マイナス金利についてまとめます
日銀は1月29日の金融政策決定会合でマイナス金利の導入を決定しました。そのインパクトはすさまじく、当日の私のブログのアクセス解析はこんな感じ。
政策決定会合があった12時台から一気にアクセスが増えています。その原因は、下の記事が検索されたから。
今回の日銀の政策について直接述べたものではないのに、検索で多数ヒットするなど、当時はいかに情報が少なかったかがわかります。世の中的にも完全に奇襲された状況です。
その後、14時台にはアクセスが急落していますが、大手のニュースサイトや金融情報サービス会社などが、日銀がマイナス金利を導入したことを報じたからでしょう。
目次
- マイナス金利についてまとめます
- 黒田総裁は嘘をついたのか
- 為替操作の意図は?
- MMF停止が証券口座に影響か
- マイナス金利を図解で解説
- 銀行預金はマイナスになるのか
- マイナス金利をリーク
- マイナス金利と株式投資(自薦)
- 今後論点になりそうなこと、QQEに限界はあるのか
黒田総裁は嘘をついたのか
なぜ、奇襲かといえば、今回の政策決定会合のつい1週間ほど前に、黒田総裁自身がマイナス金利を「検討していない」などと述べているから。下の記事は、それを嘘と表現しています。
ただ、政策決定会合で議論し、必要性を認めたため導入って建前だから、「嘘」は少し言い過ぎかもしれません。
サプライズを重視する黒田総裁が、意図的に否定していた可能性は高いことは間違いないですが。
為替操作の意図は?
金融政策を為替操作に用いてはいけないことは国際的なコンセンサス。しかし、黒田総裁は、為替水準を誘導することは意図していないとおっしゃっているので、違うのでしょう。
世界的な金融市場のリスクオフ下で、退避資金が日本円に流れ込むことに対応しているわけでは決してない。欧州のマイナス金利に、同じマイナス金利で対抗だ。
アメリカの大統領にトランプがなったらめんどくさそう・・・
MMF停止が証券口座に影響か
MMFや中期国債ファンドの申込停止相次ぐ、日銀マイナス金利で | Reuters
マイナス金利の導入で、日本国債市場は8年ゾーンまでマイナス金利化が進行したため、短期資金の運用が困難。MMFや中期国債ファンドが新規申し込みを停止したのは極めて妥当でしょう。
今の水準でお金が入ってくると、マイナス金利の債券を買わなければならないわけですから。
蛇足:債券のマイナス金利は、クーポンがマイナスになるわけでなく、債券単価の上昇によって発生します。
マイナス金利を図解で解説
マイナス金利導入の意図を図解で解説しています。
銀行預金はマイナスになるのか
(今のところ)銀行預金がマイナスになるってことはないよ、だから慌てないようにっていう解説。
将来的には、デンマークやドイツの一部にマイナス金利をとる動きがあるので、日本もどうなるだろうか。国民性からいって、なかなかマイナス金利は受け入れない(タンス預金にする)可能性が高そう。
マイナス金利をリーク
マイナス金利導入は、「議論」という形で、金融政策決定会合前に報じられていた。金融市場は、まじか、いやただのうわさだ、などと右往左往。その後、「議論」がそのまま導入されることが明らかになったわけですが、誰かがリークした可能性は高そう。
その真相に迫ろうという記事です。
マイナス金利と株式投資(自薦)
マイナス金利導入で最も厳しい目に合いそうなのは銀行株。これまで、格好の逃げ場だった日銀当座預金がマイナス金利化した影響は甚大でしょう。
とりあえず、目先は保有している国債等の債券価格の上昇で、売却益を獲得する余地はありますが、長期的な収益性の低下は明らか。
その辺どうなるのか書いてみました。
こっちは反対にマイナス金利が有利に働く株について書いてみました。
負債に依存する財務体質で、割引率の低下から価値が上がりそうな不動産等の資産を持っている企業は良さそうです。
今後論点になりそうなこと、QQEに限界はあるのか
日銀はマイナス金利を導入し、質的量的緩和の拡大を行わなかったことは、今後量的緩和の限界論につながるかもしれません。
日本の国債は、1,000兆円。日本米国のように、市中に大量の証券化商品が流通している国ではないため、おのずと量的緩和の対象が限られます。その数少ない国債を日銀が買い続けると、国債市場は機能不全に。
とりあえず、機関投資家がマイナス金利化した国債の入札にどんな姿勢で臨むのか見てみますか。