イギリスのEU離脱、Brexitは何が論点になっているのか
Bregxitについてまとめ
欧州連合(EU)は、英国を EU に残留させるための改革案で合意しました。
以下に状況を整理してみます。
- Bregxitについてまとめ
- 英国内の立ち位置は
- Brexit派はなぜ離脱したい?
- 今回のEU改革案はなぜ必要だった?
- 今回のEU改革案で何が決まった?
- EU離脱派は満足する?
- 英国が離脱したら経済にどうゆう影響が出る?
英国内の立ち位置は
まず認識すべきは、英国のキャメロン首相はEUの残りたい残留派。
一方でEUを離脱したいBrexit派はロンドン市長のボリス・ジョンソンなどの大物政治家。
企業経営者はどうかといえば、英国の代表的企業で構成されるFTSEトップ100企業のうち半分の企業のトップがBrexit反対。
こんな構図。
Brexit派はなぜ離脱したい?
イギリスは、独自通貨ポンドを維持しており、欧州共通通貨ユーロを採用せず、独自通貨のポンドを利用していることからもわかるように、欧州と一定の距離を置きたいというのは伝統的な考え方。
特に、EU離脱すべきとの根拠になっているのは、
・EUへの財政拠出が英国のためにならない(他のことにお金を使った方が英国のため)
・アジアなどの成長セクターに近づいた方が英国の経済成長につながる
・EUの金融規制がシティ(ロンドン)の国際競争上、不利
などの考え方が背景にある模様。結構楽観的な考え方のようにみえるけど、そう思う人もいるのでしょうね。
今回のEU改革案はなぜ必要だった?
今回のEU改革案は、英国のEU離脱を食い止めるためのもの。
英国は ユーロを購入しないなどEU 参加国として完全ではないが、経済・政治・軍事とEU圏内では大規模な国。当然その価値はEUにとって大きく、英国の離脱を阻止するための妥協案として改革をのむ必要があったわけです。
今回のEU改革案で何が決まった?
法案に対する拒否権
イギリスの競争力の源泉になっている金融街のシティ。
しかしEUの金融規制が、シティに悪影響を及ぼすのではないかとの懸念が根強くありました。
その懸念にこたえるため、EUは、一部の 加盟国の不利益となる可能性がある法案をストップす る議論が必ず行われるようにするため、新しいプロセスを設定しました。
欧州理事会で合計 55%の 議決権を占める国々が望むなら、理事会では対象となった法案を議論して、修正されなければ 撤回することになります。
通貨ユーロを導入していない国が、ユーロ圏の金融政策に対して抗議する権利も盛り込まれています。
移民への社会保障制限
イギリスは社会保障に対する考え方が、他の欧州諸国より後ろ向きのため、移民への手当の制限が論点の一つになっていました。
中東欧から流入する移民労働者の抑制を狙った社会保障の制限では、緊急措置として就労から最大四年間の制限を容認。緊急措置の期間は7年としました。
母国に子どもがいる移民が受け取る子ども手当は、支給額を母国の状況に合わせることを認めました。
しかし、これには英国の不満が出るとみられています。
移民の子供、UKで生まれたが、親はUKに残っているが子供は自国に戻った場合に子供に支払う手当を排除すると言うキャメロンの要求に対し、それは2020年以降有効と言うこれまた限定的な合意しか取り付けられていないことが、その理由です。
今回の合意を欧州諸国が履行するか
欧州の意思決定プロセスは複雑で、EUとして決めたことでも各国議会が拒否すれば不成立になります。今回のEU改革案はどうなりそうかというと、ちょっと微妙。
まあ、国としての在り方とか正義みたいなのが引っかかるポイントであって、直接的な不利益はなさそうだから何とかなるのかな。
EU離脱派は満足する?
一連の改革案が成立したとして、英国のEU離脱派は満足するでしょうか?
これはちょっと厳しいように思えます。
英国のキャメロン首相が EU改革を公約し目指したものと比較すると、十分な達成率に至っていません。
キャメロン首相は、EU残留こそが英国の利益と考えているため、EUを改革することで、自国民に残留を認めさせようとしていたわけですが、簡単にはいかないかもしれません。
英国が離脱したら経済にどうゆう影響が出る?
英国経済とEU経済はともにマイナスの影響が出るとの見方が一般的です。
EUの一部の国は、英国の地位を奪う(ドイツのフランクフルトの金融セクターの台頭など)とみれらていますが、双方に密接な貿易関係があるため、トータルではマイナスになる可能性が高そうです。
だから、ポンドが暴落しているのでしょうね。
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