前回、天才バリュー投資家マイケル・ラウアーの投資手法の解説 という記事を書かせていただきましたが、ラウアーはバリュー投資を現代的に改良して結果を残した人であり、いきなり応用編からご紹介させていただいたような形になってしまいました。
今回はバリュー投資の開祖といえるベンジャミン・グレアムの3つの投資基準をご紹介します。
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彼の考えの基本には、市場は非合理であり、同じ価値のあるもの(株式)でも気分によって、高い値段で売ろうとしたり、安値で売りたたいたりする、というものがあります。ミスターマーケットの機嫌次第ってやつですね。
これに対応するために、自分は、
・割安な株を判別する基準を設け、それに該当する銘柄だけ購入する
・市場に人気に振り回されない。
と考えていました。
第一の鉄則
株価が、(設備、機械、土地などの有形固定資産などを除き)流動資産から流動負債を差し引いた1株当たり流動資産の3分の2未満で購入し、1株当たり純資産と同水準まで上昇したら売却する。
購入時には、現金などの流動資産しか評価しないという非常に保守的な考え方ですね。企業が、固定資産にどんな帳簿価格をつけていても、関係ありません。粉飾で騙される可能性が少なくなります。
第二の鉄則
①固定負債を上回る純資産があること。
②PER(株価÷1株当たり純利益)の逆数が、AAA格付け社債の2倍あること。
②は分かりにくいですね。でも、PERの逆数が理論上の収益率を示しているということを知っていれば理解可能です。すなわち、株価の理論上の収益率が、安全(AAA格付)な社債の2倍にはなっていてね、ってことです。
第三の鉄則
①第二の鉄則①と同じ(固定負債を上回る純資産があること)。
②配当利回りがAAA格社債の利回りの3分の2以上あること。
グレアムは、この3つの鉄則のうち、第一と第二の鉄則を満たしていれば、過去50年間で年率19%の上昇、第二と第三の鉄則を満たしていれば、過去50年間で18.5%の上昇を遂げたことを検証しています。
このグレアムという人は、自ら投資して実績を残しただけでなく、投資の先生としても非常に優秀な人でした。
彼の教え子には、世界で3本の指に入る資産を投資活動だけで形成したウォーレン・バフェットがいます。
やはり彼の考え方を学ぶのは有益と言えるでしょう。
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