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FX初心者向けまとめ解説(株式投資もあるよ)

FX初心者向けに投資情報を分かり易くまとめて解説しています。FX口座に対するレビューや通貨毎の特徴もまとめてありFX入門者にも使いやすいサイトを目指します。株式投資情報もあるので幅広い投資知識を提供します。

サウジアラビアの経済的困難。良質な油田がありながらなぜ?



財政難に悩むサウジアアラビア。しかし、なぜ?

中東と言えば原油、それがもたらす莫大な富のイメージ。その中でも、採掘しやすい優良な油田と莫大な潜在埋蔵量をもつサウジアラビアは、象徴的な存在かと思います。

 

しかし最近は原油価格の下落で急激に財政が悪化しているサウジアラビア。SWF(国富ファンド)は取り崩し、支出削減、資産運用会社売却などの対策を講じてきていますが、現在の状況が続けば財政はあと6年で破綻する状況となってきています。

 

予算均衡に必要な原油価格は106ドルとも言われており、かなり厳しい現状です。

実施するかの結論は今後数ヶ月で出てくるようですが、サウジ・アラムコのどの事業を上場させるかを含めて、検討課題は多数。

エコノミスト誌によれば、まずはリヤド(サウジアラビア首都)にある事業5%のIPOをサウジは考えているようですが、投資家ニーズとマッチするかどうか全く不明。投資家としては興味のあるのは油田開発の探査・生産段階の部分と言われています。

 

しかしサウジアラビアの油田は超高品質、採掘コストがWTI(米国産標準油種)で1バレル=4〜10ドルと言われており、現在の原油価格でもある意味余裕で操業できる状況です。なぜ、このような苦境に立たされているのでしょうか。

 

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悪化する財政

サウジ財務省によると、2015 年はサウジアラビアが3,670 億リヤル(980 億ドル)の財政赤字を計上し(GDP 比にして15%)、歳入は6,080 億リヤル(1,620 億ドル)、歳出は9,750 億リヤル(2,600 億ドル)でした。

財政赤字の実績はIMF の予測(GDP 比20%)より小さかったものの、注意すべきは、1 年前の時点では財務省が2015 年の財政赤字をわずか1,450 億リヤル(386 億ドル、GDP 比で5~6%程度)と予想していたことです。

2014 年の赤字は144 億ドルでした。2015 年の歳出が同年の予算を13%上回ったのは、予定を上回る給与支給や国防・安全保障支出の増加が主因です。昨年1月、サルマン新国王はすべての公務員に給与の2 カ月分に相当するボーナスを支給すると発表し、そのコストは320 億ドル前後に上りました。

 

サウジアラビア政府は外貨準備の取り崩しで財政赤字をほぼファイナンスしており、準備残高は2014 年12 月の7,260 億ドルから直近では6,400 億ドルに落ち込みました。

政府はまた、一層の外準の減少を抑えるため、国内での借り入れに依存してきました。

同国の債務/GDP 比率は2014 年の2%から2015 年は5.8%に上昇しています。今後数年でさらなる借り入れが見込まれ、サウジアラビア財務省は赤字の穴埋めにあたり、「国内外の市場からの借り入れを含めて」利用できる最適な手段を考慮に入れる表明されています。

財政赤字のさらなる拡大を回避するため、政府は歳出を14%近く削減すると公約して
おり、財務省は赤字幅が2016 年に880 億ドルほど縮小すると主張しています。

 

いくら原油価格が下がったとはいえ、サウジアラビアはそれこそ湯水のごとく原油がわき出る国。それも世界中で最も低コスト原油が採掘できる国の一つです。そして、絶対王政下で国家が握っています。それがこのような状況に甘んじている理由は、以下に述べます。

 

 

莫大な原油補助金とサウジアラビア国民生活

イランを別とすれば、エネルギー補助金にサウジアラビアほど多額の資金をつぎ込んでいる国は世界のどこにもありません。不倶戴天の敵同士が何とも似たことをやっているものです。

IMF は、ガソリンや軽油製品の価格をGCC(湾岸協力会議)諸国の水準に引き上げるだけで、サウジの歳入は推定でGDP 比2.6%増加すると指摘しています。エネルギー補助金制度は財政を圧迫するだけでなく、過剰消費を助長します。

ある物品(ここでは原油)の価格が人為的に安く放置されれば、無駄に使われまくるのは当たり前。

米ブルッキングス研究所の分析によると、サウジのエネルギー需要は過去5で年7.5%拡大しています。なお、サウジは火力発電の石油消費量が世界最大で、電力供給量全体の58%が石油火力発電で賄われているなど、安く利用できる原油に依存しきった経済体制になっています。

 

高く付くエネルギー補助金は持続不可能 

また、このエネルギー補助金制度は極めて高く付き、IMF の推定ではGDP 比8%近くに相当しています。

王権の正当性を維持するための国民への利益分配が、国家として大きな負担になっている様子がうかがえます。このまま石油消費を続ければ、数十年後、石油の輸入国になるなどという笑い話もあるくらいです。

莫大な原油消費に膨大な補助金を付けてしまっていることが、財政均衡に必要な原油価格が1バレル100ドル以上という高水準になっている原因です。

  

IMFや主要な開発経済学者は何年も前から補助金制度の縮小を提案してきたものの、前に述べたように特殊な政治体制から実質的に不可能な解決策と解釈されてきました。サウジアラビアの政体を揺るがすようなあまりにも政治的コストが高い政策であると・・・

 

ついに原油補助金削減へ

しかし、現在の原油価格はついに補助金は維持できない水準まで下落しています。政府は2015年12 月28 日、ガソリン価格が即座に1 リットル16 セントから同24 セントに上昇すると発表しました。

また、サウジ財務省は2016年予算を発表しました。原油価格の低迷に伴う記録的な財政赤字を予想するとともに、同国財政を立て直すことを目指し、そして原油価格の「下落の長期化」を乗り切りやすくするための抜本的な改革を公約しました。

 

2016 年予算によれば、政府はとりわけ賃金の伸びの抑制と政府機関の支出の合理化をすすめることになります。今後5 年を見渡すと、政府は様々な業種や経済活動の民営化、官僚制度の効率化、エネルギーや水道、電気への補助金の見直し、および新しい付加価値税や一連の手数料の導入など、多岐にわたる構造改革の実行を約束しています。

 

これらの措置が完全に実施されれば、王国の安定を何十年も支えてきた国家と国民の間の手厚い社会保障の見直しにつながる可能性があると見られています。

サウジ指導部がこうした改革に本気で取り組む可能性を示唆するように、サウジ国内のガソリン価格は予算発表の数時間後に50%近く引き上げられました。

 

サウジ国民の不満が高まっているとの見方

複数の経済アナリストは2016年予算で示された調整策を称賛しています。

しかし、サウジ一般国民が、新たな調整措置にいかに反応するかはなお予断を許さない状況です。国内の一部評論家が燃料価格引き上げへの批判をツイッターに投稿したことが確認されています。

また、値上げを前にガソリンスタンドに長蛇の列ができたと報じられました。サウジの株式相場は、石油化学関連株を先導役に急落しています。

補助金制度の縮小に加え、当社は予定される新たなVAT(付加価値税)の導入に対する国内の反応にも注目が集まっています。

現在、サウジ国民は所得税を払っておらず、2.5%の宗教税(ザカット)しか課されていません。

 

サウジが「アラブの春」を乗り切ったのは手厚い社会保障のおかげ

同国の社会的セーフティネットは体制の安定を支える重要な柱となってきました。サウジ政府が2011年の中東の民主化運動「アラブの春」を乗り切れたのは、新たな国内向けプログラムに1,300億ドルを費やし、手厚い社会政策を大幅に増強したことによる面が大きいです。

現在起きていることは、ある意味で王家と国民の契約の見直しです。それも国民に不利になる方向での見直しであるため、再契約が安定した形で結べるかは議論の分かれるところでしょう。

 

 

原油暴落の原因について。よろしければお読みください。

なぜ原油価格は暴落しているのか。シェールオイルがもたらす新たな原油市場

http://earningmoney.hatenablog.com/entry/2015/12/21/001757

 

原油価格が気になる人へ。原油ETFに投資したいとき参考にすべきこと。