ETFの空売りはよく考えてね。逆日歩がつきやすい理由を説明します
空売りはいろいろコストかかるけど、特に逆日歩が負担がコスト重いよ
空売りを行うと以下のようなコストがかかります。
1.売買手数料
ネット証券なら小さい。何百円レベルのことが多い。
2.貸株金利
株を借りるための品貸し料。株を持っている人はただで貸すわけではありません。モノを貸すと言うことは相手が返せなくなりリスクを背負うと言うことです。
当然そうしたリスクを織り込んだ上での貸し賃が必要になります。ただし、通常の銘柄では年率で1.15%程度。新興企業などで出回っている株が少ない場合は跳ね上がる。
3.配当落ち調整額
配当の権利落ち日をまたぐ場合に発生。株価で配当落ち分だけ下落して調整(信用売り方の利益)されるため、実質的には負担とはいえないかな。
4.管理費
これは本当に盲点になりやすい。1ヶ月単位で発生する管理費。1,株当たり0.15円、ただし売買単位が1株(口)の銘柄は15円。単価が低く、売買単位が1株単位の銘柄は気をつけてください。
この管理費の負担の重さを言いたいことも、この記事を書いた理由の一つです。
5.逆日歩
空売りを行うための株が足らなくなった場合、その調達のためにかかる追加的に費用。
このうち最も変動が大きくて、場合によっては大きなコストになるのが、5.逆日歩です(少額の空売りだと4.管理費も重くなるケースもある)。
ひどいケースだと、1日10%(年換算で1,000%超!)を超えることもあります。
この逆日歩のETFへの付きやすさが、この記事の主題です。
逆日歩の付き方のサンプル
上の表は、逆日歩(の率)が高い順に並べた表です(2014年2月21日)。
このうち、灰色に色を塗ったものがETF(上場投資信託)です。
もう見ただけで全体に占めるETFの割合、高いですよね。
6位の神戸製鋼はPO(公募増資)中なので特殊事例ですし(POディスカウントとのアーブ的な空売りが増える)。
なぜ、ETFの空売りって逆日歩がつきやすいのか
逆日歩ってそもそもなぜがつくの?
ETFの空売りに逆日歩がつきやすい理由は、逆日歩がつく経路がわかれば理解しやすいです。
ネット証券などを通じて個人投資が行う空売りは、証券金融会社(日証金)を通じて行われます。
空売りを行うという行為は、証券金融会社に株を借りて、それを市場で売却するってことですね。
この株を貸して欲しい(空売りしたい)ってニーズに備えるため、証券金融会社ではあらかじめ株を貸してくれる機関投資家を確保しています(その他の調達先として信用買いで買っている個人投資の保有分などがある)。
しかし、空売りが増えすぎると、すでに確保している株式だけでは足らなくなります。
そのため、株式の追加的な調達を行うために、機関投資家に通常よりも高い料金を提示することで、株を借りることになります。
この分のコストが逆日歩になるイメージですね。
主要な貸し手が保有していないことが原因
株式の貸し手になる機関投資家のうち、かなりシェアを占めるのが、インデックスファンドです。
インデックスファンドの目的は、ベンチマークとする株価指数等にパフォーマンスを近づけることですが、売買手数料等各種コストのせいで、実際にはベンチマークを少し下回ることになる可能性が高いです。
この売買手数料等の各種コストを賄う(補う)ために一部のインデックスファンドは、組み入れている株式の一部を貸株市場で運用(このなかに日証金への貸し出しが含まれる)しています。
ETFはこのインデックスファンドの保有分が(ほぼ)無いことが、ポイントです。
主要な株式の貸し手であるインデックスファンドが保有していなければ、調達環境は厳しくなりがち、当然逆日歩はつきやすくなりますよね。
上の表の1位と3位に中国株のETFが入っているように、ETFの空売りは「中国株のショートポジション」みたいななかなか代替手段がない(中国株先物はあるがかなり投資しにくい)投資機会を提供してくれます。
独自の値動きをしやすいインド株や日経レバレッジなどを用いたくなるときもあるでしょう。
でも、逆日歩によるコスト負担を考えると、慎重に取り組んだ方が良さそうですね。
なおここでしたお話は、日証金と日本証券取引所グループが担保している制度信用での空売りの話です。
しかし、逆日歩が付かない一般信用ではそもそも調達しにくくて空売りができないか、証券会社によっては特別の高金利を提示しているケースがあるので、空売りしにくいっているのは同様ですね。
信用売りのコストが最も安いのはむさし証券です。
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