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中国の不動産バブル問題



中国の不動産バブル

中国の住宅バブルがはじけ、中国国内の経済・金融活動が混乱するとの懸念が関心を集めている。

中国当局は経済成長の債務依存を弱め、投資以外にもバランスのとれた経済構造を達成するという意欲的な政策課題を推進している。が、過去数ヵ月に及ぶ住宅市場の低迷から、最近の政策対応が十分ではない、または遅きに失したのではないかという疑問が生じている。

 

なかでも、2007/08年の米国、1990年代の日本のように、中国住宅セクターのバブル崩壊が世界経済成長に最も大きく寄与している中国の経済活動や金融の安定性を脅かすのではないかという点が最大の関心事となっている。

 

中国住宅市場は1990年の日本と2006年の米国で生じた住宅の「バブル市場」といくつか共通点が指摘されている。住宅価格の急騰、債務の対GDP比率の上昇、住宅在庫の増加などだ。そのため、住宅価格と住宅建設の急激な調整を懸念するのはもっともなこと。

 

ただし中国住宅セクターは、日米とはずいぶんと違う特徴も持つ。特にその政策対応の余地は依然として非常に大きいようだ。

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都市化と住み替えの余地が大きい

中国は、1990年の日本と比べてまだ発展の初期段階にある。都市化は現在進行中で、平均世帯規模は縮小を続けている。1970年には米国の世帯の75%が都市に居住していたのに対し、中国ではこの比率が最近50%に到達したばかり。

また、中国では2010年時点で都市部の世帯の16%にトイレがなく、10%に台所がなかったことから、質の低い住宅から近代的な住宅への住み替え需要がかなり大きい。このため、住宅需要は引き続き拡大する公算が大きい。


2000年代の中国における住宅建設急増の少なくとも一部は、住宅市場のバブルというよりも、住宅ストックの民営化と近代化の遅れに起因していたといわれる。住宅市場の民営化は1998年に始まったばかりで、それまでは近代的住宅はほとんど建設されず、都市部の多くでは住宅不足が深刻だった。この点で中国は、国全体では1980年代ではなく1960年代の日本に近いが、地域別・価格/所得別の需給は著しくバランスを欠いている。


投資需要の役割が大きい

中国の住宅市場では過去10年間、投資需要が重要な役割を果たしてきた。中国の銀行預金金利は低く、家計は海外投資も制限されている。これに対し、住宅の大半が一戸建てではなく集合住宅であること(したがって維持管理の必要性が比較的低い)、また一般に不動産税が課せられないこと(近年、重慶や上海などの都市では不動産税を試験的に導入し始めているが)から、不動産投資のコストは低いと言われている。そのため、多額の預金が不動産投資に振り向けられている。したがって、米国や日本と違い、中国の不動産投資需要は、将来の住宅価格に対する過度に楽観的な見方や緩和的な金融政策ではなく、家計資産の増加、代替投資対象の欠如、そして低い諸コストによって支えられている。


もちろん、中国で最近見られたように、住宅価格が伸び悩むか下落すれば、住宅投資需要は低下する。また代替投資の自由化、広範囲での不動産税導入、全国的な不動産登記制度の採用などの政策変更が実施されれば、今後の投資誘因に影響が出る可能性がある。投資需要がさらに大幅に低下した場合、住宅市場全体がリスクに晒されるため、政策担当者は意図せぬ副作用を引き起こさないかどうかが注目点となっている。

家計の借り入れが少ない

米国住宅バブルの事例と対照的なのは、中国では住宅ブーム期においても家計の負債が比較的少ないことだ。中国は高い持ち家比率 (85%)にもかかわらず、都市部の世帯のうち住宅ローンを借り入れているのはわずか18%と米国の49%を大きく下回る。また、サブプライムローンやそれを元にしたCLOのように証券化された商品は少ない。

また、住宅ローンの融資条件は厳しく、一級都市では不動産規制も残っている。信用ブームに沸いてはいるが、その主な対象は家計ではなく企業(不動産デベロッパーを含む)だ。言い換えれば、信用の伸びは需要面ではなく供給面で生じている。家計の負債が比較的少ないことは、住宅価格下落を想定するストレス・シナリオにおいても住宅ローンのデフォルト・リスクが低いことを意味するだろう。

これに加えて、住宅ローン市場の発展の遅れとマクロプルデンシャルな住宅政策が中国の家計の負債比率の低さに影響を及ぼしているのであれば、政策当局は、必要とあれば信用の利用可能性を高めて住宅需要を底上げすることが可能である。

 

結局は中国不動産市況は政策次第

政策当局が住宅セクターの状況に影響を及ぼす影響は強大だ。潜在的な住み替え需要の大きさと不動産投資の誘因の強さから、住宅需要は融資条件への感応度がかなり高いと考えられている。これまでのサイクルでも、住宅ローン金利は住宅の取引件数と価格の優れた先行指標となっていた。

政策当局が住宅セクターの状況に懸念を抱くか、経済のその他のセクターの低迷を埋め合わせるために住宅建設を刺激しようとするなら、住宅ローンの融資条件緩和は有効なツールとなろう。ただし、信用緩和は将来の需要の前倒しにつながるため、後になってより大きな調整を引き起こすことのないように注意は必要だが。

 

 

中国の住宅市場減速は経済に深刻な影響をもたらすのか

世界経済の成長への懸念が高まるなか、中国住宅市場の減速をめぐる最大の問題は、中国経済の成長に甚大な打撃を及ぼす可能性があるのか、だろう。

中国の住宅市場減速が経済全体に及ぼす影響については、よく以下の論点が話題になる。

GDPにしめる大きさ

1. 住宅建設減少は直接影響を及ぼすと同時に、住宅建設とその他産業の関係(上流の素材サプライヤーと下流の不動産サービスなど)を通じて波及影響をもたらす。不動産固定資産投資(FAI)は、土地取得などの非付加価値要素を除いたベースでGDP全体の約9%を占める。

中国における住宅の重要性

2. 住宅は中国の家計資産の最大の要素であり、住宅価格は住宅の資産効果を通じて消費に影響を及ぼす可能性がある。ただし、中国における住宅の資産効果は小さいといわれている。資産効果が小さい理由として、家計の強固なバランスシートと限定的な手元資金ニーズが挙げられるが、都市レベルのデータから見えてくるもう1つの理由は、多くの世帯が依然として前近代的な住宅に居住しており、将来的に質の高い住宅への住み替えを考えていることだ。

不動産の供給バランス

3. 地方政府の収入が土地売却取引の件数減少や価格下落により圧迫されるなら、結果として地方政府の支出が制約されることもある。土地売却収入が地方政府の歳入の約30%を占める中国では、この経路は重要だ。土地売却は、著しい供給過剰の状態にある都市で減少している。市場の調整が続き、不動産デベロッパーのバランスシートがさらに拡大していることから、土地売却は2015年に、一段と広い範囲で低迷する公算が大きい。

金融への波及

4. 住宅関連融資で損失が生じ、住宅ローンもしくは融資全般の条件が引き締められた場合には、金融セクターを通じて影響が波及することもありうる。米国の住宅危機で見られた極端な例のように、住宅関連融資の多額の損失により、広い範囲で融資条件の厳格化と金融環境のタイト化が生じるなら、成長率も低下する可能性がある。しかし、家計の負債比率が低く、銀行セクターのシステミックリスクを増幅するような複雑な金融商品が存在せず、政策当局がストレス発生時に主要金融機関を支援する姿勢を示しているため、現段階では金融システムへの波及影響が深刻な打撃を及ぼすとは考えられていない。


このようにいずれの経路においても現状では(これまで以上に)大きな影響をもたらさないというのが一般的な見方だ。

 

中国政府のインフラ投資対応 

政策当局はこれまで、住宅市場から生じる成長への逆風に対する備えとして、主にインフラ投資を拡大してきた。しかし、住宅市場の低迷に直接対処することも、経済へのマイナス影響を軽減するための、より効果的で持続可能な政策対応の1つだろう。最も重要なのは、政策当局が住宅ローン融資の条件を緩和して住宅の最終需要を高めることだ。最近の2軒目の住宅購入時のローン規制の緩和などの措置は、この点で有効と見られている。
政策当局は、住宅ローンの利用可能性とコストの問題に取り組み始めたと見られるが、その一方で、投資需要の急低下も回避したいと考えるだろう。したがって、代替投資の規制は緩やかなペースで緩和され、全国規模での不動産税導入も徐々に進められるのではないかと言われている。

 

2008年の世界金融危機後の中国では、地方政府の固定資産投資(FAI)の重要な財源として、土地売却が2010年以来急増しており、2010年~2013年平均の土地売却面積は2007年~2009年平均の2倍近くに達した。近年、構造的要因から需要が伸び悩むなか、この著しい土地供給増加は、中国不動産市場に現在どのくらいの過剰供給が存在するのかという疑問を生んでいる。一部の地域は深刻な供給過剰に陥る可能性が指摘されており、今後の一段の不動産活動低迷と価格下落が考えられる。しかし、この調整はあまり深いものにはならず、多くの地域では2015年後半までに価格が安定すると見られている。

 

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