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知っていますか?意外な外貨建て投資信託の仕組み



外貨建て投資信託について

外貨建投資信託って結構一般に普及しているにも関わらず、その仕組みは意外と知られていません。

ネットで「外貨建て投資信託」って調べると以下のような説明があることが一般的です。

外貨建て投資信託とは、外貨で取引されている投資信託のことです。基準価額や分配金などが外貨で表示されています。
円でも購入できますが、実際には一度外貨を購入し、その後投資信託を購入する仕組みになっているため、為替手数料が必要になる場合があります。外貨建てMMFも外貨建て投資信託のひとつです。

外貨建て投資信託│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券

 

このような説明ってちょっと本質的ではないかなぁ~って思っているので、「外貨建て投資信託」について説明してみたいと思います。

同時に通貨選択型の投資信託ってなんで通貨が選択できるかってことについても説明します。

 

富のイメージ

金融商品の尺度としての通貨

日本企業の株式だったり、日本の国や地方自治体の債券(国債、地方債)などの金融商品は多くの場合、日本円建てで発行されます(ユーロ円債のような例外はある)。

この円建てってことを強く意識して考えてみると、例えば日本国債に投資したときの利益って

日本国債の値上がり益(値下がり損)+利子(クーポン)収入+日本円の値上がり益(値下がり損)

であらわされます。

最後の、日本円の値上がり益(値下がり損)ってところが分かりにくいかもしれませんが、1ドル100円の時に日本国債を買って、1ドル200円の時に日本国債を売れば、円安によって円の価値が半分になっているので、実質的には結構損していることになります。

この損は通常は日本にいる限りは意識しにくい損失ですが、輸入物価の上昇だったり、海外での購買力低下だったりで、少しずつ損しているわけです。

 

で、この損をはっきり意識するのは海外投資家。彼らは日本国債に投資するのは(ヘッジしない限りにおいて)日本円に投資することと近い意味を持ちます。日本円が下がったら、日本の低い(むしろマイナス)金利では到底損を埋めることができないのですから。

 

日本人が海外に投資する場合

日本人が海外に投資する場合でも、外人が日本に投資するように通貨の変動が大きな意味を持つことになります

豪ドル建て債券に投資する場合、豪ドル建て債券の高い金利を享受できるものの、通貨豪ドル円の変動を受けることになります。

 

この辺まではかなり基礎的な説明です

 

外貨建ての投資信託における「外貨建て」の意味

外貨建て投資信託が外貨建てである以上、その通貨の変動が投信のリターンに直結します。上の債券の例と同じですね。

でも、この「外貨建て」ってどうやって外貨建てになっているのでしょうか。

豪ドル建て投資信託を例にします。

豪ドル建て投資信託の中身が、すべて豪ドル建ての資産(豪ドル建て債券、オーストラリア企業の株式など)ならばシンプルです。

しかし、例えば「世界高配当株式ファンド(豪ドル建て)」といった投信もあります。世界の高配当の株式に投資する豪ドル建てファンドってことなので、当然投資対象は世界の企業の株式。豪ドル建ての株式だけではないわけです。

 

例えば、日本企業のトヨタを豪ドル建て株式ファンドに入れることもできます。

あらゆる企業の株式は、あらゆる通貨建てに変換可能なのです

それがファイナンスですって言ったら終了なので、もう少し丁寧に説明してみます。

 

なぜ、資産の通貨を変換できるのか

通貨を変換して、豪ドル建てにできる理由は、株式の取引とは別に為替取引を行っているからです。

豪ドル建ての株式を例に説明します。

 

①豪ドル建て株式の損益:株式の変動益+配当+豪ドルの変動益

 

となります。

これが、日本円建て株式なら

②日本円建て株式の損益:株式の変動益+配当

となります。上の式の豪ドルの変動益の部分がないですね。ならば、この通貨の変動益分を加えて上げればいい。

豪ドル買い(+円売り)を同時に行えば、豪ドルの変動は利益(損失)につながることになります。

③豪ドル買い(+円売り)豪ドルの変動益

ってことですね。

 

①豪ドル建て株式の損益:株式の変動益+配当+豪ドルの変動益

は、

②日本円建て株式の損益:株式の変動益+配当

③豪ドル買い(+円売り)豪ドルの変動益

の合計になっていることがお分かりでしょうか。

①=②+③

ですね(分かり易いかな~って思って、高校数学みたいな表記にしてみましたが、やっている計算は小学生レベル)

 

言いたいことは、原資産(この場合、株式)の売買に通貨(この場合、豪ドル)を組み合わせると、通貨の変換が出来ちゃうよってことです

 

だから、世の中には、ブラジルレアルだったりトルコリラ建てだったりの高利回りファンドが存在するわけですね。高金利通貨を買うって取引を組み合わせることで、利回りを向上させられるわけですから。

通貨選択型ファンドについて

ここまでわかれば、通貨選択型ファンドの仕組みは自明。

当初選択していた通貨を変更する場合、買い建てする通貨を変更すればよいだけです。

豪ドル買いだったのをブラジルレアル買いに変更すればいいってイメージですね。

なお、通貨選択型ファンドで通貨を変動する場合、たったこれだけ(買い持ち通貨を変更するだけ)で高い手数料を取ります。正直、あまりお勧めしたくない商品ですね。売り手側にはいい商品でしょうが・・・

通貨を買って、株式を買う、ある意味2階建てファンド

この通貨買い+外国株式(債券)って組み合わせは、海外の高金利(その反面としての為替リスク)と海外の株価変動って2重のリスクが存在することで、ある意味で2階建てファンドともいわれます(株式投資でいうところの、株式を担保に金を借りてさらに株を買う2階建ては質的に異なりますが)。

既に金融庁はそのようにみなして、規制する方針を打ち出しました。

 

もちろん(よほど手数料の高い商品を除いて)どんな金融商品にも使い道はあるでしょう。ブラジルレアルが買いたくて、さらに世界の高配当株式がまとめて買いたいって人は、世界高配当株式ファンド(ブラジルレアル建て)みたいなファンドを買ってもよいでしょう。

ただ、やっていることは、世界の高配当株の買いとブラジルレアルの買いを同時にやっているだけだよってことを意識することは必要だと思います。

そして、その行為が、投資信託のコストを見合うかどうか、判断してもらえばよいと思います。