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アラブ首長国連邦の通貨UAEディルハムの弱点は、ユーロ問題と共通か?(AEDJPY)



統合通貨の弱さとUAEディラハム

ユーロは1991年1月の利用開始以来しばらくはドルの代替通貨として堅調な展開が続いてきましたが、欧州債務危機以降は加盟国が集まって作った統合通貨としての弱点があらわになっています。

そんなユーロですが、世界にただ一つの統合通貨というわけではありません。

中東のアラブ首長国連邦(UAE)の通貨UAEディルハムもある意味では統合通貨なのです。

UAEとは

UEAはスポーツ面でたまに日本のライバルとして登場することがありますが、その他の部分ななじみがある人は少ないでしょう。

7つの首長国(首長とは部族長的イメージ)が集まってできた国ですが、アブダビ首長を大統領と仰いでおり、国として成立しています。なお、その他の構成国はドバイ、シャルジャ、アジュマン、ウムアルカイワイン、ラスアルハイマ、フジャイラとなっています。

原油の埋蔵量が世界5位と豊富なので、石油化学産業が盛んなのですが、(アブダビに次ぐ力を持つ)ドバイが金融や観光などにも力を入れて経済成長を進めています。

アラブの春でも安定

UAEはアラブの春では近隣国ほどの困難には直面せず安定を保つことができました。その理由は、UAEの人口の85%が海外からの移民であり、景気や雇用情勢の良し悪しを見ながら移民調整が行われていることです。

サウジアラビアのように若年層が増え続けている国は若者に職を用意する必要がありますが、UEAは景気が悪くなったら移民の受付を止めればいいので労働力のコントロールが容易なのです。 

UAEの歴史

1971年にUAE独立

1968 年に第二次世界大戦を経て財政上の余力がなくなった英国が、スエズ以東での撤退を宣言したことで、UAE など今の中東諸国の独立が進むことになります。

アラブ首長国連邦(UAE)の歴史は、1971 年に当初は6 首長国体制で成立し、72 年に現在の7 首長国体制となったことで始まります。

1973年にUAEディルハム導入

現在のUEAを構成する地域では、1900 年代中頃より、インドルピーがこの地域では流通していました。

同じ英国の植民地で、イギリスとの経済的な結びつきでインドルピーが採用されたようです。

1959年にはインドは国外のみで流通する湾岸ルピーを導入したが、1966 年に英ポンドでの湾岸ルピーの価値を切り下げます。

それを切っ掛けにルピー離れが進み、ドバイはカタールと共同でカタール・ドバイ・リアルを導入することになります。

 

アブダビを除く、UAE の首長国では1973 年のUAE ディルハムの導入まで、カタール・ドバイ・リアルが流通していた。

このときUAE最強国のアブダビは、バーレーン・ディナールを採用しました。

 

1971年にUAEは成立しているわけですが、統合通貨であるUAEディルハムが誕生するのは1973年です。

アブダビ首長を大統領とする(一応は)一つの国なのに、この辺りまでは各首長国で採用通貨が別なわけですね。 

ドバイショック

無理な不動産投資でドバイショック

そのドバイですが、アブダビに追い越せ追い抜けで無理な投資を続けた結果、2009年のドバイショックで試練にさらされます。

パーム・アイランドなど海上不動産開発というのは、多額の費用がかかる割に回収可能性が不透明な投資です。

ドバイのパームアイランド

その会場不動産開発を積極的に進めたナキールなどを傘下に持つ政府系持株会社ドバイ・ワールドが資金繰り難に陥りました。

海外からの資金流入に頼っていたドバイにとって、前年のリーマンショックで金融市場が冷え込んだのが痛手でした。

ドバイ・ワールドの資金繰り難は、政府系持株会社ドバイ・ワールドに最も貸し込んでいて融資残高の多い英系金融機関の信用不安につながり、世界的に金融市場が動揺することになります。

アブダビの支援で解決

ドバイショックを収束するため、UAEの中心首長国であるアブダビが支援に乗り出します。

UAE 中銀やアブダビ国立銀行がドバイを金融支援し、アブダビ首長国もドバイ首長国を救済する方針を示したことでドバイ危機は終息した。

ドバイ首長国としては、追い越したいと願っていたアブダビ首長国に救済されるという皮肉な結果になりました。

統合通貨の脆弱性

UAEでは連邦予算制を採用しており、各首長国の財政は統合されています。連邦予算の8 割を産油国であるアブダビが拠出し、1 割をドバイ、残り1 割を連邦政府の税収でまかないます。アブダビ、ドバイ以外の5 首長国の財政負担はゼロなわけですね。

実質はほぼアブダビが全体の費用を賄うことで連邦国家が形成されている国なのです。

 

だから、ドバイの政府系金融機関が危機に陥ったとき、ドバイ首長国としては単独でそれを救済することができませんでした。

そのため、ドバイショックは世界に広がることになります。

 

すなわちドバイショックとは、1強他弱の連邦国家による弊害とも言えそうです。

 

日本の金融機関が危機に陥れば、日本政府はそれが金融危機に繋がらないように必死になるでしょう。

それはアメリカでも一緒です。

普通は1国の信用力の範囲内でしか借金はできないので、国が本気を出せば1金融機関の問題位なら解決可能なのです(スイスみたいにGDPと金融機関の大きさのバランスがおかしいと無理なこともある)。

 

しかしUAE国内のドバイ首長国で起きた問題は、アブダビ首長国が支援に乗り出すまで解決しませんでした。

これは、ドバイがUAE(ある意味アブダビ)の看板を使って、自分の力以上の借金をしてしまったことに原因があると言えます。

 

こうした統合通貨の信用力を使って財政を膨らませて借金を作ったEUのギリシャなど南欧諸国の問題に近いものがあります。

ギリシャもユーロ導入前は高金利で資金調達するしかなく、過度の(借金での)消費は不可能でした。それがユーロが導入されるとドイツの低金利にさや寄せする動きになり低金利での借金が可能になります。

域内最強国のドイツの信用力を一部借りて資金調達できるようになったわけです。

なんとなく、ドバイ問題と似ていますね。

やはり、国の信用力とそれがもたらす金利と通貨の強さのバランスって統合通貨だと崩れやすくなるものかも知れないですね。

 

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