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日本の経済指標10種類まとめ【FX初心者用】



日本の経済指標の重要性が高まっている

日本の経済指標は、FX市場や株式市場で長らく無視されてきました。

だから以前以下のような記事を作りました。

日本の経済指標とかみても仕方ない時代が長かったので・・・

それがなぜかと考えたと、日本の金融政策の行き詰まり感がまず思いつきます。

日本はいち早くゼロ金利の世界に入り、さらに量的緩和政策に踏み出しました。そのため、多少日本の景気が良くなっても、日本がゼロ金利から抜け出す姿はイメージできませんでした。

為替市場は2国間の金利差が決定的な影響を与えるわけですが、日本の経済指標が多少良くなっても日本がゼロ金利から抜け出さないとするなら、日本の経済指標は無視してよい存在になります。

 

しかし、これはゼロ金利が金利の下限と考えられていた世界でのこと。

マイナス金利が受け入れられた世界なら、景気が悪くなればさらにマイナス金利が深くなる(より大きなマイナス金利となる)ことが考えられます。

反対に景気が良くなれば、金利が引き上げられることもあるでしょう。

 

いずれにせよ、日本は再び経済指標によって金利が変化する環境になっています。

これを機に、日本のメジャーな経済指標とその見方について見てみましょう。

経済指標の分類

経済指標には景気の動向を敏感に反映する先行指標や、景気の動向に遅れて反応する遅行指標など、景気に対する敏感さで分類されます。

金融市場では先行きが重視されるため、先行性がある指標は当然重要視されます。

先行指標が良くなれば、遅れて遅行指標もよくなってくるので先行指標さえ見ておけば十分とも考えられます。

しかし、ことはそう簡単ではなく、FX市場で最も注目度の高い米国の雇用統計は代表的な遅行指標です。それでも最も重視されているのは、それが米国の金融政策に直接影響しているからでしょう。

経済指標の重要度は、先行性の高さだけでなく、中央銀行の政策などにどの程度影響があるかという、影響力という面も重要なのです。

 

この記事では、日本の経済指標を

  • 先行性のある指標
  • 重要な指標
  • その他の指標

 の3つに分類して整理します。

 

先行性のある指標

日銀短観

日銀短観の特徴はサンプル数が多く、広範囲な企業を調査対象としてないがら、速報性も高いことです。

信頼性も高く、かつ速報性が高いということで、最重要の経済指標と言ってよいと思います。

日銀短観のなかの企業の想定為替レートは、実需筋のヘッジレートに影響するとも言われしばしば話題に上がります。

 

日銀短観の調査対象は、総務省の「事業所・企業統計調査」ベースとした、全国の資本金2千万円以上の民間企業です。その数は21万社あるのですがそのうち、約1.1万社を調査しています。

 

注目ポイントとしては以下のようなものが代表的です。

  • 業況DI。DI(%ポイント)は「第1選択肢=良いの回答社数構成比(%)」-「第3選択肢=悪いの回答社数構成比(%)」として計算。
  • 設備投資額の年度計画。但し年度計画は、調査時期によって季節性が出る(年度初は弱気、年央にかけて強気)ため、その季節性まで考慮必要。
  • 販売価格DI。これは物価の先行指標として参考にされる。
  • 雇用人員判断DI。これは失業率に対する先行指標として参考になる。併せて、新卒採用者数(6月、12月調査のみ)も参考。
  • 事業計画の前提となっている想定為替レートも発表され、これが現在の為替レートとどれくらいずれているか、また今後為替がどちらに推移するかで、利益のアップサイド、ダウンサイドリスクを判断されるためFX市場だけでなく、株式市場でも注目されます。

 

 

景気ウォッチャー

タクシー運転手などにヒアリングして作っていることで有名なセンチメント調査です。

タクシー運転手だけでなく、景気に関連の深い産業の人々から幅広くヒアリングしています。

  • 消費者センチメントは、スーパー店長、スナック経営者、タクシー運転手、競輪・競馬・競艇場職員などに聞いています(家計調査DI)。
  • 企業センチメントは、製造業、非製造業の従業員にヒアリング(企業動向DI)。
  • 雇用センチメントは、人材派遣会社社員、求人情報誌製作会社編集者、新聞社の求人広告担当者などにヒアリングして作成(雇用関連DI)。

<景気ウォッチャー調査の見方>

景気ウォッチャー調査は消費に対する先行性が高いと言われています。

マニアックな人は各調査対象者が書く業種別の「判断理由」まで見ています。

「冷夏ため家電が売れない」「中国景気が悪化しており設備投資関連製品が不調」など具体的な記述が多く、投資の参考にしている人も多いです。

 

 

貿易統計

貿易というのは、日本の GDPのうち約15%を占めている主要な経済活動です。

それを反映しているのが貿易統計。
日銀短観やGDPなどが四半期ごとの発表であるのに対して、毎月発表されるので重宝がられています。

<貿易統計の見方>
・輸出金額は輸出数量×輸出価格として計算されるが、実質GDPの計算のためには数量のトレンドの方が重要です。それは実質GDPは価格変化を除いたものとして計算されるというテクニカルな要因もあるのですが、日本の生産拠点がどの程度の稼働率を保っているかってことが注目されるためです。

・輸出金額の変化が、数量によるものか、価格によるものかを見てみましょう。
・そして数量変化が、どの地域の経済(アメリカなのか中国なのかEUなのか)が影響しているのかも見てみてもよいでしょう。

 

 

消費者物価指数(CPI)

消費者物価指数いわゆるCPIです。インフレ、物価をみる指標ですね。

「消費者物価指数」は消費者に関わりのあるモノ・サービスの物価を総合的に表したものです。企業物価や貿易の物価などは別の経済指標になります。


この統計の特徴は消費税が値上げとして反映されることです。

消費者が実際に支払う価格に消費税が含まれるので、CPIの上昇要因になるわけですね。

また、原油価格の上昇など国際的なコモディティ相場の影響を強く受ける指標でもあります。

しかし、短期で価格が数十パーセントも動くよう原油(ガソリン)のようなものが統計に含まれることで、物価の基調を判断するのが難しくなっている側面があります。

そのため「総合CPI」(いわいるCPI、すべて含んだもの)から、天気に左右されやすい「生鮮食品」を除いた「コア指数」が作成されています。

またアメリカで作成されているものと同様のものとして「酒類を除く食料及びエネルギー」を除いた「コアコア指数」が作成されている。

CPI


東京都区部だけ当月に発表されるので速報性は高いです。全国のCPIは一ヵ月遅れになります。

東京の結果を見て、一ヵ月後に発表される全国の結果はなんとなくわかるので、東京のCPIが重要ですね。

消費者物価が重視されるのは、日本銀行が注視しているため重要の経済指標です。

世界中の中央銀行は物価の安定を目標にしているので、CPIが重要なのは世界共通でもあります。

 

 

企業物価指数

上記の経済指標と比べると若干重要性が下がるのであっさりと。

企業物価指数は企業側から見た物価を判断する指標です。企業間で取引される財の生産者出荷段階での物価の変化を計測しています。

物価の上昇はまず企業サイドで起こって、それから消費者サイド(CPI)に波及するって面があるので重要と言えば重要なのですが、資源価格などの変動を受けやすいのが弱点で、統計としてそこまで信頼されていません。

 

重要な経済指標 

GDP統計(国内総生産)

GDPは最も有名な経済指標ではないでしょうか。

日銀短観は知らなくてもGDPを知っているという人は多いかと思います。

教科書的には「 GDP=消費+住宅投資+設備投資+在庫+政府支+輸出-輸入」ですね。


経済活動の全体像を計測する必要があるため、重要な経済指標ですが発表は遅いです(約1.5か月後)。

 

発表は2月、5月、8月、11月ですね。

 

機械受注統計

機械受注統計がなぜ重要かと言えば、設備投資の先行指標になるからです。

なんでかというと、ここでいう機械とは設備用機械類を指すからなんですね。

設備用の機械の受注状況が分かれば設備投資の先行きもわかるってことです。


特徴的なのは、基本的に「受注」した段階で書き込む統計であるため、すこし振れ幅が大きくなること。金額が大きくても受注額は契約のあった月にそのまま計上されるので、どうしても振れ幅が大きくなります。大型機械などは、生産が数ヵ月かかることもあるわけですが、受注された月にその金額が計上されたら振れ幅が大きくなるのは当たり前ですね。

 

振れ幅の大きさを緩和する手段として、3か月移動平均の値を見たりします。

なお、3ヵ月ごとに来期の見通しも発表されます。

 

鉱工業生産

鉱工業生産も重要指標として有名ですね。日本企業の国内の生産、出荷、在庫に関わる活動を集計しています。

設備投資の稼働率のほか、生産の先行き2ヵ月の予測も毎月発表されています。

設備投資の稼働率がなぜ重要かと言えば、設備がフルで稼働している状況に置かれたとしたら、企業は設備投資を行うことが想像されます。

だから設備投資の先行指標になるって考え方なんですね。


今後2ヵ月の予測指数については、予測指数の採用品目、調査対象は全体の生産指数より狭いので参考程度ですね。

 

鉱工業生産の見通しは楽観的に出てくる傾向があると言われています。

年初に出た数字は、年間で7割の確率で下方修正されています。

 

その他の経済指標

ここからは「その他の経済指標」という謎の分類で行きます。そこまで、重要性も高くないのですがたまに話題になるくらいの経済指標ってイメージです。

書き方も軽め行きます。

 

消費者動向調査

消費者動向調査は、消費者側から見た消費センチメントの調査です。

消費者態度指数という項目は、暮らし向き、収入の増え方、雇用環境、耐久消費財の買い時判断から構成される。


3ヵ月ごとに自己啓発、レジャーなどの支出予定も調査されており、これらの項目は余裕がある消費活動として注目されます。

景気ウォッチャー調査と近い性質の調査ですが、調査方法が幅広いので発表が遅く速報性は低くなります。しかし、8,400世帯と調査数が多いため、信頼できる調査です。

面白いのは、主要耐久消費財等の普及率、保有数量、買い換え状況がわかることです。

 

日本人は冷蔵庫を平均使用年数で10年、自動車は8年年使っているんだ~みたいなことが分かります。

 

国際収支統計

国際収支統計は、国と国との輸出入や資金の移動などが記録されたものです。

日本の居住者と非居住者間の取引を記録したものであり以下のように分類されます。

  • 財貨・サービス・所得の取引や経常移転を記録する経常収支
  • 生産資産(財貨、サービス)・金融資産以外の資産の取引や資本移転を記録す
    る資本移転等収支
  • 対外金融資産・負債の増減に関する取引を記録する金融収支


この統計のポイントは、経常収支が赤字になるかどうか、というところに注目が集まります。

経常赤字国の通貨は長期的には弱含むので、日本円の長期トレンドを決定する可能性があります。

 

景気動向指数

景気動向指数は一番最後に持ってきました。

なぜ最後に持ってきたかと言えば、景気動向指数が様々な経済指標を組み合わせて、景気の現状及び将来予測に使う指標だからです。

景気動向指数

いろいろな経済指標の組み合わせなので、速報性は全くないのですが、統計としてなめらかというかある種の信頼性があるので内閣府の基調判断に用いられます。

この指数の構成要素に、東証株価指数、日経商品指数、長期金利差、という金融市場で決まる数値が含まれている点には注意が必要です。

変な使い方をしてしまうと、株価で株価を占う、みたいなことにもなりかねません。