テナントがいなくなったら開示しましょうね。東証がJリートに要求(インサイダー取引規制改正)
東証がJリートに開示項目を追加を要請
これまでインサイダー取引の規制対象外となっていたJリートですが、「金融商品取引法等の一部を改正する法律」の制定により、2014年4月より規制対象の有価証券となります。
それに関連して、東証(日本取引所グループ)が、 J-REITに適時開示項目の追加を要求しました。
1 平成25年金融商品取引法等の改正やヘルスケアリート上場に向けた取組み等を踏まえた有価証券上場規程等の整備について 平 成 2 6 年 2 月 2 5 日 株 式 会 社 東 京 証 券 取 引 所
具体的に追加される開示項目は
①投資法人の決定事実
・ 資産の運用に係る委託契約の締結又はその解約
・ 金銭の分配
・ 金融商品取引法第166条第6項第4号又は同法第167条第5項第5号に規定する要請
②投資法人の発生事実
・ 特定有価証券又は特定有価証券に係るオプションの上場の廃止の原因となる事実
・ 災害に起因する損害又は業務遂行の過程で生じた損害
・ 財産権上の請求に係る訴えが提起されたこと又は当該訴えについて判決があったこと若しくは当該訴えに係る訴訟の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと
・ 資産の運用の差止めその他これに準ずる処分を求める仮処分命令の申立てがなされたこと又は当該申立てについて裁判があったこと若しくは当該申立てに係る手続の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと
・投資信託及び投資法人に関する法律第216条第1項の規定による同法第187条の登録の取消しその他これに準ずる行政庁による法令に基づく処分
・ 債権者その他の当該投資法人以外の者による破産手続開始又は再生手
開始の申立て
・ 不渡り等
・ 債務者又は保証債務に係る主たる債務者について不渡り等、破産手続開
始の申立て等その他これらに準ずる事実が生じたことにより、当該債務者に対する売掛金、貸付金その他の債権又は当該保証債務を履行した場合における当該主たる債務者に対する求償権について債務の不履行のおそれが生じたこと
・ 主要取引先との取引停止又は同一事由による若しくは同一時期におけ
複数の取引先との取引の停止
・ 債権者による債務の免除若しくは返済期限の延長又は第三者による債
の引受け若しくは弁済
・ 資源の発見
・ 資産の総額のうちに占める投資信託及び投資法人に関する法律施行規
第105条第1号ヘに規定する不動産等資産の価額の合計額の割合が100分の50を超えることとなったこと
③資産運用会社の決定事実
・ 当該資産運用会社の破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の
立て
・ 当該投資法人から委託された資産の運用に係る事業の休止又は廃止
・ 当該投資法人から委託を受けて行う資産の運用の全部又は一部の休止は廃止
・ 当該資産運用会社の会社分割
・ 当該資産運用会社の事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け
・ 当該投資法人と締結した資産の運用に係る委託契約の解約
・ 当該資産運用会社の株式交換
・ 当該資産運用会社の株式移転
・ 当該投資法人から委託を受けて行う資産の運用である新たな資産の運用の開始
・ 当該資産運用会社が法令に基づき行政庁に対して行う認可若しくは承の申請又は届出
④資産運用会社の発生事実
・ 有価証券上場規程第1213条2項第1号d(a)及び(b)に掲げる事実のほか、行政庁による法令に基づく認可、承認又は処分
・ 特定関係法人の異動
・ 主要株主の異動
・ 当該投資法人から委託された資産の運用に係る財産権上の請求に係る訴えが提起されたこと又は当該訴えについて判決があったこと若しくは当該訴えに係る訴訟の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと
・ 当該投資法人から委託された資産の運用に係る事業の差止めその他これに準ずる処分を求める仮処分命令の申立てがなされたこと又は当該申立
てについて裁判があったこと若しくは当該申立てに係る手続の全部若しくは一部が裁判によらずに完結したこと
・ 債権者その他の当該資産運用会社以外の者による破産手続開始の申立て等
・ 不渡り等
・ 特定関係法人に係る破産手続開始の申立て等
⑤運用資産等に関する資産運用会社等の決定事実
・ 運用資産等に係る資産の貸借又は貸借の解消
⑥運用資産等に関する発生事実
・ 運用資産等に係る貸借の解消
⑦投資法人の業績予想等の修正
・ 上場不動産投資信託証券に係るファンドの営業収益、経常利益、純利益又は金銭の分配若しくは収益の分配について、公表がされた直近の予想値に比較して当該上場不動産投資信託証券の発行者が新たに算出した予想値又は当営業期間若しくは当計算期間の決算において差異が生じた場合
長々と引用しましたが、大半は従来の上場株式に関わる開示項目と基本的に同一です。
異なるのは赤字とした部分でして
⑤運用資産等に関する資産運用会社等の決定事実
・ 運用資産等に係る資産の貸借又は貸借の解消
⑥運用資産等に関する発生事実
・ 運用資産等に係る貸借の解消
この2点については、決定事実と発生事実に分かれていますが、どちらも運用資産等に関わる賃借について規定しています。
テナントが決まったり、出て行ったら開示することに
Jリートの最大の業績変動要因は、保有している不動産にテナントの誘致が決まることや、反対に退去することが決まることなので、これについて適時開示を要請することはきわめて正当だと思われます。
Jリートは基本的に開示姿勢が進んでいるので、これまでも自主的にテナントの動向については開示してきていましたが、ルール化される意味は大きいと思います。
ただ、小さなテナント異動まですべて開示するのは、Jリートからみても手間が煩雑だし、投資家からみてもノイズが増えるので、軽微基準(この程度以下なら開示しなくて良いという基準)は導入されるのでしょうね。
なお、当然これらはインサイダー取引規制とセットなので、こうしたテナントの異動情報を知りうる立場の人は気をつけてくださいね~(現行でも所属組織のコンプラ上、取引しないでしょうけど・・・)