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スコットランド独立に関わる問題点を整理



スコットランド独立問題のまとめ

英国はイングランドを中心とした連合王国であり、その一角を担うスコットランドで独立の機運が高まりました。

この独立問題は、展開次第ではFXに限らず金融市場に大きな影響を与えると思われる重要事象でした。その展開についてまとめます。


独立の是非を問う住民投票を前に独立賛成意見が多数派となったとの世論調査を受けて、英ポンド(GBP)の価値は大きく下落、オプションのボラティリティも高まって為替市場の攪乱要因になりました。このイベントは日本にいるとなかなか実感が伴いものの、世界のFX市場では注目を集める重要なイベントでした。

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そもそも独立って出来るの

住民投票で可決されれば独立できるのか、合法性は担保されているのかっていうのがまず気になるところ。これについては 2012年1月に英政府、スコットランド自治政府間で結ばれたエディンバラ合意(キャメロン英国首相とサモンド・スコットランド第一首相の間で、スコットランドの独立に関する国民投票を実施することが決定)に基づき、本投票はスコットランド自治政府の管理下で行われ、結果の正当性が認められることになっています。
結構前から準備されていたのですね・・・

 

誰が投票するの?

2014年9月18日時点で満16歳以上の、スコットランド在住の英国民に選挙権が与えられることになっています。独立反対派が大量に引っ越したらどうなるんだろw

住民投票の結果は?

投票者の賛成過半数の場合、スコットランドは協議を経た後の独立が認めらます。反対に反対過半数の場合は引き続き英国の一部となります。

スコットランドの英国内の地位(シェア)
スコットランドは英国の、面積の30%超、人口の8%超、GDPの9%超を占めています。
ただし、スコットランドは日本の地方みたいなものなので高齢化が深刻。スコットランドの人口うち65歳以上の人口が占める割合は17%前後で、15歳以下の割合を上回っている模様。イギリスは移民に積極的なので比較的良好な人口動態を維持していることを考えると、英国の財政は、高齢化の著しいスコットランドが切り離されることで社会保障費が削減され改善するのでしょうね。

 

もし分離することになったら発生する問題

ポンドの使用権

独立したスコットランドがポンドを継続使用することに英国は難色を示しています。スコットランド自治政府はポンドの継続使用を希望しているため、交渉材料になりそう。
英のキャメロン首相率いる与党・保守党と連立パートナーの自由民主党の他、最大野党の労働党も独立に反対しており、住民がスコットランド独立を決めても通貨同盟は結ばない(ポンドは使わせない)としています。これに対し、スコットランド行政府のサーモンド首相は、ポンドの継続利用を妨げることはできないと主張しています。

 

独立スコットランドはEUに加盟できるのか?

スコットランドは欧州連合(EU)への加盟を希望してるが、加盟国の分離・独立は前例が無く、再加盟の手続きは極めて困難と言われています。
ポンドの継続使用を希望するスコットランドに対し、元EU commissioner for monetary unionのオリー・レン氏は中央銀行、独自通貨を持たない国のEU加盟を認めないと発言しています。
またEU加盟には、ERMⅡ(為替相場メカニズムⅡ)の元で自国通貨の価格水準が二年以上安定していること等の実績が条件としてあります。独立国スコットランドが新たな独自通貨を使用する場合もEU加盟には時間がかかるでしょう。

 

北海油田問題

スコットランドが独立したいって考えになびく最大の要因がこれでしょう。現状は北海油田のほとんどはスコットランド領海内にあるもののその収益は英国全体で享受しているため、独占したいって思いが強い。
スコットランドに北海油田を取られてしまったら、英国の財政・貿易収支の悪化は免れなさそう。
ただ、北海油田は歳出のピークが過ぎており、英国のGDPに占める割合は1.5%ほど(ピーク時は6~7%)なので、壊滅的な影響って訳ではないかな。


債務問題は?

現在英国が抱える債務のうち、独立スコットランドが負担する割合は1000億ユーロ以上と見積もられています。ただ、この辺は債務の帰属が曖昧な部分もあり、交渉次第って見方が多そうです。

 

追記

独立投票の結果、ユニオンジャック変わらず。

2014年9月、独立反対派が55%を制し、独立は否決されました。ユニオンジャックからスコットランドの色が抜けることは当面なくなりました。

ただし、独立派も地方自治の権限拡大など勝ち取ったものもあり、行動を起こすことで中央政府から一定の譲歩が引き出せました。痛み分けに近い結果といえます。

今回の件で分かったのは、欧州は現在統一国家となっていても、潜在的に独立志向が強い地域が多数存在していることです。スペインのバスク地方(バロセロナを含む)などはその代表的な存在でしょう。

今後も、欧州の民族意識の高まりには注意を払いたいものです。

 

なお、このスコットランド独立問題は、ポンドのレートに通常とは大きく異なる値動きをもたらしました。金利とFXレートの観点からまとめた記事あるので以下をご覧ください。

スコットランド独立問題の再燃

2016年6月、英国でEUからの離脱の是非を問う国民投票が実施されました。

結果は大方の予想を裏切ってのEU離脱。

スコットランドでは、EU残留派が62%を占める親EUの地域です。

この民意を受けて、スコットランドではEUに残留するため、英国からの独立を目指す動きが再度活性化してきています。スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は「スコットランドの未来はEUとともに歩むことだ」と発言しています。

 

英国の国民投票の位置づけをまとめた記事