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ユーロのFX市場における特徴、欧州中央銀行の為替へのかかわり方



ユーロの為替市場における位置づけ

目次

ユーロは貿易に広く用いられている 

基軸通貨といえばドルですが、ユーロは第二の基軸通貨と言われるほどその存在感を高めています。

そもそもユーロを自国通貨として利用している通貨圏の人口や域内のGDP(国内総生産)は、ドルを上回っています。また、域内の国同士の貿易は当然ユーロで行うほか、ユーロ圏と密接な経済的な関係にある国々との貿易は、ユーロ建てで行われるため、貿易に使われる通貨としてもドルに次ぐ2位につけています。

ユーロは外貨準備として保有対象としても人気

各国は海外への支払い準備金として外貨を保有しますが(外貨準備)、外貨準備として保有する外貨としても大きな需要があります。これには広く貿易で用いられているという信頼性に加えて、ユーロ加盟国は財政赤字を一定の範囲内に抑えなくてはならないなど、ユーロを使う国に厳しい財政上の制約(財政赤字はGDPの3%以下、政府債務残高は自国のGDPの60%以下)があるので、通貨の信頼性が高いことも貢献しています。(そうした信頼性を揺るがしたのがギリシャ危機であるわけですが)。

なお、外貨準備として当然ドルが一番人気なわけですが、ドルだけ保有するのは決済上も不便なうえにアメリカに万が一のことがあった場合リスクが高いので、ユーロやその他の日本円、ポンド、人民元などの通貨にも保有ニーズが出るわけですね。ドルの一極集中の受け皿として、ユーロは一番人気がある通貨といえます。

 

ECB

ユーロの金融政策を誰が決めるのか

ECBが政策決定

ユーロの金融政策を決定するのはECB(European Central Bank、欧州中央銀行)になります。このECBは欧州共同体設立条約(マーストリヒト条約)及び「欧州中央銀行制度・欧州中央銀行法」により設立されました。

ECBの構造と欧州中央銀行制度

ECB(欧州中央銀行)は1999年1月1日に発足しました。1999年発足当時の参加国は11カ国でしたが、徐々に参加国を広げ(2002年1月にギリシャ、2007年1月にスロベニア、2008年1月にキ プロス、マルタ、2009年1月にスロバキア、2011年1月にエストニア、2014 年1月にラトビア、2015年1月にリトアニアが加わり)19カ国にまで拡大しています。

このように多数の国で構成されるユーロ圏ですが、単一通貨である以上、金融政策は同一である必要があるので、ECBが一括でユーロ圏の金融政策について引き受けています。

複雑なのは、EU(欧州連合)にはユーロを採用している国と、自国独自の通貨を採用している国があることです。イギリスのポンドやスイスのスイスフランなどが有名ですね。

そのため、EUとしての金融政策を調整する意味合いもあり、1998 年6月に(マーストリヒト条約に基づき)ECBとともに、欧州中央銀行制度(ESCB)が設立されました。

ユーロを導入していない欧州連合加盟国の中央銀行は、ESCBの構成員で はあるが、ユーロ圏の金融政策決定には参加しないという構造になっています。

ECBの金融政策の目的

ECBの金融政策の目的は物価安定の維持です。物価安定とは何を指すかというと「中期的なインフレの上昇 率が2%以下だが2%近く」と定義されています。

なんとも微妙な表現ですが、2%くらいが心地よい水準って認識しているってことですね。

だから、為替市場ではユーロ圏のCPIが2%からみて、どれくらいかい離しているという観点から、ECBの金融政策が予想されます。

ECBの意思決定機関

ECBの政策委員会(Governing Council)になります。政策委員会の構成 欧州中央銀行役員会から6人(ECB総裁、副総裁を含む)と、19人のユーロ加盟国中央銀行総裁の、計 25人で構成されています。
そして金融政策の意志決定を行うのは6週間ごとに行われる政策委員会会合になります。
議論結果の公表は、会合終了後、日本時間の20:45(夏時間)または21:45(冬時間) に政策変更の有無が発表されます。その後、総裁の会見が45分後(同21:30(夏時間) 、22:30(冬時間) )に行われることになっています。

金融政策に関して公表される資料

記者会見冒頭声明(Introductory Statement): 政策委員会後の記者会見の冒頭で読み上げられ、その後に 記者会見が行われます。
議事要旨:金融市場、経済、金融 政策の進展についての概要を説明。毎金融政策会合の4週間後に公表。

ECB月報: 政策決定の背景となった経済情勢について詳細な検討を加 えるとともに、特にECBの金融政策と関連する諸問題についての特集記事を掲載。毎金融会合の2週間後に公表。

 

ECBの為替市場へのかかわり方

ECBはユーロ圏の為替政策も統括しており絶大な権限があります。世界の中央銀行の要人で最も注目度が高いのは米国のFRB議長ですが、ECB総裁もそれに匹敵する存在といえるでしょう。

ECBは通貨統合参加国の外貨準備を一括して管理し、為替介入などの際に使うことになっています。ECBが目的としている物価安定と為替政策との間には重要な結びつきがあるため、市場介入はECB が担っています。ただし、マーストリヒト条約において、EU財務相理事会が、為替政策につき一般的な指針を策定することができるとも規定されているため、政府も為替市場に関与することはできる仕組みになっています。

通貨統合参加国の中央銀行はそれぞれが保有している外貨 準備の一部をECBに提供する。提供される外貨準備の割合 はECBへの出資比率によって決定され、また各国中央銀行 が保有する外貨準備もECBの管轄下に置かれている。

 

EBCの為替政策の特徴

ECBは通貨価値の保存に熱心

ユーロは経済の状況と通貨変動が必ずしも一致しない通貨と言われてきました。それは

欧州中央銀行(ECB)がインフレに苦しめられたブンデスバンクの流れを組む組織であるため、通貨の価値を保つというインセンティブを強く持っていたからです。

こうしたECBの傾向は欧州の量的緩和政策にも強く影響しており、単純な国債買い切りのようなマネタリーベースの拡大みたいな政策は、好んでいません。あくまで銀行セクターに働きかけることで、貸し出しを増やして実体経済の改善につなげるような方向で金融政策を検討します。

このこと自体は、欧州通貨危機を通じてヨーロッパに余裕がなくなったため多少変わってきているものの、依然中央銀行(ECB)の為替市場への影響が強い通貨といえるでしょう。

ECBの為替介入

ユーロシステム(ECBと各国中央銀行)が為替介入を行うことはリスボン条約によって可能になっています。

ECBが為替市場での介入を実施する際、外貨準備保有額に制限されません。介入資金を金融市場(為替スワップ)で調達することも可能になっており、自由度の高い組織といえます。

 

介入は、ECBが直接実施する方法(Centralised)、ECBを代表して各国中央銀行が実施する方法(Decentralised)がそれぞれ規定されています。

介入の方法としては、

  1. ECOFIN(EU経済・財務相理事会)による介入についての合意、ガイドラインなしにユーロシステムが単独で介入
  2. ECOFINによる介入についての合意、ガイドラインなしにユーロシステムが他の中央銀行と協調して介入
  3. ECOFINによる介入についての合意、ガイドラインを踏まえてユーロシステムが単独介入
  4. ECOFINによる介入についての合意、ガイドラインを踏まえてユーロシステムが他の中央銀行と協調介入

の4種類があるといわれています。ただし、3、4の方法での為替介入の実績はないとECBから公表されています。

ECB は、単独での為替市場への介入を好みません。2012 年2月にドラギ・ECB 総裁は日本の為替介入について「介入が必要なら多国間の枠組みで実施されるべきである。単独で実施するべきではない。」と当時の日本政府による為替市場での単独介入姿勢を批判しました。

「その他の国と協調していれば、為替相場の過剰な変動を抑制するため公的介入が正当化される可能性がある」(2010 年3 月5 日、コンスタンシオ・ポルトガル中央銀行総裁(当時)との発言からも窺える通り、ECB は為替市場に介入するとしても、他の当
局との協調介入を原則としています。

ECBの為替レートの見方

日本人なら誰でもドル円に注目します。為替市場に全くかかわっていなくても、1ドル何円かは大体わかるという人は多いでしょう。日本人にとって一番重要なのはアメリカとの二国間為替レートだからです。

しかしECBにとって最も重要な為替レートは、二国間の為替レートではありません。

ユーロはドルに匹敵する主要通貨なので、特定の通貨ペアのレートには大きな意味がありません。

ただ、ECB関係者は記者から二国間の為替レートの水準に関する質問を受けることもあります。その際の大まかな傾向として、ユーロの対ドルレートが1.25ドル/ユーロ~1.4ドル/ユーロであれば、為替水準は概ね適正と回答することが多いといわれます。

 

 

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