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好調なホテルビジネスと民泊解禁。ホテル系リートの特徴とは?



ホテルは超景気敏感な商売

ホテル事業は超景気敏感な商売です。

ホテルという箱にかかるコストはほぼ一定であるため固定費が高く、一方で変動費は低い。売上に連動してコストが増えにくい構造のため、客が増えれば急激に利益が伸びる。

反対に客が少なければ高い固定費を賄うのが苦しく、業績は急激に悪化する。

そのため、アメリカでは景気が落ち込んだときに倒産するホテルを買収して、その後の景気回復局面で売却するっていうのが大きな投資ビジネス(ディストレス投資)になっています。

こうした性質があるため、アベノミクス以降のホテルを保有するREITの業績は急激に回復しています。

 

インバウンド銘柄の代表としてのホテル系REIT


観光庁のデータによると、2014 年の国内延べ宿泊者数は前年比 1.6%増の 4 億 7350 万人が宿泊したことになります。2015年 1~11 月の国内延べ宿泊者数は前年同期比 6.9%増の 4 億 6566 万人(泊)でした。

また、円安を追い風にインバウンド需要が急激に伸びており、同期間の外国人宿泊者は 49.3%増の 6,077 万人泊であり、延べ宿泊者数全体に占める外国人比率は 13%にまで上昇しています。
円安の進行や LCC 就航数の拡大、東南アジア向けのビザ発給要件の緩和等もあり、訪日外国人旅行者数は急速に拡大中。

2009 年に 679 万人にすぎなかったインバウンド数は 2014 年には 1,341 万人へと増加しています。2015 年は 11 月までで 1,796 万人と年間 2,000 万人に向けて拡大すると見られています。

ホテルはなかなか供給が増えないため、稼働率が上昇中


一方、国内ホテルの客室数及び施設数の伸びは緩やかです。

前述したようにホテルは景気敏感なので、好調なときに調子に乗ってどんどん建てると景気悪化局面で簡単に倒産します。そのためそう簡単にはホテル供給は伸びません。

国内ホテルの客室数は 2014 年末時点で 83.5 万室であり、5 年前の 2009 年末比 4.6%増にとどまっています。

各種報道や公表資料等から見ても 2015 年~17 年の 3 年間で全国約 21,700 室分のホテルの開業が予定されているものの、全体に与える影響はごく軽微です。


全国のシティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテルの稼働率を見ると、全セグメントにおいて 2015 年は 2011 年以降で最も高い稼働率で推移しています。2015 年 1~10 月における単純平均稼働率はシティホテルが 80%、ビジネスホテルが 75%。東京都に所在するシティホテル、ビジネスホテルの単純平均稼働率(2015 年 1~9 月)は 83%、86%と非常に好調。

 

宿泊単価が上昇してきた


2012年頃までは稼働率重視で宿泊単価(ADR)の上昇はあまり見られなかったものの、2014年以降はひっ迫したホテル需要、客室の高稼働率を背景に宿泊料の引き上げに注力してきました。

総務省が発表している小売物価統計調査における宿泊料の月次推移を見ると、2015年は2014年を 10%前後上回る水準で推移しています。


2014~15 年は J-REIT が保有するホテルにおいても、客室当たりの売上が前年比2桁%台で上昇しています。今後も国内レジャー需要の拡大や訪日外国人の拡大で良好な環境が続くとみられています。

民泊問題

好調なホテル事業に対する懸念事項として、民間の家が商用で宿泊可能になる民泊の解禁があります。

1月12日に開催された民泊解禁に関する厚生労働省と国土交通省の有識者会議で、民泊の部屋の貸し手に対し旅館業法の営業許可の取得を促す対策案を了承したと報じられています。

その内容には、政府の規制改革会議は、民泊の旅館業法は適用外にすべきとの意見が出る等、民泊の全国解禁に対する意見調整に時間がかかる可能性がある、というものが含まれています。

結局、厚生労働省及び国土交通省は 2016年 3月末迄に有識者会議の中間報告を取りまとめることのようです。
簡易宿所としての営業許可が必要となれば、都道府県知事の許可が必要仮に、厚生労働省と国土交通省が主張する民泊の部屋の貸し手が簡易宿所(例としてはベッドハウス、山小屋、スキー小屋、ユースホステル、カプセルホテル等)としての営業許可が必要となった場合、貸し手は都道府県知事(保健所設置市または特別区では市長または区長)の許可を受ける必要があります。

現在簡易宿所は客室の延床面積が最低 33㎡以上、フロントの設置等が義務付けられているが、今後これらの義務は民泊に対しては適用外になる可能性が高いとも報じられている。

今回の報道によると外国人観光客の急増で、旅館業法に反する民泊が増加しているため、関係官庁としては衛生面や災害時の宿泊の安全の確保のためには営業許可が必要とする意見や、ホテル協会側としては利用者の安全・安心確保の観点から安易な民泊解禁に懸念を示す等、全国解禁に向け様々な意見が出ているようです。

利害関係者が多く、さまざまな政治の力学が働きそうで、実現までには紆余曲折ありそうな展開です。また、国家戦略特区内で 2 月から民泊を解禁する大田区では 7 日以上の滞在日数が条件として付与されているため、訪日観光客の平均滞在日数である3.5日を大幅に上回る制度になっており使い勝手が悪くものになっていくル可能性もありそうです。


このように、民泊の全国での解禁が遅れることは(日本全体にとってはネガティブなものの)ホテル業界にとってはメリットとなりそうです。