マイナス金利の先輩。欧州銀行の資産運用
日銀がマイナス金利を導入
日本銀行がマイナス金利を導入しました。
これに資金運用先が懸念される銀行の株価(特にゆうちょ銀行や地方銀行)が大きく値下がりすることとなりました。
でも、マイナス金利なら欧州が大先輩。
ECB(欧州中央銀行)は2014年にはマイナス金利(-0.1%)を導入していまし、同年スイス中銀も追随しています。スウェーデンなど北欧にもマイナス金利は広がっており、マイナス金利は日本だけの特殊な金融環境とは言えません。
欧州の銀行はどのように資産運用を行ってきたのか。
では、巨大な金融機関を多数抱える欧州で、どのような資産運用が行われてきたのでしょうか。
マイナス金利が銀行の収益にプレッシャーを与えていることは日欧ともに変わりません。
マイナス金利下で、欧州の銀行も資金貸付の利鞘が低下し続けています。何とか貸出金の増加で補っている現状です。利幅がないので貸し出しを増やし、面積で稼ぐイメージですが、それでも伝統的な銀行業務で稼ぐことは徐々に難しくなっています。
そのため、売り上げ維持のためにトレーディング収入で稼ぐことや、ファンドへのサービス業務で手数料を稼背ぐことに注力しています。
また、売り上げが伸びないため、コスト削減で収益維持を図る動きも見えます。
特にITの進化(フィンテック)でコスト削減余地が生まれた支店の人員削減などを積極的に進めています。
ただし、日欧の銀行間には根本的な違いもあります。
日本と欧州の銀行間の預貸率の違い
日本は国内にお金が余っており、それが銀行部門に滞留しています。そのため、銀行は預かったお金(預金)に対し、貸し出すお金(貸付金)が6割程度(これを預貸率が6割とも呼ぶ)しかありません。
そのため、資金の運用先は深刻な問題です。
では、欧州の銀行ではどうでしょうか。
欧州の銀行の預貸率(預金と貸付金の比率)は、約100%です。
そのため、先に述べたように貸出金の利幅低下の問題はあるものの、資金の余剰による運用難という問題は存在しません。
日本よりもだいぶ運用しやすい環境なのです。
なお、欧州の銀行の預貸率は、リーマンショック前は150%程度で、貸付金の方が多いじょうたいでした。
すなわち資金不足の状態です。景気がいいときは、こうした状況は経営の効率化につながりますが、景気が悪化すると資金不足の問題に直面します。
リーマンショック後の欧州金融危機は、ギリシャなどの債務問題国の要因でもあるわけですが、銀行部門に大きなレバレッジがかかっていたことも問題の一つでした。
その預貸率150%の状態から、現在の100%の状態に移行する過程において、経済のレバレッジが下がって、欧州の景気低迷につながったわけですね。
まとめ
まとめると
・マイナス金利に欧州の銀行は手数料ビジネスの拡大やコスト削減で対抗
・でも、そもそも日本より余剰資金が少ないから、運用難の問題は軽微だった
・日本の銀行はより深刻になりそう
こんな感じかと思います。
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