イスタンブール出身の株式投資家アーメット・オクマスが株式投資に目覚めたのは16歳の時。デビューは鉄火場的、投機的なイスタンブール証券取引所です。
そこで彼は、逆張り的な投資手法を駆使して、そこそこの利益を上げていたようです。
その後彼は、大学入学のため、アメリカにわたります。そこで彼は母親がくれた1.5万ドルを元手に株式投資を行い、年率100%超の利益を上げ、8年間で600百万ドルまで増やします(この成功の途中で彼はヘッジファンドも立ち上げています)。
4つの投資手法
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1.利益率が高すぎる企業には投資しない。
利益率の高さは今後の改善余地の小ささ、とのことです。
また、あまりにも高い利益率は、競合の不在など、ある種特殊な状況によってもたらされている可能性があります。
しかし、利益率の高い分野というのは、他社から見て魅力的なため、そのうち参入が相次ぐでしょう。そうして利益率が低下し、減益基調になるというのは、ビジネスの歴史の中で繰り返されてきました。
反対にいえば、利益率の低い企業の改善過程は絶好の投資チャンスかもしれません。数年前の日立製作所などは良い例です。
2.チャートを眺め、下落している銘柄に注目する
52週安値を更新している銘柄に要注目。通常最高値から60~70%下落している銘柄にしか投資しないようです。ただし、例外は株価が横ばいでも収益が向上しているケース。
また、下落理由は短期的なもので、長期的な業績動向は強さを保っていければならない。
優良企業の一時的なバットニュースで買うイメージですね。
3.株価が本当に安くなるまで投資しない。保有株の大半はPERは12倍以下。
競合するバリュー株投資家が何を買っているか確認するが、そうした投資家より30%以上割安な価格で買ことを目指しているようです。そのために、儲かりそうな銘柄の大半を見送っています。
これについては、個人的にはよい基準かどうか判断がつきません。彼は、10銘柄程度しか保有しないため、こうした厳しい基準を用いているようですが、より分散を効かせれば、基準をそこまで厳しい基準を用いなくてもすみ、より多くの投資機会を捉えることができるからです。
しかし、厳しい基準を用いているこそ、彼の価値トレード比率は90%超となっている模様です。
4.業界紙をよく読む
新聞など一般的な情報源に頼ってばかりではほかの投資家を出し抜くのは難しいということでしょう。投資を検討している分野の業界紙から、特異な洞察を得ることを図っています。
個人投資家が真似をするのは難しいですが、ピーターリンチ的に自分の専門分野を掘り下げて投資すれば、うまくいく、といえるかもしれません。
興味深い洞察
投資手法とは直接関係ありませんが、彼は市場価格がどのように決まるかについて興味深い洞察を持っています。効率的市場仮説に基づけば、市場は常に正しい情報を価格に織り込む、とされています。これが必ずしも正しくないことは、さまざまな実証研究から明らかにされていますが、彼は一言で
「市場は各投資家の見解の(投資資金を加重した)平均値を織り込む」
と効率的市場仮説を否定します。根拠は示しておらず、反論もいろいろできそうですが、実務家の直観に、なんとなく正しそうだなって納得させられます。
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