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転換社債を知れば株価の裏が見えてくる。あのソフトバンクも



転換社債の株価に与える影響を考えよう

皆さんは転換社債が株価の与える影響について理解し、 株式投資に活用できているでしょうか?

転換社債はネット証券中心の個人投資家はなかなか購入するのがむつかしい金融商品です。しかし、たとえ直接投資できなくても、この商品の特質を理解することは株式投資に大いに役に立つことを説明してみたいと思います。

 

 

東証の株価ボード

転換社債とは

転換社債とは株式へ転換できる社債

そもそも転換社債とはどのようなものでしょうか。

一言でいうなら、株価がある水準(権利行使価格)を超えれば、株式に転換する権利が与えられている社債、となります。

(権利行使価格で株式を購入する権利(コールオプション)と社債を組み合わせたもの、とも言えます)

 

いま、ある転換社債を発行している企業の株価が、現在800円だとして、この株を900円で買う権利があったとしたら、株価が900円を超えたときに社債を株式に転換して売却すれば、利益が出るっていうイメージですね。 

転換社債の性質

株価が上がれば株式に転換できる → すなわち権利行使価格と株価の差額分が利益

・株価が上がれば上がるほど儲かる。

 

株価が下がる(権利行使価格まで上がらない)→社債のまま

・社債であるため、株価が下がっても(通常は)ほとんど値段が下がらない。

 

そのため、値下がりリスクが限定的で、価格が上昇した場合は株主(株式)に近いリターンが狙える商品と言えます。

転換社債を発行する企業側のメリット

転換社債は、「株価が上がればその分儲かり、下がっても値段が保つため損しにくい、そう言った性質がある」と説明すれば、投資家にのみおいしい商品と聞こえますが、当然そんなことはありません。

発行するからには、企業側にもメリットがあります。

 

そのメリットとは、

1.転換社債の多くはゼロクーポン(利子をつけない)で発行される。

ゼロ金利だから企業の利払い負担が軽いよ。

無利子で資金調達っておいしいですね。

 

2.株式に転換される際も、株価が上がってから転換されるため希薄化効果が薄まる

企業がこのくらいの価格なら増資(株式を新規発行)してもいいかな~って値段で転換価格を設定することで、その値段で株式を発行できます。今の株価は安すぎるから増資したくないけど、これが30%上がってくれれば増資したい、というような繊細なニーズをくみ取ってくれます。

 

この企業側のメリット(投資家側のデメリット)を含めてより正確に説明すれば

転換社債は無利子(低利子)の社債を購入する代わりに、株価が上昇した際には株式に投資したのと同様の値上がり益が得られる商品、と言えます。

 

転換社債を用いてマイナス金利の資金調達を遂げた例

以下に転換社債だからこそできたマイナス金利の資金調達の実例をつけてみます。

2014年にアルプス電気(6770)が満期5年のユーロ円CBを300億円発行しました 。

クーポンは0%、募集価格は103.50円、払い込み価格は101.0円です。

総額310.5億円のうちアルプス電気には303億円が払い込まれることになります。

償還金額は300億円。

CBを発行し、3億円が手元 に残った格好です。

これはある種のマイナス金利の実現。

この資金調達は、なんとゼロ金利を下回るマイナス金利での資金調達となりました。転換社債の性質をうまく利用した資金調達の例と言えるでしょう。

投資家からの視点でいえば、マイナス金利でお金を出してあげたとしても、株価が上昇すれば高い株価で転換して売却すれば利益が得られるっていう可能性に大きく期待した投資と言えるでしょう。

 

資金調達時のアルプス電気の格付けはBBB(R&I)。同期間に資金調達した、日新製鋼の5年債A-(JCR)が起 債されたが表面利率は 0.64%、スプレッドはL+28bp だった。

本来BBB格付けの企業は300億円規模の調達は結構難しい。でも転換社債(CB)を発行することで低金利かつ多額の資金調達が可能となりました。

 

余談:一方、このCBにはソフト・マンダトリー条項を付けるなど潜在株増加による株式への悪影響を気にしていました。しかし、株価への影響を気にするには調達金額300億円は大きすぎ。時価総額2336億円に対して300億円の発行と12.8%に相当するため、株価は大きく下落へ。

この辺りは、単純に資金調達できればいいとは限らないから、微妙な話。

 

転換社債につきもの、ソフト・コールの恐怖

企業は基本的に、株価が上がれば転換社債を転換してもらいたい

転換社債は、企業が「このくらいの株価なら増資したい(転換社債を株式に転換してもらいたい)という価格に転換価格が設定されます。

しかし、現実の投資家の行動は、「株価が転換価格を超えた、すぐに株式に転換して債券を株式に転換しよう」、とはなりません。

転換社債のままなら、値下がりしても社債として帰ってくるため、値下がりの恐怖が小さく、なるべく転換するのを遅らせようとします(一部のヘッジファンドや自己売買部門などは、転換社債と株式の裁定取引を行うため、余計に転換したがらない)。

 

こうなると困ってしますのは、発行した企業側です。

株式に展開してもらいたいって思った価格に株価が届いても、一向に転換社債を株式に換えてくれないのですから。

株価の上昇が一時的な現象に終わり、転換価格を下回ってしまえば、企業は償還日には社債として資金を返さなければなりません。無利子で調達できたのだから一定のメリットは得ているわけですが、やはり狙った株価で増資できる方のメリットが大きいのです(少なくとも企業経営者にとって)。

 

転換を促す仕組みとしてのソフト・コール条項 

こうした状況を回避するために盛り込まれるのがソフト・コール条項です。

 これは株価の終値が連続して20営業日●●円(転換価格の120%等で設定)を上回った場合、発行企業は残額を額面で償還させることができる、という条項です。

このソフト・コールは投資家に転換を進めさせる効果があります。

それはソフト・コールが行使された場合、上の例でいうなら、今転換に応じれば20%の利益が得られるが、応じなければ額面で買い戻す、といった脅しを企業側が投資家に突きつけているからです。

 

ソフト・コール行使の実例、ソフトバンク事件

このソフト・コールは企業側の権利であり、行使できる水準に株価が到達したからといって必ず行使する、というわけではありません。しかし、株価がソフトコールできる水準に達した場合は、投資家はある種、企業側に命綱を握られたような状況になってしまいます。

 
ソフト・コールがかかると、株式市場が混乱します。2011年5月、ソフトバンクがソフト・コールを行使できる状況になりました。金融市場に精通したソフトバンクがそんな機会を逃すはずもなく、権利行使を宣言、マーケットは混乱し3400円前後だった株価は3000円割れまで下落しました。 
 
 転換社債のソフトコール行使時の株価

持っていた人は涙目になりますが、反対に株価下落がソフト・コールによるもの、とわかっていれば、逆張りすることもできたかもしれません(私はできませんでしたが)。

 

転換社債がもたらす株価の変動を理解すれば、投資チャンスが広がりそうですね。

 

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