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ポンド相場を知るための基礎知識、BoEのFX市場への関わり方


2月26日 登録

英ポンドについてのまとめ

イギリスの通貨ポンドについてまとめます。 イギリス経済の特徴、ポンドの通貨取引における位置づけ、英中銀(BoE)の為替政策への関わり方などと観点からまとめます。

イギリス経済

製造業

イギリスは世界で一番初めに産業革命を成し遂げた国です。そのため「世界の工場」として英国製造業は一時は隆盛を極めました。しかし、イギリス製造業の競争優位が保持された期間は実はかなり短かったとみられています。遅れて産業革命期に入ったドイツやアメリカが巨大な製造業者を生み出した(育てた)のに対して、イギリスでは小規模な企業が乱立した状態が長く続きました。それによって、相対的な製造業の競争力が衰えたとみられています。

それでも、産業的な基盤が整っているので、現在でもTATAグループが買収したジャガーなどの自動車メーカーなど、製造業が一定の存在感を持っています。外資に寛容な政策が産業競争力を維持している様子がうかがえます。

資源・エネルギー産業

イギリスは実は隠れエネルギー国。北海油田からの原油生産があるだけでなく、エネルギー系の大手企業がロンドン取引所には多数上場しているます。かつての大英帝国時代、覇権国として世界中に原油の権益を持っていた名残からBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)など大手資源企業もあります。そのため、資源価格の下落が株式市場の下落につながり、英国経済に悪影響を与えます。資源価格の動向が上記のように波及して、英ポンドにも大きな影響をもたらすわけですね。

なお、イギリスの主要輸出品は石油化学製品になっています。

金融産業

イギリスといえば金融っていうくらいの主要産業です。特に為替取引においては、一人勝ち状態です。

BIS (国際決済銀行)は外国為替の国別取引額を公表していますが、この不動の1位はロンドン市場なのです。年によって数値の変動はありますが、ロンドン市場のFX取引市場占有率は約4割です。2位のアメリカ為替市場の2倍の規模となっており、金融の中心地であるニューヨークですら、為替の世界ではロンドンにかろうじてついて行っているっていうイメージです。

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ロンドン(のシティ)が金融の金融の街なのは言うまでもないですが、スコットランドも金融が主要な産業であり、英国って単位でみると金融の重要さはさらに高まります。

ポンドは、世界の基軸通貨だったうえに、英国の外国人に寛容な政策から、世界中の金融機関(銀行だけでなく証券、アドミニストレーターやトラスティなど金融の周辺産業も含む)がこぞって進出しています。こうした多様なプレーヤーが英国金融業の強さの背景ですね。

ドイツのフランクフルトは、経済規模がより大きく、通貨圏としても巨大なユーロ圏に属していながら、ロンドンの地位を奪うことが出来ないでいます。

連合王国としての複雑さ

英国は、イングランドが中心になって、スコットランド、ウェールズ、北部アイルランドなどとともに形成された連合王国です。そのため、スコットランド独立問題やアイルランド独立派との紛争など複雑な問題を抱えています。

こうした問題が、経済まで波及することが多いので、危機に弱い経済体質になっています。

また、EUからの離脱問題を抱えていることも、政治的・地政学的複雑さを抱え込む要因となっています。

ポンドの性質

リスク選好通貨

英国は移民を積極的に受け入れており、内需が強いため、先進国の中では高金利国に位置付けられます。そのため、世界が平和なときは英国にお金が集まることになるため、通貨は上昇しやすい傾向があります。

一方で、世界が混乱しているようなときは、金融産業が多い、軍事的に積極的に活動している(テロリスク)などの要素から英国からお金が逃げる傾向があります。

そのため、ポンドは世界経済が良いときは上昇し、悪いときは下落するっていうリスク選好通貨に位置付けられることになります。

スイスフランとは反対ですね。

原油との連動 

これは時期にもよりますが、上で述べたように、英国と原油・石油産業との関係の深さから英ポンドと原油価格にも相関がみられます。

原油価格は世界経済が良いときに上昇しやすいので、リスク選好通貨としての位置づけが原油価格とポンドの連動を生み出しているっていう面もあります。

イギリスがユーロを導入しないわけ

イギリスはEU加盟国なのにユーロを導入しておらず、独自の通貨のポンドを維持しています。本来はEU加盟国はユーロに加盟しなくてはならないルールになっているのですが、英国とデンマーク(デンマーククローネを採用)は初期EU加盟国としての特権が与えられており、独自通貨が維持できることになっています。

ユーロを採用してしまうと金融政策を決める権利がECB(欧州中央銀行)に奪われてしまうため、独自の金融政策を維持したいって考えももっているでしょう。英国は積極財政の国なので、ユーロ加盟国に求められる財政基準もデメリットに感じているはずです。

個人投資家に人気の理由はポンドの荒い値動き

原油相場に連動しやすい、世界景気に敏感、米国とともに積極的に軍事行動を行っている、ドル・ユーロと比べて流動性が低いことなどからポンドはボラティリティが大きい通貨です。

値動きが荒さが大儲けを狙う個人投資家の人気を集めており、ポンド円は日本人が取引しやすい通貨ペアです。

英国(ポンド)の金融政策

ポンドの動向を左右する英国の金融政策決定機関はBank of England(イングランド銀行、BoE)です。世界最古の中銀でありながら、カナダ中銀総裁出身のカーニー氏を総裁として迎えるなど先進的な印象です。

アングロサクソン系とあって米国のFRBとスタンスが近く、景気にフレンドリーなスタンスを取りがちです。


BOEの金融政策の目的は物価安定の維持です。そのためにインフレターゲットを採用しており、前年比でインフレ上昇率が2%を目指しています。インフレターゲットの設定は英国財務相が行います。 

BoEの意思決定機関

BoEの金融政策を決定する機関はMonetary Policy Committee (MPC)です。開催は、第1月曜日のある週の水、木曜日に2日連続で設定されています。

2日目の会合終了後に日本時間20:00(夏時間)または21:00(冬時間)にアナウンスが行われます。
(決定事項) インフレターゲットを達成するための政策金利の設定他、 金融政策に関する事項。
MPCの構成は中央銀行総裁(1名)、副総裁(3名)、中央銀行主席エコノミスト(1名)、財務相に任命される外部委員(4名)の9名になります。

 

金融政策に関して公表される資料

・インフレレポート:年4回、2、5、8、11月に公表。今後3年間のインフレ率や成長率見通しをファン・チャー トで示す。
・議事要旨
・APF四半期レポート(2009年第1四半期に発表開始)

 

英中銀の為替政策への関わり方

為替介入の原資になるイギリスの外貨準備は、英国財務省の為替平衡操作勘定 (Exchange Equalization Account: EEA)で保有されています。英中銀(BoE)は為替平衡操作勘定を管理する代理機関として位置づけられている。

日本と近い制度です。

BoEは財務省の指示の下、為替介入や外貨準備の積立を行うっている位置づけです。ただし、1997年5月から、英中銀(BoE)はインフレターゲットの達成など金融政策の目標達成を目的とする場合に限り、自己資金で為替介入を実施することが認められています。 

EU離脱の影響

2016年英国は国民投票によりEUからの離脱を決断しました。為替市場はポンド安で反応しました。

今後の英国とEUのかかわり方はノルウェーとEUの関係がモデルとになると言われています。

それはノルウェーがEEAという仕組みを通じてEUの市場に、加盟国と同様の交易権を確保しているからです。

 

しかし、このEEAには英国にとって困った点もあります。

そもそもイギリスは移民を制限したいというのが、EU離脱の大きな理由でした。

ノルウェーはEEA参加国として、EU加盟国と同じように域内の自由な人の動きを認めなくてはならない代わりとして、EU市場にアクセスできているとも言えます。

そして国境検査なしでの出入国を許可するシェンゲン協定にも参加しているのです。これによって、EU市民が英国よりもずっと簡単にノルウェーに入国できます。

現在のところ英国はシェンゲン協定に参加していません。

しかし、EUから離脱しながら、EUから経済的利益を得ようと思ったら、ある程度の妥協は迫られることでしょう。EU主要国のドイツ、フランスはイギリスに対して妥協する姿勢を見せていません。

英国とポンドの前途は波乱に満ち溢れていそうで、ボラティリティが高い投機に向いた通貨としての性格は長期的に続きそうです。

ポンドの長期下落トレンド 

英ポンドは長期的に下落してきた通貨です。それは、基軸通貨の地位をドルに奪われる過程で必然的に起こることでしたが、ほかにも英国経済自体のファンダメンタルズによる部分も大きいです。


1971年のニクソンショック(金ドル交換停止)以降、米ドルは円やドイツマルク(現ユーロ
)に対して70年代を通じてほぼ一貫して下落しました。

しかし、英ポンドはその米ドルに対しても下落し、71年に2.4ドル前後だったポンドの対米ドル相場は85年には1.05ドル台まで下落することになります。

 

その当時は、米国ではレーガン政権の下で強い米国政策が掲げられ、インフレ克服のため、ポール・ボルカー議長率いるFRBの超高金利政策の下、米ドルは70年代の下落基調を脱し、ほぼ全面高の様相を呈してした(円、ドイツマルクは除く)。

その当時、原油相場が軟調に推移したことも、資源国通貨としての特徴を有する英ポンドの下落に拍車をかけることになります。

 

なお、1971年当時のポンド円相場は、860円を超えていました。
英ポンドは85年に1.05台へ下落した後は反発に転じ、その後、対米ドル相場は1.40前後が長期サポートとして機能してきた。その間の約30年間、一時的に1.40台を割り込むことはあっても、結果的には比較的早期にその水準を回復しています。

 

なぜこのように、ポンドがすう勢的に下落してきたと言えば、それは英国の経常赤字によるファイナンス問題に起因しているみるのが正しいと思います。

 

米国とユーロ圏の経常収支が2000年代終盤以降、長期的な改善を示す中、英国の経常赤字が趨勢的な拡大基調を辿ってきました。

 

米経常赤字は2006年頃に経済規模比5%を超えて拡大し、米ドルはリーマン危機が発生した2008年頃まで深刻な下落圧力に見舞われます。現在、英国の経常赤字は経済規模
比5%を超えて拡大しており、その当時の米国の赤字規模にほぼ並びました。

重要なことは、近年、シェール革命によるエネルギー生産が増え、原油安も加わって、輸入が減った米国で経常収支の改善が進む中、英国の経常赤字が増加したことだ。


英国は北海油田を有する産油国であるとは言え、エネルギー輸入国です。

米国やユーロ圏、日本などエネルギー輸入の主要国・地域の経常収支が原油安の恩恵を受けて改善する中、英国の経常赤字が膨らんだのは、①堅調な内需を受けて輸入数量が
底堅い伸びを示してきたこと、

②逆に輸出は海外経済(特に貿易取引の約5割を占める大陸欧州)の不振を受けて伸び悩んだことがあります。

 

このようにポンドは経常赤字という根本的な弱点を抱えているため、長期的には下落トレンドをたどっている通貨です。

それを意識してポンドのFXトレードを行うべきでしょう。

 

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