FXに影響を与える債券ニュースの読み方
債券のニュースって理解しにくいと思いませんか?
私は社会人になったばっかりの頃、そう思ってました。
株式のシンプルさに比べて、債券って特殊な用語が多くて難しいな~って。
でも当然のことですが、金融市場って全て繋がっていて、各国の金利は為替に影響を与えるし、為替は株式に影響を与えます。
特に債券の金利と為替(FX)の関係はとても深くて、債券ニュースを知ることは為替ニュースを理解することにもつながります。
なので、自分のメインでやってる市場(例えば為替、株式)以外の知識も一定は必要かなぁ~って思ってますので、債券ニュースの読み方解説(基礎用語と基本的な考え方のみ)をやってみます。
下のニュースを題材にします。
米国債(20日):利回り曲線フラット化、縮小見送り観測外れ - Bloomberg
いきなりタイトルからわかりづらいのですが、
利回り曲線(イールドカーブ)とは
債券は償還期間(元本が戻ってくるまでの期間)がさまざまに分かれていまして、それぞれに異なる金利水準となります。一般的に短期金利は低く、長期金利は高くなります。
イメージこんな感じです。
(図の出来が悪いですが)伝えたいイメージは、この棒グラフの頂点を結んだ曲線?が利回り曲線ってことです。イールドカーブって呼ぶことが多いです。この曲線の形状は、その時のマーケットが織り込んでいる事象しだいで様々です。ただ、特殊なケースを除いて右肩上がりになっているってことは大きな特徴です。
フラット化とは
利回り曲線は右肩上がりなのですが、フラット化とはこの曲線の勾配がなだらかになることです。
フラット化するパターンとしては、以下のパターンがあると思いますが、それぞれ名前がついてます。
長期金利が(短期金利以上に)低下する → ブルフラット
短期金利が(長期金利以上に)上昇する → ベアフラット
短期金利が上昇し、長期金利が低下する → ツイストフラット(図の矢印方向にねじれて移動)
スティープ化とは
反対にスティープとはなんでしょうか?
フラット化の反対で、上の図の金利の構造が急こう配になることです。イールドカーブの傾きが急になるのでスティープ(急こう配)化ってことですね。
具体的には、長期金利が短期金利以上の上昇すれば、傾きは急になるのでスティープ化ってことになります。
より詳しく分類すると以下のようになります。
長期金利が(短期金利以上に)上昇する → ブルスティープ
短期金利が(長期金利以上に)上昇する → ベアスティープ
これを実際のニュースに当てはめて読んでみる
上記の内容を頭に入れて記事の中身、について読んでみます。
米国債市場では5年債と30年債の利回り差 が3日連続で縮小。連邦公開市場委員会(FOMC)が緩和縮小を来年まで見送るとの予想が外れ、この見通しに基づいた持ち高の解消が続いた。
5年債と30年債の利回り差 が3日連続で縮小
フラットニングですね。
金融緩和は総じて金利を押さえ込む方向に作用しますが、その効果は短期と長期で異なります。
短期金利は金融政策の影響を直接受けるため、金融緩和による金利上昇抑制が効き易いのですが、長期金利については将来のインフレ率の上昇などを織り込むため相対的に金利上昇を押さえ込みにくい、という性質があります。
当時のFOMCは、金利市場の予想外のタイミングで金融緩和縮小(テーパリング)開始を決定しました。
これはマーケットに織り込みきれていなかった事象であるため、マーケットはそれを織り込みにいきます。
織り込みかたとしては、金融緩和が強く作用している短期金利(年限の短い債券、ニュースでは5年債)を長期金利に比べて(短期債券を売ることで)上昇させることになります。
「短期金利が長期金利より上昇した」ってことなのでフラットニングということになります。より詳しく言うなら長期金利も上昇し金利全般が上昇する中でフラットニングが起きたので、ブルフラットということになります。
クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、アイラ・ジャージー氏は「長期国債の利回り上昇を見込んだ持ち高の反転で、長期債はかなり上昇している。利回り曲線のスティープ化を見越した参加者が逆を付かれ、リスクを抱えたまま休日を過ごしたくなかった」と述べた。
記事の流れに沿って書いていたので、最後に超基本的な内容が来てしまいました。
長期債が上昇=長期金利が低下
債券価格と金利は逆の関係になります。
この辺が分かれば上記のニュースは理解しやすくなるのではないかな~、と思います。
フラット化している国とスティープ化している国、どっちの為替が強い
最後に金利がフラット化している国とスティープ化している国は、どちらの通貨がFX市場で強いでしょうか?
通貨が強くなるのは、スティープニングしている国になります。
なぜかと言えば、スティープニング化している国は、短期金利が金融緩和などの影響で低く抑えられていて、将来のインフレ圧力上昇を見込んで長期金利が高止まりしているからです。
金融市場が、将来の金利引き上げを見込んでいるわけですね。
金利引き上げは、為替の上昇要因なのでスティープニング化している国の通貨は強くなりやすいのです。