だめだめ案件。日立マクセルの再IPOと親子上場の微妙な関係
日立マクセルがIPO。まれに見るひどい結果に
日立マクセルのIPO(新規株式公開)が行われましたが、初値1,971円と公募価格2,070円を約5%下回る非常にふるわない結果となりました。初値形成後も株価は戻ること無く、1,790円(公募価格比▲280円)と大幅安で終了しました。
IPOなら何でも上昇、ものによっては2,3倍って市場環境で、このマイナスは異彩を放ってます。
日立マクセルが4年ぶり上場 初値1971円 公開価格5%下回る :注目株概況 :株式 :マーケット :日本経済新聞
日立マクセルは、2009年7月に、日立製作所が完全子会社化すると発表(グループ上場5社同時)。その後、1,740円で株式公開買い付け(TOB)を実施した上で、本体の日立製作所との株式交換によって日立の完全子会社になり、2010年3月29日に上場廃止されていました。
日立による日立マクセルの株式交換による完全子会社化に関するお知らせ
今回は約4年ぶりの上場となります。
日立が「日立マクセル」を独立させ、再上場する理由 黒字でも「非中核事業」は切り離す : J-CASTニュース
でも、こうした再上場案件に対する市場の見方は厳しく、冒頭のような結果になりました。
1,740円でのTOBなどによって非上場化しておいて、2,070円で再上場では親会社のファイナンスに使われたって批判がでてくるのも仕方ないかと思います(ただ、この間に日立マクセルが大幅な業績改善を果たしたのは事実ですが)。
なぜ、ここまで評価が低かったのでしょうか?
親子上場がなぜいけないか
今回のケースがそうだとは言いませんが、一般論としてなぜ親子上場がいけないのか、と言う話を。
親会社と子会社が取引を行う際、一般に価格の決定権は親会社がもつ。
と言うことは、子会社の業績は単価のコントロールを通じて親会社の思うがまま。
これは、株価も、ほぼコントロール可能なことを意味する。
だとしたら、子会社を買収したいと考える親会社は、子会社との取引にあたり単価を下げて子会社の業績を悪化させようとするインセンティブを持つ。
そして、業績が悪化し、株価が十分に下がったところで買収する。
ほとぼりが冷めた頃、高い価格で子会社と取引して、(子会社の)業績を押し上げ、高い株価で再度上場させる。
これを繰り返せば、親会社にとって非常おいしい資金調達手段である。株式市場からいくらでもお金を引っこ抜ける。
繰り返すが、今回のケースがそうだと言っているわけではない。日立マクセルは親会社との取引比率は高くなく、業績改善も市況回復による影響が大きいだろう。
ただ、一般論として、親会社が上場子会社は買収して、その後上場させるっていうのは非常に筋の悪い案件といえる。
そのイメージの悪さが、今回のような結果につながった可能性は高いだろう。後、公募価格が高すぎw。
やはりネタ化されてます
主幹事証券の誠意って何かね?再上場の日立マクセルにSMBC日興証券の買い支え入らず上場廃止の終値すら割れる : 市況かぶ全力2階建
主幹事のSMBCが批判の矢面に。でも、批判されるべきは公募価格の割高さな気もする。
再上場ダメ絶対!日立マクセルが公募割れにセカンダリまで虐殺 : 株式投資のアレコレ
足利HDは多少上がりましたけど、再上場が印象悪いのはその通りかと。足利HDのように正々堂々つぶれたほうが再上場の印象は良いのかも。