堕ちる企業の3条件(と悲しい思い出)
この記事は空売りで利益を出すファンドの投資戦略をまとめる。しかし、投資手段としての空売りを推奨するわけではない。ここであげた条件を満たす企業を避けることで、ロング(買い持ち)オンリーの投資家の銘柄選択にも役立つことができると考えている。また、就職先、転職先に危ない兆候がないか、見分けることに少しでも役立つのではないかと期待している。
以下に堕ちる企業の条件を示す
1、在庫が膨らんでいる
在庫が膨らむのは危険信号だ。企業は在庫を膨らませることで、操業度効果によって原価率の低減を図ることができる。つまり粗利益率を操作することができる。
ただし、ここでいう在庫の増加とは、対売上比でのことだ。売上が増加中の企業は、在庫をその分多く持つことはいたって普通のこと。
危険なのは、売上高に占める在庫の比率が(大きく)増加していることだ。
2、売掛金が急増する
売掛金とは、売上は計上したものの、相手先からの入金がまだのものだ。この売掛金が膨らんでいる企業は注意したほうがいい。相手先からの入金がない売上が増加している、すなわち質の低い売上が増加していることになる。取引先に無理(入金は6ヶ月先でいいで~、みたいな)を言って買い取ってもらっているケースなどが想定されるが、最悪なのは粉飾だ。売上の実体がないのに売上計上したなら、入金がないのも当然。必然、売掛金はいつまでも売掛金のままだ。急増することになる。
3、監査法人が急に交代(辞任)する
監査法人が急に交代することは危ない。それだけで株価は5%くらい下げても良い気がする。監査法人は企業から報酬をもらって監査している。辞任するなんて余程のことだ。余程とは、このまま監査を続けると自分たち(監査法人)がリスクを負うことになるってことだ。すなわち何らかの不透明な会計処理が行われている可能性が極めて高い。
総括と悲しい思いで
1と2、どちらもBS(貸借対照表)が膨らむことになる。(売上)成長をはるかに超えて、BSが膨らむ企業は危ない。
その上で監査法人まで交代したら、もはや詰んでいる。
実体験がある。
2006年当時、簡単な企業の業績コメントを大量に書くアルバイトをしていた。その担当銘柄の中にIXIという銘柄があった。
売上高は急成長、利益の伸びも申し分ない。私は好意的なコメントを書いた。経験が、知識が、浅すぎた。
私は見落としていた。同社のBSが急速に膨らんでいたのを。
まもなく同社は、循環取引(不正会計)が発覚し上場廃止、その後倒産することとなる。
当時アルバイトで本当に良かった。会社員としてあれを喰らったら死んでしまう。
なお、一連の事態が発覚した後、私の上司は「IXIは危ないと思っていた。漢字の凶に似ている」と宣っていた。
うるさいよ
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