株式投資を始めようと思った際、何を基準に銘柄(企業)を選んだら良いかわからない、という方が多いのではないかと思います。
とりあえず、投資雑誌(ZAIみたいなやつ)を買って推奨銘柄を買う、みたいなやり方を否定しようとは思いません。
ただし、こうしたやり方は、株式投資で収益を上げるための技術向上という観点からは効率的とは考えられません。
株式を評価するための基準を持って、それに基づいて売買の判断を行い、そのフィードバックを次回の判断に活かす。これを繰り返して行くことでこそ株式投資の技術向上が図れると考えます。
そのための基準になる株価評価方法を書きたいと思います。今回は特に収益面からの評価に限定します。
長めなので書きたい項目を並べておきます
1.決算短信とは
2.配当利回りとは
3.PER(株価収益率)とは
4.PERと配当利回りの関係
1.決算短信とは
決算短信というものがありまして、企業が四半期の決算ごとに現在の業績や財務状況、今後の収益見込み等を示したものです。
具体的には以下のようなものです。
Financial_Result_2012_4q_J.pdf
見た感じは
こんな感じで、数字が並んでいて少しいかついのですが、今回使うのは赤線の下だけを使います。
抜粋すると
こんな感じです。
本日のホンダの株価は4,165円のため、この値段でホンダ株式を買うことの価値を収益面からどう評価するか、について以下で述べます。
2.配当利回りとは
企業は稼いだ収益から、株主に利益を配当という形で還元します。この配当をベースに、株価の利回りを算出したのが配当利回りです。
今の株価で株式を購入すると、配当で何%で回るかってことなので、直感的に理解しやすい指標ですね。
上の表だと、緑色に囲った部分の一番右下が今期の予想配当になります。
80円(配当金)÷4,165円(株価)=1.9%
がホンダ株の配当利回りになります。
3.PERとは
PER(株価収益率)とは株価評価指標のなかでも最も基本的なもので、
株価÷1株当たり収益
で表されるものです。式が示すように株価が収益の何倍で評価されているか?という指標ですね。小さければ小さいほど割安、ということになります。
大事なのは現在の実績の利益ではなく、将来の予想収益を用いることですね。
上の図だと、水色で囲った部分に321.81円を1株あたり収益に用います。
実際に計算してみると、
4,165円(株価)÷321.81円(1株当たり収益)=12.9倍
となります。
これを共同他社(トヨタや日産)と比較して、安いか高いか考える、というのが基本です。
このPERというのは、基本中の基本である一方で非常に本質的な指標であると考えられます。というのは、このPERの逆数は、(収益が不変だった場合の)株価の収益性そのものだからです。
その理由は、企業に最終的に残った利益は、すべて株主のものだからです。
今回の例で行けば、ホンダの利益が今後不変ならば、12.9倍の逆数である7.7%がホンダ株式の収益率になります。
321.81円(1株当たり収益)÷4,165円(株価)=7.7%
ということですね。
4.PERと配当利回りの関係(配当性向について)
理論上の収益率である7.7%(PERの逆数)と、実際に投資家が受け取れる配当利回り1.9%の差異がどこから来ているのか、 といえばそれは企業の内部留保に回っているからです。
企業は稼いだ利益を今後の成長のために利用するため、全てを配当として株主に還元するわけではありません。稼いだ利益のうちどのくらい株主に還元しているか、を示す割合を配当性向と呼び、上の図ではピンク色で囲った部分になります。
予想ベースで24.9%ですね。
今期のホンダは1株当たり321.81円稼ぐ予定であり、その24.9%を配当に回すことで、1株当たり80円の配当を行う予定である、ということになります。
321.81円(1株当たり収益)×24.9%(配当性向)=80円(配当金)
両辺を株価で割ると
7.7%(PERの逆数)×24.9%(配当性向)=1.9%(配当利回り)
という関係になっていることがわかります。
すなわち、配当性向を100%まで引き上げれば、ホンダは7.7%の配当を支払うことができる、ということになります。
やはりPERは結構本質的な指標ですね。
このことからも分かるように、配当利回りの高さって非常にわかりやすくて、「配当利回り4%もあるの、買うっきゃないじゃん」ってなりがちですが、配当性向も併せて確認しましょうねってことです。
配当性向100%で配当利回り4%の株より、配当性向50%で配当利回り3%の株があれば(好みの差はあるが)一般的には後者の方が割安と言えます。
あ、もちろん成長性は同じって前提ですよ~
※PERはさまざまな問題(特殊事情による利益の歪み、長期収益を評価していないなど)を抱えています。しかし、話が長く、複雑になるのでまた別の機会に。今回は投資を始める人向けになので。
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