過払い金返還請求の時効が影響?クレディセゾンが下⽅修正
過払い金が減ってこない
カード事業を展開するクレディセゾンが2015年通期経常利益予想を下方修正しました。従来は465億円とみていたところ、それを-135億円引き下げて330億円に引き下げています。
下方修正の要因は、過払い金返還請求対策として繰⼊金を150億円用意したことによります。
一応、不動産業務利益の予想額を20億円の上⽅修正したものの焼け石に水でした。
慎重に過払い金返還請求を見ている模様
同社の今回の下方修正は、今後も過払い金返還請求が減らないとみているということ。
なぜそうしたかといえば、足元で返還請求が増えているから、と想像できます。
では、なぜ一旦減少傾向がみられた返還請求金額が再度増えているのでしょうか。
過払い金返還請求の経緯
過払い金返還請求が始まったのは、2006年の最高裁判決でアイフル(シティズ)が、グレーゾーン金利の適法性を争って、敗れたことが契機になっています。それまでは、利息制限法を超えた金利(グレーゾーン金利)であっても出資法の規定する金利の範囲内ならば、双方の合意を前提(みなし弁済)に、高い金利の設定が認められると考えられていました。
それを否定する判決が出たことで、今日まで消費者金融やクレジットカード会社を苦しめる過払い金返還請求が始まりました。
ただ、この判決が出たのちも、2008年ごろまでは利息制限法を超える金利での貸し出しが、一部では行われていたといわれています。
過払い金返還請求権の時効
過払い金の返還請求権は法律上の権利であり、時効があると解釈されています。そしてその時効は、権利が行使できる日(最終の返済日)から10年とされています。
そのため、利息制限法を超えた貸し出しが最高裁判決が出た2006年以降減少し、2008年ごろ最後となったと考えると、今年2016年は返還対象額のボリュームが多く残っている(可能性がある)最後の年になります。
だから、弁護士事務所のTVコマーシャルも盛んにおこなわれていますね。
それに触発された、返還請求が足元で増加しているのかなっていうのが、クレディセゾンの下方修正から想像できることです。
下のようなニュースも時効が迫り、市場が縮小することへの焦りが見えます。
過払い金請求で指針超す報酬 扱い首位の司法書士法人:朝日新聞デジタル
貸金業者の不法行為があったと主張すれば、時効は伸びるようですがハードルは間違いなく高くなるでしょうし。
なお同社の過払い引当追加は、⾜元の請求ペースが当⾯減少しない前提で、今後2年超をカバーするのに⼗分な⽔準への引当⾦残⾼引き上げました。
この2年分は、まだグレーゾーンで貸し出していた2008年に対応する2018年を強く意識しているのでしょうね。