的に売買執行を行う)プログラム以外に、出来高の急変化によって発動するものや、ビッド・オファー(買い板、売り板)の状況によって発動するものもあります。

ビッド・オファーの状況とは、単純にビット・オファー・スプレッドの幅を判断するだけでなく、板の深さ(Depthと呼びますが、買い板5ティックの合計数量等)を判断材料とするものです。

これによって、実際の約定だけでなく、板への発注状況から、その後の市場変動を予測することが可能となり、市場変化に即応性をより高めるとされています。

 

HTFは市場の先導役に

ただ、今回の様なイベント、市場インパクトを持つ情報がニュース・ベンダーからヘッドラインとして流れるケース、においては、その初動の動きは、このイベントそのものをトリガーとするHFTがリード役となっていることが圧倒的に多いです。

 

具体的には、イベントに関するニュースのヘッドラインが出ることそのものに反応するHFT(ヘッドラインがリリースされた瞬間に、あらかじめ定められた売買注文を執行するプログラムで、ニュースの内容に対しては無頓着。

複数のベンダーを常時監視することにより、誰よりも早く発注を行うことを目的としたもの。ニュースの内容とそれに対する市場の反応の方向性を予測できる時に効果が最大)や、もう一歩進んで、そのヘッドライン内にある「文言」を判断してから売買執行を行うHFTなどです。

 

後者について、今回のケースで考えてみましょう。

発表直後の情報端末のヘッドラインは”BOJ RETAINS PLAN FOR 80T YEN ANNUAL RISE INMONETARY BASE”(訳:日銀会合、マネタリーベースの増加方針を維持-80兆円)となっています。日経から送られてきた速報も「日銀、ETF買い入れ枠年3000億円拡大」といったヘッドラインとなっています。

 

「RISE」や「拡大」といった「ポジティブと思える」文言を感知した場合には、買い注文を執行するようなHFTが存在していた可能性は小さくありません。

このようなプログラムの場合、「縮小」のような単語を感知した場合には、売り注文を執行することでしょう。

 

今回のケースで言うと、12:30を超えても発表が行われなかったことが、「何らかの発表があるかもしれない」という相場観を醸成し、それに応じたHFTの調整が行われ、ニュースが出た瞬間に、まずは買い注文を執行せよというHFTが結果的に多くなったことが、この大きな値幅の要因ではないでしょうか。

 

HFTの損失回避力

黒田バズーカのあった2013年4月3日、2014年10月31日は共に公表時間が13:30を回っていました。アウトルックが出てくる会合時は12;30以降、場合によっては13:00以降に公表となることもあったのですが、通常の会合では12:30を超えて公表となることはほとんどありませんでした。

つまり、今回は通常の会合であったにもかかわらず、12:30を超えても公表がなされなかった為、何がしらの「追加」発表があるのではないかと、市場の思惑が膨らんでしまったことが想定されます。

 

こういった市場の雰囲気を板情報から読み取って、この飛びついたHFTですが、その後株価が下落するため思惑どおりには行かなかったことになります。しかし、大損したかというと、そうでもない可能性が高いです。

これらHFTは、素早くポジション構築をするとともに、ポジションをクローズする時も素早いです。オーバー・ナイトのポジションどころか、構築後数秒、ないしは構築し終わった次の瞬間にはクローズしていることが多々あります。

最初のチャートで、出来高が急増したのは、12:50が最初で、この1分間に4,724枚の約定がついており、次の1分間では7,505枚の約定となっていますが、4,724枚の買いの一部は次の7,505枚の約定時に利食い売りされている可能性があります。

この7505枚についても、続く5分間で13,042枚も約定がありますので、ここでほぼフラットで抜け出ることも可能となっています。

 

HFTについて、想定しておかなければならないことは、ポジションを取る時だけなく、ホールドしている時間軸も、クローズのタイミングも同じ様に「瞬殺」であるということです。

デイトレードは勝算があるのか

日本では2010年に東証(日本取引所グループ)がアローヘッドを稼働したことが、HTF参入の契機になったと言われています。

それまでは、取引所のシステムの処理速度が遅く、株価の値動きがゆっくり(になるようなルールが設けられていた)だったため、個人のデイトレーダーが活躍する余地がありました。それ以前に、大学生(や無職)だった人はデイトレで小銭を稼いだ人もいたことでしょう。なかには大金を稼ぐ人もいました。

当時は、小型株なら、ある価格(たとえば1,000円)で買った人が、株価が下がったため、あきらめて投げ(売りし)た、みたいなことが、板を見ていればなんとなく分かるような状況でした。

 

しかし、東証のアローヘッド導入で市場は様変わり。売買が活発な銘柄では、株価の変動や板状況が、とても目で追いにくいレベルになりました。こうした環境下で、板情報を有効に利用できるのは主に高頻度アルゴリズム取引業者です。

多くのデイトレーダーは、2006年のライブドアショック、2008年のリーマンショックで退場(投資家として投資が継続できなくなること)したわけですが、株式市場が回復した以降もデイトレーダーが復権しなかったのは、アローヘッド(とHFT業者)の影響であると考えられます。

 

以下のような記事が、はてなブックマークで大人気(ブックマーク1,600以上)になっていましたが、わたしはあんまり真似しない方が良いんじゃないかな~て意見です。

初心者がデイトレードを始めて勝てるようになるまでの具体的手法

ただ、超人というのはいるものですので、全否定はしませんが。

 

ただし、アローヘッド導入以降は、ディーラーを抱え自己売買で稼いでいた中小証券も多数が廃業や資産管理会社化しました。それは、株式の短期売買(デイトレード)で稼げなくなったことが要因です。

職業としてデイトレードに取り組んでいた人たちが、稼げなくなった事実は重く見るべきだと思います。

 

なお、上記記事も、退職したディーラーの方が書いているようです(初稿時は著者情報が記載されていましたが、先ほど確認したら見つけられませんでしたので削除された可能性があります)。

 

我々は、HFT業者とガチでぶつからないような、長期投資を主軸に考えるのがよさそうです。

 

FX市場におけるHFT

FX市場では、なぜ高頻度アルゴリズム業者の存在感が少ないのでしょうか?

その答えは結構明白で、FX市場の取引が(いまだに)インターバンク市場の相対取引で行われている取引が多いからです。

 

HFT業者はコンピューターで高速で発注するという特徴があるため、株式市場のようにセカンダリーのマーケットが発達していて、HFT業者の注文をコンピュータで高速に処理してくれれば、彼らは活躍しやすいのです。

だから東証のコンピューターがアローヘッドに変わったのが日本でHFT業者がはびこるきっかけになりました。

もし東証が、いまだに場立で相対で株式取引をしていたら、HFT業者が入る隙間はありません。人間では彼らの高速注文を処理できないからです。

 

ここまで書けばお分かりかもしれません。

インターバンク市場は人間同士の相対でやっている部分が多いので、高頻度アルゴリズム業者の注文を捌く余地はあまりないのです。

もちろん、HFT業者が直接為替市場に注文を出せるDMA(ダイレクト・マーケット・アクセス)という手法もあるのですが、やはり流動性が高いのは銀行間のインターバンク市場なのです。

そのため、HTF業者はFX市場では活躍できないのですね。

 

その代わり、比較的長めのトレンドに乗るCTA業者などは活躍しています。

 

インターバンク市場での取引方法を知れば、為替レートのスプレッドは為替市場の心理状態を示すことがわかる - FX初心者向けまとめ解説(株式投資もあるよ)