ノルウェークローネについてのまとめ
為替でノルウェークローネに投資したいときに役立つ特徴などをまとめます。
ノルウェー経済
ノルウェーは日本とのかかわりにおいては魚介類の輸出が中心で、反対に日本からは自動車関連製品を輸入しています。ノルウェーサーモンがとくに有名ですね。
捕鯨国なので明治時代から日本との捕鯨の技術的交流もあったようです。
しかし、ノルウェーの基幹産業はあくまでも北海油田で生産される原油を基盤にした石油産業です。ノルウェー経済のGDPの約15%が石油産業に依存しています。
北海油田からの石油・ガス収入は莫大で、ノルウェーの国富ファンドは世界有数の規模のファンドとなっています。日本の不動産に投資するために、東京に自前で投資拠点を開設するなどその活動は世界規模です。
また、原油収入は、国家財政にも大きな影響を与えており、政府の債務が存在しない無借金国になっています。人口が500万人程度しかいないなかで大きな原油収入があることが、巨大な国富ファンドや政府の無借金に繋がっているのでしょうね。
原油価格と関連性が深いノルウェー・クローネ
ノルウェー経済が原油と関連性が深いことから、ノルウェー・クローネの価格は原油価格と深い関連性を持ちます。原油価格が上がればノルウェークローネは上昇し、下がれば下落するってことですね。
ノルウェークローネは通貨なので当然中央銀行(ノルゲスバンク)の金融政策が大きな影響を持つわけですが、その中央銀行の行動自体が原油価格との相関が高くなっているので、どうしても原油が重要って結論になってしまう通貨です。
ノルウェーの金融政策の決定方法
国富ファンドの運用も行う独特の中銀
ノルウェーの金融政策を決めているのはノルゲスバンクと呼ばれるノルウェー中央銀行(Norges Bank)です。この中央銀行は先進国としてはかなり独特で、投資部門(Norges Bank Investment Management(NBIM))を抱えています。ノルウェーの国富ファンドはここで運用されています。
ノルウェー中銀の金融政策の目的
ノルウェー中央銀行の金融政策の目的は大きく分けて3つあります。
その3つとは、物価の安定、通貨価値の維持、生産と雇用の安定です。物価の安定は世界中の中銀が目的としていますが、後ろ二つはなかなか踏み込んでいます。米国FRB以上の(自国経済に対する)責任を負っています(FRBは物価と雇用に責任を負っている)。
ここでいう物価の安定の定義としては、インフレターゲットによってインフレ率(CPI)が前年比+2.5%となることを目標としています。結構アグレッシブ。インフレターゲットの設定は政府(財務省)が行っています。
金融政策の意思決定機関
金融政策の決定の場としてNorges Bank Executive Boardが年6回開催されます。経緯低内容の発表は、会合終了直後の日本時間17:00(夏時間)または18:00(冬時間)です。 その後、総裁か副総裁による記者会見が行われます。
金融政策に関して公表される資料としては金融政策ステートメントがあります。これは レートアナウンスメント時に発表され、金融政策の決定に影響 を及ぼした経済動向についての説明されています。
また、金融政策レポートという資料も年間4回3月、6月、9月、12 月に発表されます。 金融政策レポートには政策金利、ノルウェー経済の見通しが掲載されています。
ノルウェー中銀の為替市場へのかかわり方
ノルウェーの外貨準備はノルウェー中銀(ノルゲスバンク)が保有しています。それを用いて、金融システムの安定などを目的とした為替介入を行う事が可能である。
ノルウェー中銀は為替介入を金融政策ツールの一つとして考えており、ノルウェークローネの為替レートが中銀が適切と考えているレートから大きく乖離し、それによりイ ンフレ・ターゲットの達成が難しくなった場合は介入を行うこととしています。あくまで物価の安定のために為替をコントロールするっていうスタンスですね。また、為替マーケットの流動性が非常に低く、短期的に為替レート の変動幅が大きすぎる時は経済の安定の観点から介入を行うこととしています。ただし、為替介入による長期的なFXレート操作は意図せず、1999年1月以降は為替介入を行っていません。
ノルウェーとEUのかかわり方
英国がEUから離脱するにあたってノルウェーとEUとのかかわり方に注目が集まっています。ノルウェーは独自通貨クローネを採用しているだけでなく、EUに非加盟です。
しかし、EUとは経済的・政治的に非常に密接。
どのような仕組みをとっているのでしょうか?
ノルウェーはEUの巨大市場に加盟国同様アクセスできる
英国がEUから離脱したとしても、EUは豊かな人口が5億人もいる巨大市場。
経済的にはEUに加盟国同様の交易が出来ることは死活的に重要です。
それを達成しているのがノルウェーです。
なぜEUに非加盟のノルウェーがEU市場と優先的に貿易できるかと言えば、欧州経済領域(EEA)に参加しているためです。
EEAは1994年に発足したもので、EU加盟国(28カ国)及び非加盟欧州国であるノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインに対し、モノ、サービス、資本、人の自由を保障しています。
ノルウェーにとって欧州経済領域(EEA)は超重要
ノルウェー経済にとって欧州経済領域(EEA)は欠かせない存在です。輸出品の80%はEUへ売却し、輸入品の60%以上はEU加盟国から購入しています。だからといって、EU市民が制限なく自国に住んだり働いたりする権利を認める義務がノルウェーにあるわけではない。英国で離脱に投票した人の多くは、こうした権利に反対している。
EU非加盟国としてノルウェーが有する権利
ノルウェーは、いくつかのEU共通政策と距離をとっています。
農業、漁業、対外貿易に関する政策ではEUの指示は受けていません。
特に漁業はノルウェーの基幹産業であるため、EUが漁業に口をはさむことへの抵抗感が強いのです。1994年のノルウェーのEU加盟の是非を問う国民投票では、漁業の自立権がEU非加盟を選択する決め手になりました。
EUの政策に対するノルウェーの発言権の弱さ
ノルウェーはEUの政策決定に関与できません。これはEUに加盟していないのである意味当たり前なのですが、ノルウェーはEEAに参加していることからEU法の多くを受け入れなくてはならないことを考える若干つらい仕組みです。ノルウェーはEEAの規制に従う必要があるのに、EEAの法律の策定には直接発言できないわけですから。
それでもノルウェーはEUに加盟しない
ノルウェーはEUに加盟しないにもかかわらず、経済的には一体となるという特殊な地位にいます。でも、EUに加盟して積極的にEUに自分たちの主張をすべきとする考え方は無いのでしょうか?
これにはノルウェー国民の間でも見解は分かれています。しかし、世論調査の結果をみればEU非加盟の決定が覆ることはないように見えます。ノルウェー政界のトップは、EU加盟を支持すると述べているますが、世論調査では国民の約70%が非加盟を支持しています。
ノルウェークローネが、独自の地位を維持することは長く続きそうです。
主要国通貨の特徴記事
1.ユーロの特徴