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北欧でマイナス金利を導入した際、為替に与えた影響は?



マイナス金利の為替への影響

今回はマイナス金利と為替(FX)の関係を考えます。

2016年1月末に日銀がマイナス金利を導入しました。

その際、為替は一旦円安に進んだのちに、反対に円高に進みました。

マイナス金利導入は単純に円安要因になるはずですが、銀行株を中心に株式市場が下落したためリスクオフにより為替が円高に展開したとみることが出来ます

マイナス金利と株式市場。特に銀行株は影響が大きい

このように、金利は単純に為替に影響するだけでなく、株式市場を通じて間接的に為替市場に作用するパターンもあり、非常に読みにくいものがあります。

今後、為替にどのような影響があるかについて欧州(主に北欧)のマイナス金利の導入と銀行株式の推移を見ることで、参考にしてみたいと思います。

 

スイスの事例

UBSの株価と業績

スイスにおけるマイナス金利導入の発表は2014 年12 月です。

その後 1 カ月でスイスの最大手銀行であるUBS の株価は 10%超下落しました。

ただし、株価は2015 年 1 月を底に反転、3 月にはマイナス金利発表時の水準を上回ります。

マイナス金利適用後の15 年 12 月期における本業からの利益を示す資金利益は 14 年 12 月期比増益となり、当期利益も増加しています。

クレディスイスの株価と業績

一方、スイス2番手銀行であるクレディスイスの株価は25%超下落したが、15 年 3 月にマイナス金利発表時の水準を回復しています。この辺の株価のリズムはUBSと似ていますが、値幅をかなり大きいです。2番手であり財務状況もUBSに劣後するクレディスイスが一旦は大きく売られ、その後大きく戻す展開になったことになります。

財務状況が悪い企業ほど、株価のボラティリティが大きい、という傾向が顕在化していますね。

なお、業績はリストラ費用の捻出で赤字になるものの、本業からの収益は回復しています。

スイスフランの動き

マイナス金利の導入自体が、スイスフラン高に耐えかねて導入したという経緯もあります。

そのため、根強いフラン高圧力に悩まされることになりますが、マイナス金利導入直後はフラン高圧力は軽減することになります。

マイナス金利が、短期的に通貨高圧力を緩和した事例ですね。

しかし、その後はユーロ圏の低迷によって、スイスフランは買い圧力に直面するわけですが・・・

為替は相対的な力関係が重要なので、ユーロがより弱ければ、スイスフランがマイナス金利に突き進んでも効果は限定的になってしまいます。

 

デンマーク、スウェーデンの事例

デンマーク、スウェーデンは発表直後から株価上昇

デンマークにおけるマイナス金利導入の発表は2012 年 7 月だが、同国最大のDanske Bank の株価は発表後に上昇します。

一方で、本業からの利益を示す資金利益は2013 年 12 月期に横ばい、その後の四半期である14 年 3 月期では増益となります。

 

スウェーデンのマイナス金利導入の発表は 09 年 7 月で、リーマンショックの 1 年後です。そのため事例として特殊すぎるのですが、一応見ておくとNordea Bank の株価は、マイナス金利導入後、上昇基調となっています。

本業からの利益は 10年 12 月期に減益となったが、11 年 12 月期は 09 年 12 月期の水準を超えるV字回復となっています。

マイナス金利導入後のデンマーククローネとスウェーデンクローナの動き

デンマークはデンマーククローネ、スウェーデンはスウェーデンクローナという独自通貨を採用しています。

両通貨供、ユーロ圏という巨大な経済圏に隣接しており、かつ資源国でないという特徴があり、為替市場での立ち位置は近いものがあります。

そして、マイナス金利導入後の動きも似ており、マイナス金利にも関わらず堅調な値動きになります。

この辺りはスイスフランとも近いものがありますが、ユーロが弱い中、デンマーク、スウェーデンは相対的に経済が強かったのが通貨高の要因になりました。

 

まとめ

 スイスの銀行の動き

・一旦は株価は下落。

・その後4か月ほどで上昇し元の株価水準を回復。

・銀行の本業の業績は悪化していない。

 デンマーク、スウェーデンの動き

・株価は堅調

・銀行業績は一旦悪化するも近い1~2年以内に回復

 

為替市場は結局経済のファンダメンタルズが大事

上でみたように、先行事例からはマイナス金利が銀行収益や株価に回復不可能な打撃を与える結果にはなっていません。

ただし、それはリーマンショックに端を発する金融危機からの回復局面にあったため、銀行セクター全体に強い追い風が吹いていた影響もあるでしょう。

また、マイナス金利という金融緩和策が、経済を下支えした効果もあったはずです。

 

すなわち、マイナス金利単独ではなく、経済環境やそれによる銀行の収益が最後には注目される、と言って良さそうです。

 

自国通貨を安くしようとしてマイナス金利を導入したとしても、過度に低い金利は経済にひずみをもたらします。スウェーデンなどはそれにより不動産市場が過熱しすぎて金融政策当局者はコントロールに苦慮しました。

経済の実態に対して、低すぎる(マイナス過ぎる)金利は長続きしません。

為替市場はそれを見越して、マイナス金利だからと言って過剰反応することはないのでしょうね。