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中国の不動産市場とデベロッパー



中国不動産デベロッパーのバランスシート 

不動産デベロッパーはバランスシートが脆弱である。A株上場の不動産デベロッパー110社の平均負債比率は現在92%で、2007年以降最高となっており、負債比率を引き下げ、支払利息を抑えるために、新規着工と建設投資を思い切って減らすことが求められている。この影響はすでに現れており、2014年年初から8月までに新規着工は前年比11%減少し、供給過剰の状態にある都市(一人当たり土地販売面積が6㎡以上)での土地販売はそれ以上に大幅に減少して、2013年の40%、2011年~2013年平均の42%相当となっているといわれている。同時に、不動産販売件数は前年比8%減少している。

 

過剰供給がリスク

2013年のGDPに合計で88%寄与した中国の200余りの都市のうち、約半数は不動産市場が供給過剰に陥る可能性がある。これらの都市では、2011年~2013年に販売された住宅用地が一人当たり(現在の総人口に基づく)3㎡を超えているようだ。これに対し、中国の1998年の住宅改革以降の一人当たり生活面積の年平均増加幅は1㎡前後である。なかでも2011年~2013年に販売された住宅用地が一人当たり9㎡を超えている12の都市は、深刻な供給過剰が懸念される。

 

土地販売のペースが引き続き鈍化し、新規着工がさらに減少し、建設活動が減速する一方で、このところ低迷していた需要が改善に向かうにつれ、200余りの都市の半数では2015年後半までに在庫水準が安定もしくは低下する可能性が高く、これが価格安定につながる要因になりそう。しかし近年、土地販売が活発だった都市では、在庫水準の変動がかなり大きくなる見通しで、安定化にはもうしばらく時間がかかるかも。

 

都市化の進展は大きなメリット、しかし問題点の指摘も

都市化の進展、住宅の住み替え、都市部への定住という構造的要因は、中国住宅市場を支える最大の原動力であった。そしてそれは今後も続きそうだ。2010年の国勢調査によると、市場で売買可能な近代的住宅を所有する世帯の割合は中国全体で14%、都市部で31%と依然として低い。中国の都市部の住宅供給比率(世帯数に対する既存住宅戸数の比率)は 今なお国際平均を大幅に下回っている(2013年の国際平均1.05倍に対し中国0.9倍)。しかも、近代的住宅の住宅供給比率は2013年現在で0.35倍にとどまっており、比較的面積が広く質の高い住宅に対する潜在需要は依然としてきわめて大きいとみられる。しかし、この需要が顕在化するためには、大きな障害となっている価格が高すぎるという要因に対処する必要があると指摘されている。

  

不動産ディベロッパー向け融資懸念

不動産デベロッパー向け融資総額はGDP比約13%といわれている。住宅ローン残高の同比率よりも小さいが、3つの懸念がなお残る。まず、中国の不動産デベロッパーのレバレッジは2009年以降上昇傾向にあり、そのペースは加速している。債券の発行残高がある上場不動産デベロッパーの負債÷資本比率の加重平均は2009年末時点で45%、その後2012年まで着実に6%増加し51%となった。 

次に、信託ファイナンスは全体的にシェアが大きく、シェアが増大している。これは最も懸念される分野で、体力のある企業は銀行融資や債券市場で資金調達できる場合が多いため、信託市場を通じて借入を行っている不動産デベロッパーは比較的信用プロファイルが弱いと思われる。
3つ目として、不動産開発に関連する融資額は過小評価されている可能性が専門家に指摘されている。例えば、地方政府の資金調達事業体(LGFV)は債務返済を土地の売却に依存しているため不動産セクターの変動から影響を受ける。建設融資に関連する一部の銀行セクターの融資、LGFV融資、すべてのオフバランスシート項目を不動産セクターに関連する信用とみなした場合、不動産に関連する不動産デベロッパーおよび企業への融資はGDP比約17%、LGFV融資はGDPの約33%となるようだ。住宅ローン(同18%)を含めると、GDP比合計68%の融資が不動産市場に直接または間接的に連動していることになる。

 

政策対応に明るい材料

ただし中国は政府の機能が強く、政策担当者の対応の余地は大きいようだ。国内の上場デベロッパーにオンショア債券の発行を許可するなど、不動産デベロッパーを対象とする金融緩和措置を進めている。また、信託セクターからの融資はおそらく最もリスクが高いものの、中国は金利の上限が決まっているため、信託の満期時に借り換え需要は一定存在すると言われている。

 

また借入構造は悪くない

中国の不動産デベロッパーの負債残高は1.3兆ドル相当あると言われる。日本円で140兆円以上の巨額である。借入の大半は、オンショア銀行が供与した不動産デベロッパー向けローンで、負債総額の約6割である。次に大きいシェアを占めるのは信託ファイナンスで、負債総額の推定16%を占めた。オフショアの資金調達への依存度は比較的低く、負債残高の6%に過ぎない。したがって、不動産セクターは概ね国内で資金を調達している。

 

これは、非常に大きいメリットだ。一般に資金調達を国内で行えている状況は強い。これだけ暴落すると言われ続けている日本国債がいっこうに下落しない(むしろ上昇する一方)のは資金調達が国内でまかなえているからだ。

 

最近の動向

中国政府は生産性改革を強く打ち出している。リーマンショック後に4兆元の対策を打ち出し、何でも良いから需要を作り出そうとした頃とは大違いだ。

特に製造業の質的向上を数十年計画で行っていく方針を打ち出した。

これほどの長期計画はさすがは中国と言ったところ。

しかし、不動産市況にとっては向かい風と言えるだろう。

中国不動産市場は、地方政府の手っ取り早い税収であり、需要創出策であったわけだから。

今後もこの問題は継続的に見ていきたい。

 

参考リンク

中国 不動産デベロッパー:経済レポート一覧(6本)

アングル:中国の不動産デベロッパー、資金調達を多様化 | 米FRB特集 | Reuters