中国がサーキットブレーカー導入
2016年、中国がサーキットブレーカーを導入しました。サーキットブレーカーとは株式市場などの相場の急落局面で過度の変動を抑えるため一時的に取引を抑制(または終了)させる制度のことです。
新年早々金融市場が大荒れになっている要因の一つとして中国のサーキットブレーカー導入があげられています。
何が起きたのか
昨年末から中国株式市場は以下のような強いストレス状況下にありました。
12 月以降、人民元の対米ドル相場が下げ足を速めており、さらなる人民元安と資本流出への懸念が強まっており、また 15 年末頃から銀行間資金が逼迫し、過去2 週間で翌日物と2 週間物の上海銀行間金利が約20bp 上昇するなど金融市場が逼迫しています。
また、1 月8 日には上場企業の大株主の持ち株売却禁止が解除される予定でした(大株主の持ち株売却禁止措置は15 年夏の相場急落時に導入)。
こうした状況下で16 年の最初の取引となった1 月4 日はサーキットブレーカー制度の導入初日でした。CSI-300 指数は13 時13 分に前営業日比5%下落し、取引が15 分間停止された。取引再開後も6 分間でさらに2%下落し、国内上場株式、株式に投資するETF(上場投資信託)、転換社債、株式指数先物などの取引がそれ以降終日停止されることになりました。
また、1月7日にも取引が始まって30分ほどでサーキットブレーカーが発動し、中国市場は売買できない状況となりました。
サーキットブレーカー導入国は多いが、なぜ中国のみが混乱したのか?
サーキットブレーカー制度は米国、韓国、日本を含む多くの国で採用されており、基本的に相場の変動を抑制する効果を上げているとみられています。一方で中国のサーキットブレーカーはかえって相場の変動要因になったと言われているのはなぜか?
それには以下の要因が指摘されています。
中国のサーキットブレーカー制度では CSI-300 指数が5%変動した場合に取引が15 分間停止され、その後7%変動した場合に取引が終日停止される仕組みとなっています。
しかし、まずこの15分間停止のトリガーとなる5%が近すぎる。株式市場は価格変動性が高い(局面もある)ため、5%程度では、(特に中国のような新興市場では)結構あたりやすい位置にあります。
そして一時停止の5%と取引停止となる7%の差が小さ過ぎる。
これではサーキットブレーカー適用で動揺した投資家の売却で、連鎖的に7%の取引停止ルールが適用されます。それによって中国株は売買が著しく制限された資産になっていまうため、中国市場からの資金流出が続いています。
ちなみに米国では変動率の基準が7%、13%、20%の三段階となっており、日本では日経平均先物などのメジャーな先物では8%、12%、16%の3段階制になっています。ちなみに韓国でも8%、15%、20%の三段階のステップとなっています。
これらの国(株式市場)のようにサーキットブレーカーは一定の幅を持たせて設定しないと、売買を一時止めて投資家に冷静な判断を促すっていう本来の役割が発揮されません。
中国のサーキットブレーカーは制度の目的とは反対に投資家を焦らせるだけになってしまっているってことだと思います。
そして1月8日、中国当局はサーキットブレーカーの適用を一時停止すると発表しました。制度を改良するつもりなのでしょうね。