日経レバレッジETF型の商品に投資するとき気を付けるべきこと(1570)
日経レバ(1570)の基礎解説
今回は大人気の日経レバレッジ型ETFの基礎的な仕組みを説明してみます。
日経レバレッジETFを知っている人は、要は日経平均株価の2倍動くんでしょって理解しているとは思います。概ねそうなのですが、単純に2倍ではないですよってことを書いてみます。
大人気のレバレッジETF
ETFは流動性が低いものも多い
ETF(日経平均株価などの指数に連動する上場投資信託)は通常出来高が少なく、市場で売買しにくい商品も多くあります。流動性がないので機関投資家はETFの組成って方式で投資するのが一般的ですが、個人投資家には難しい手法(大金を持っていれば別)。
市場で売買しにくいって上場の意味ないじゃんって思う人もいるかも知れませんし、その通りだと思います。
トヨタをしのぐ流動性
ただ、そんな流動性のないETFとは全く違うのが、日経レバレッジ指数ETF(1570)です。この商品は、日経平均の2倍動くように設計されているため、株式市場の上昇を見込むブル投資家が効率よく利益を狙う商品として大人気。
リーマンショック以降の米国、欧州など世界中の中央銀行が量的緩和(QE)に乗り出す資金じゃぶじゃぶ環境下で世界の株式市場が急回復を遂げる中で遅れていた日本株。それがアベノミクス以降ほぼ一本調子で上昇を続けていたことから、一層2倍の値動きに魅力を感じて人気が高まってきたことがうかがえます。
ネット証券トップシェアのSBI証券において、売買代金ランキング1位の常連銘柄になっています。その下は、
2位:三菱UFJフィナンシャルグループ
3位:トヨタ自動車
4位:三井住友フィナンシャルグループ
5位:ソフトバンクグループ
みたいになりますが、この上位4銘柄(2位~5位)の売買代金を足しても、日経レバ(1570)と同程度。
日経レバレッジ指数ETF(1570)が非常に活発に売買されていることが分かりますね。
レバレッジETFの特徴
レバレッジとは梃子のこと
レバレッジとはてこ(梃)のことで、金融市場では原指数(株式指数、原油価格指数などさまざま)値動きを増大する作用のことを指します。
そのため、今回話題にしている日経レバレッジ指数ETF(1570)は、原指数である日経平均株価の値動きを大きく(2倍)反映する指数ってことですね。
2倍動くの意味
日経平均株価の2倍動くという意味なのですが、これはあくまで前日比の2倍ということを指します。
そのため、日経平均株価が15,000円の状態から前日比10%上昇(例にしては変動幅ありすぎですが計算しやすいように10%)となる16,500円になった場合、日経レバレッジ指数ETFは20%上昇します。
仮に日経レバETFが15,000円(後ろの議論を理解しやすくするために日経平均株価と同数値とした)だとしたら18,000円の上昇ですね。
この場合、上昇率(10%)と値幅(2,000円)が一致します。
しかしこれは、1日でこの変動が起きた場合。
仮に2日かけて、
15,000円→15,500円(1日目、前日比500円高、3.333%上昇)→16,500円(2日目、前日比1,000円高、6.452%上昇)
と変動した場合、
日経レバETFは、
15,000円→16,000円(1日目、前日比1,000円高、6.666%上昇)→18,065円(2日目、前日比2,065円高、12.903%上昇)
っていう値動きになります。
日経平均株価と日経レバレッジETFのそれぞれの値動きを比較すると、
1日目は、日経平均株価が500円高、日経レバETFが1,000円高とちょうど2倍の値動き。
一方で、2日目は、日経平均株価が1,000円高、日経レバETFが2,065円高とちょうど2倍にはなりません(端数の65円が生じている)。
なので、2日間合計の値動きをみると
日経平均株価は1,500円上昇
日経レバレッジETFは3,065円上昇
となり、ちょうど2倍の値動きにはなりません。
これは日経レバレッジETFの性質が、日経225の前日比の変動率の2倍の変動率を持つため発生するズレですね。
長期では2倍にならない
だから、日経レバレッジETFを買ってしばらく放置(笑)していたのち、一か月後に日経平均が3,000円上昇しましたってことがあったとしたら、日経レバはその2倍上昇しているってわけではないのですね(どれだけ上昇しているかは日々の変動幅がどのように積みあがって3,000円上昇したのかっていう経路次第)。
上の具体例は2日間だったため、ズレは小幅でしたが、仮に一年だったら結構ずれることになります(もちろんたまたまズレないこともある)。
指数の上昇日での追加買い、下落日での売り
レバレッジ指数型のETFは値上がり局面では、元本の2倍値段が動くという性質を担保するために、元本の増額を行わなければなりません。これは値上がり当日の終値に先物を買うって形で行います。
正確に当日の終値で投資できれば値段のズレ要因にはならないのですが、値上がり日の終値付近で元本増加の追加投資を行っているため、単純に指数を保有した際の2倍の値動きにならないことになります。
こうした要因も値段のかい離幅になっています。
ここでは、上昇日を例にしましたが、下落日は元本を先物の売りって形で行いますが、同様に値段のかい離効果を生み出します。
信託報酬もある
まあ、これは蛇足的なのですが、ETFというのは上場投資信託です。
投資信託である以上、運用会社がいて、その運用会社に信託報酬をとられる(当然の権利ですが)ことになります。
この日経レバでいえば、投資家が預けている(ETFを買うことは運用会社にお金を預けているってこと、この辺りが純粋に株を持つことよりコスト高要因)お金に対して、年率0.864%(税抜き0.80%、消費税が変わったらこの額に消費税率がかかる)かかるわけですね。
この信託報酬は、ETFなのであまり高くはない(インデックスファンドと比べても)ですが、単純に2倍でない要因としては、無視できないですね。
ここで上げたような例は、レバレッジETFだけでなく、ベア型(日経平均、TOPIXなどの指数が上昇したら下がり、下落したら上昇するという反対の値動きを持つ)ETFなどでも同様ですね。
空売りに日経レバレッジETFを使う場合は、信用取引金利が最も安いむさし証券が良いと思います。
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