インターバンク市場での取引方法を知れば、為替レートのスプレッドは為替市場の心理状態を示すことがわかる
為替レートの表示法
為替レートは通常、1ドル100円10銭ー15銭のように幅で表現されています。
これってなぜですかってことを説明したいと思います。最近書いている為替の超基礎シリーズです。
為替の取引はインターバンク市場と呼ばれる銀行同士が集まって取引を行う市場で売買されています。詳しくは下記記事でご確認ください。
インターバンク市場での取引の仕方
マーケットメイク方式とは
米国のナスダック(株式)市場ではマーケットメイク方式と呼ばれる、株価の形成方法が採用されています。この方式はかつて日本のジャスダック市場でも採用されていましたが2008年に廃止になりました。
このマーケットメイク方式とは、売買高が少ない銘柄を自由に売買できるように、証券会社(値付け業者)が常に売値と買値を提示するっていうものです。
普通の株式の売買では、買い手と売り手が同一価格で出会わなければ売買できないのに対し、マーケットメイク方式では投資家は証券会社が提示する価格を受け入れればそれで売買できるって方式です。
証券会社が、A企業株式を、売り100円ー買い110円みたいに売買可能な価格を提示することで、投資家にいつでも売買できるっていう流動性を提供しているわけですね。
インターバンクでのFXの取引方法
インターバンクでの為替取引の手法はマーケットメイク方式と似ています。
しかし、証券市場のように値付け業者と投資家に分けれているわけではありません。
インターバンク市場では参加者は基本的には銀行同士。どちらかが一方的に買い手になり、またどちらかが一方的に売り手になるわけではなく、双方が値付け業者でもあり投資家でもあります。
銀行がお互いに、ドル円なら100.10円なら買う、100.20円なら売るって値段を提示しあっているわけです。
取引する銀行同士が値付け(クォーテーション)をしているわけですから、このビットレート(買値)とオファーレート(売値)を同時に提示する事をトゥー・ウェイ・クォーテーション(Two-way Quotation)方式って呼ばれています。
ここで提示されるレートは銀行ごとに異なります。
・A銀行は100.05銭で買い、100.16銭で売り
・B銀行は100.10銭で買い、100.18銭で売り
というように、それぞれが異なる売りと買いの組み合わせを提示しています。
このように値段を持ち寄ったなか、インターバンクレートとして外に出るのは、最も競争力のある価格です。買値なら最も高い金額、売値なら最も安い金額ですね。
上の例なら、インターバンクがA銀行とB銀行のみで構成されていたとしたら、
最も高い金額で買うのはB銀行の100.10銭
最も安い金額で売るのはA銀行の100.16円
になります。
この場合のインターバンクレートは
100.10銭(最も良い値段で買う銀行のレート)ー100.16銭(最もよい値段で売る銀行のレート)となります。
FX(為替)レートの幅(スプレッド)が意味するもの
FXレートがなぜ幅で表現されているか、分かっていただけたかと思います。
最後にその幅が何を意味しているかを書いておきます。
為替レートが100.10銭ー100.20銭が買値と売値であることは、ご説明しました。買値(bid)と売値(offer)の差をスプレッド(spread)といいます。
この買値と売りの差(上の例なら10銭)は一定ではありません。銀行の提示するレートが局面によって違うからです。
銀行は、売値と買値を提示してしまったら、それを変更するまではそれぞれの価格で売買をしなくてはなりません。
そのため為替市場が大きく変動する可能性があるときなどは、価格提示をすることに不安がでます。自分たちのドル円買いの提示価格が100.10銭だとして、大きな円高要因(材料)が発生して市場のコンセンサスが98.00円になっても、100.10銭でドル円の買いを執行しなくてはならなくなってしまうわけです。
であるならば、このような大きな為替の変動が見込まれる際は、スプレッド(買値と売値の差)を広げておきたくなります。
最初から98.00円ー102.00円みたいにワイドに構えておけば、安心ですからね(これは極端な例で実際はこれほど広くはならない)
こうした状態は、為替市場の主体であるインターバンク市場が不安になっていることを示しています。
このように、市場(銀行)が為替の価値(交換比率、レート)がわからない時ほど、買値と売値の幅は広がるわけです。
FXをやっていて、スプレッドが広がったときは、インターバンク市場とその参加者である銀行が不安になっているのだなってことが分かります。
(スイスフランショックの時は、広がり過ぎてすごかった)
FX入門記事
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