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北欧でマイナス金利を導入した際、為替に与えた影響は?

マイナス金利の為替への影響

今回はマイナス金利と為替(FX)の関係を考えます。

2016年1月末に日銀がマイナス金利を導入しました。

その際、為替は一旦円安に進んだのちに、反対に円高に進みました。

マイナス金利導入は単純に円安要因になるはずですが、銀行株を中心に株式市場が下落したためリスクオフにより為替が円高に展開したとみることが出来ます

マイナス金利と株式市場。特に銀行株は影響が大きい

このように、金利は単純に為替に影響するだけでなく、株式市場を通じて間接的に為替市場に作用するパターンもあり、非常に読みにくいものがあります。

今後、為替にどのような影響があるかについて欧州(主に北欧)のマイナス金利の導入と銀行株式の推移を見ることで、参考にしてみたいと思います。

 

スイスの事例

UBSの株価と業績

スイスにおけるマイナス金利導入の発表は2014 年12 月です。

その後 1 カ月でスイスの最大手銀行であるUBS の株価は 10%超下落しました。

ただし、株価は2015 年 1 月を底に反転、3 月にはマイナス金利発表時の水準を上回ります。

マイナス金利適用後の15 年 12 月期における本業からの利益を示す資金利益は 14 年 12 月期比増益となり、当期利益も増加しています。

クレディスイスの株価と業績

一方、スイス2番手銀行であるクレディスイスの株価は25%超下落したが、15 年 3 月にマイナス金利発表時の水準を回復しています。この辺の株価のリズムはUBSと似ていますが、値幅をかなり大きいです。2番手であり財務状況もUBSに劣後するクレディスイスが一旦は大きく売られ、その後大きく戻す展開になったことになります。

財務状況が悪い企業ほど、株価のボラティリティが大きい、という傾向が顕在化していますね。

なお、業績はリストラ費用の捻出で赤字になるものの、本業からの収益は回復しています。

スイスフランの動き

マイナス金利の導入自体が、スイスフラン高に耐えかねて導入したという経緯もあります。

そのため、根強いフラン高圧力に悩まされることになりますが、マイナス金利導入直後はフラン高圧力は軽減することになります。

マイナス金利が、短期的に通貨高圧力を緩和した事例ですね。

しかし、その後はユーロ圏の低迷によって、スイスフランは買い圧力に直面するわけですが・・・

為替は相対的な力関係が重要なので、ユーロがより弱ければ、スイスフランがマイナス金利に突き進んでも効果は限定的になってしまいます。

 

デンマーク、スウェーデンの事例

デンマーク、スウェーデンは発表直後から株価上昇

デンマークにおけるマイナス金利導入の発表は2012 年 7 月だが、同国最大のDanske Bank の株価は発表後に上昇します。

一方で、本業からの利益を示す資金利益は2013 年 12 月期に横ばい、その後の四半期である14 年 3 月期では増益となります。

 

スウェーデンのマイナス金利導入の発表は 09 年 7 月で、リーマンショックの 1 年後です。そのため事例として特殊すぎるのですが、一応見ておくとNordea Bank の株価は、マイナス金利導入後、上昇基調となっています。

本業からの利益は 10年 12 月期に減益となったが、11 年 12 月期は 09 年 12 月期の水準を超えるV字回復となっています。

マイナス金利導入後のデンマーククローネとスウェーデンクローナの動き

デンマークはデンマーククローネ、スウェーデンはスウェーデンクローナという独自通貨を採用しています。

両通貨供、ユーロ圏という巨大な経済圏に隣接しており、かつ資源国でないという特徴があり、為替市場での立ち位置は近いものがあります。

そして、マイナス金利導入後の動きも似ており、マイナス金利にも関わらず堅調な値動きになります。

この辺りはスイスフランとも近いものがありますが、ユーロが弱い中、デンマーク、スウェーデンは相対的に経済が強かったのが通貨高の要因になりました。

 

まとめ

 スイスの銀行の動き

・一旦は株価は下落。

・その後4か月ほどで上昇し元の株価水準を回復。

・銀行の本業の業績は悪化していない。

 デンマーク、スウェーデンの動き

・株価は堅調

・銀行業績は一旦悪化するも近い1~2年以内に回復

 

為替市場は結局経済のファンダメンタルズが大事

上でみたように、先行事例からはマイナス金利が銀行収益や株価に回復不可能な打撃を与える結果にはなっていません。

ただし、それはリーマンショックに端を発する金融危機からの回復局面にあったため、銀行セクター全体に強い追い風が吹いていた影響もあるでしょう。

また、マイナス金利という金融緩和策が、経済を下支えした効果もあったはずです。

 

すなわち、マイナス金利単独ではなく、経済環境やそれによる銀行の収益が最後には注目される、と言って良さそうです。

 

自国通貨を安くしようとしてマイナス金利を導入したとしても、過度に低い金利は経済にひずみをもたらします。スウェーデンなどはそれにより不動産市場が過熱しすぎて金融政策当局者はコントロールに苦慮しました。

経済の実態に対して、低すぎる(マイナス過ぎる)金利は長続きしません。

為替市場はそれを見越して、マイナス金利だからと言って過剰反応することはないのでしょうね。

【SBIFXの評判】SBIFXトレードはドル円のスプレッドが最狭と評価。1単位通貨取引もデモトレード代わりに面白い

SBIFXトレードの評価をまとめる

SBIFXトレードの評判と評価をまとめます。

実際に使ったリアルなスリッページも記載しているので、ぜひご確認ください。 

 

ドル円のスプレッドの狭さ

SBIFXトレードの特徴として、0.27銭と最狭のドル円のスプレッドが第一に挙げられます。このスプレッドは1万通貨までなので、大ロット注文をすればもう少しワイドになります。

かつては0.1銭ととんでもない水準でしたが、スプレッド競争が一段落しているため、ちょっと広がったのは残念なところ。

それでも競合のスプレッドの狭さを売りにする業者が、ドル円のスプレッドを0.3銭に設定していることからも、SBIFXトレードが価格競争で負けるつもりがないことがわかります。

競合他社がより狭いスプレッドを提示して来れば、さらに狭くしてくれそうで、ここで取引すれば(少なくともドル円では)損しないって思えるのは大きなメリットですね。

 

わたしは1万通通貨単位の小さい注文をする場合用のFX口座として活用してます。

対円レートが小数点以下4桁表示

SBIFXトレードは対円レートを小数点以下4桁まで表示します。

この4桁表示のメリットが何かというと、より細かいレートが出ることで実質的なスプレッドが狭くなること。

この4桁表示に対応しているのはSBIFXトレードだけなので、このメリットはぜひ活かしたいですね。

スリッページの指定

SBIFXトレードでは許容するスリッページ(注文した値段より価格がすべること)を指定できます。

デフォルトでは0.5銭(0.005円)に設定されています。

SBIFXトレードの取引画面

画面一番下の中央ちょっと右に「許容スリッページ」を入力する欄がありますね。

ここに自分が許容するスリッページを入力します。

わたしはあまりスリッページを気にしない派なのデフォルトで使っているのですが、「絶対すべるの許さない派」ならここをゼロにすれば滑りません。

その代わり約定しにくくなるわけですが。

 

ちなみに実際注文をしてみた結果がこんな感じです。

ドル円を1万通貨買いを入れています。

購入(買建)時スリッページのリアル

SBIFXトレードの購入時スリッページ画面

許容スリッページを0.005円にしていますが、実際のスリッページは0.0028円だけすべったことになります。

・注文価格105.7083円ー成立価格105.7111円=0.0028円(スリッページ)

ドル円上昇トレンドだったので、こんなものです。

トレンドに沿った取引をする場合はスリッページは許容しなくてはいけないですので。

決済時スリッページのリアル

ちなみに決済時のスリッページはこんな感じです。

と、ここで載せるために上で注文した玉を決済しに行ったのですが、一切スリッページなしでした。

売却時スリッページ

ドル円のトレンドが強い最中に決済したので、滑らずにいけました。

 

わたしの利用している実感では、SBIFXトレードは滑りやすい業者ではないと思っています。

だから、業界最低水準のスプレッドが存分に生かせるってことですね。

 

SBI FXトレード

1通貨単位取引

SBIFXトレードは1通貨単位からトレードできます。

ドル円なら約100円くらいから取引できるのですごい少額ですよね。

普通は1万通貨単位だったり、1,000通貨単位でしか取引できないので、1通貨単位取引は凄いです。

グループにSBIFXリクイディティ・マーケットがあるので、そこが流動性の受け皿になって提供できているサービスかも知れません。

 

これは、超少額のお金を使って実際の売買を行うことで、デモトレードより効果的にFXになれることが出来そうでFX初心者の方にお勧めしたい機能です。

 

FX会社には珍しく大企業

FX会社って一部には上場企業もありますが、ほとんどが非上場のあまり大きくない会社です。

しかし、SBIFXトレードはSBIグループの中核の一つと言ってもよい存在なので、大手企業と同様の信用力が期待できます。

FXの資金は分別保管なので基本は安心なのですが、お金に絡むことは少しでも安心な金融機関に預けたいものです。

 

スプレッドの変動は悪くない

月曜早朝のウェリント市場など流動性の少ないマーケットでは、以上にワイドな値段がついてストップロスの注文が約定してしまうってトラブルに陥るFX業者がたまにあります。

しかしSBIFXトレードは、レートのシャープさを保ってくれる印象です。

わたしはよく、複数のFX業者のスプレッドの広がり具合を監視していますが、SBIFXトレードは優秀な類ですね。

 

重要経済指標やイベント時は逆指値停止

雇用統計などの重要市場やブレグジットなどの重要イベント前は逆指値注文を停止することがあります。

これには賛否両論あるかと思いますが、わたしは誠実な対応だと思っています。

マーケットの方向性が一気に変わってしまうときって注文の真空状態になるので、逆指値が実質的に機能しません。

そうした場合に無理に約定させてしまうと、顧客に不利なレートで約定させてしまうことがあるからです。

それでも良いから切ってくれって人もいると思うので、この辺りはFX業者との付き合い方次第でどちらの考え方が正しいとも言えないのですが・・・

 

取引ツールはインストール型を推奨

トレードツールはブラウザ型とインストール型(リッチクライアント型)がありますが、リッチクライアント型が軽くて使いやすいです。

ただ、わたしはごちゃごちゃブラウザいじっている流れで注文することもあるので、ブラウザ型も結構使ってます(ただ、機能は充実しているとは言えません)。

SBIFXトレードのトレードツール

サービス向上員会が信頼できる

わたしが何気にSBIFXトレードがいいなぁ~って思っている理由って、投資家のためにサービスを向上させようとしていることが見えやすいってところなんですよね。

 

サービス向上委員会

サービス向上委員会|SBI FXTRADE

 

リンク先見て貰えばわたしと同じ印象持ってもらえる気がしてるのですが、結構本気なんですよね。

ブレグジット対応についてもいろいろ考えてまとめてました。

 

サービス向上委員会の実例

ただ、投資は自己責任なのに少し過保護かな~って思う記述も多いです。

SBIFX公式サイト

SBI FXトレード

レバレッジ付き定期外貨取引の存在

外貨預金の代わりにおすすめの「レバレッジ定期外貨取引」というサービスを行っています。これはFXトレードというより、外貨を積み上げていくってイメージのサービスなのですが、外貨預金より手数料が安くて魅力です。

このサービスについては上の記事で詳しくまとめていますので、興味のある方はご確認ください。 

 

インドルピーの特徴は非資源国。原油や金と逆に動くよ。

インドルピーについてのまとめ

南アジアの大国として成長著しいインドですが、その通貨ルピーは製造業基盤のもろさなどから盤石とはいえない値動きが続いてきました。

インド経済の大きな特徴はなんといっても、資源がないこと。

資源国としての特徴がある国は、オーストラリアドルカナダドルノルウェークローナなどがありますが、インドルピーはこれらの資源国通貨とは反対の特徴を持ちます。

 

旺盛な資源需要があるのに対して、製造業が弱くて外貨獲得の手段が少ないインドは、資源価格が上昇しすぎると、経常赤字に陥り易くて通貨が弱含むわけですね。

金とルピーの関係

旺盛な金需要

インド人は金が大好きです。昔から宝飾品として需要が高かった(古代インドは「金の雀」と呼ばれていた)ほか、縁起が良いものとして繁栄の象徴にもなっています。

そのため、成功者や娘の嫁入りなどで金をふんだんに購入するのです。

そして、金の持つ価値の保存性も高く評価されていて、昔から子孫に資産を引き継ぐ手段として重宝されてきました。

 

インドの宝飾品は、金の含有量がほとんどそのまま価格になります。日本などの先進国では、金などの含有量よりもブランド料や加工量の比重が高く、金の含有量の数倍で取引されることが普通です(インドでも加工量の上乗せはあるが数%程度)。

インドが金自体の価値を重視しているかがよくわかりますね。

 

さらに近年ではインドはインフレに悩まされており、金の対インフレ性もインド人の購入意欲を押し上げています。

金

金の輸入制限で経常収支が顕著に改善

インド経済の金需要の強さを考えると、インドルピーのリスクは金価格の高騰で経常収支が悪化し、インドからお金が流出するような環境であることが分かります。

2013 年に当時のバーナンキ議長が率いるFRB が資産買入れを減額する意向を示した俗にいうバーナンキショックが発生しました。

それが新興国の混乱をもたらすわけですが、新興国のなかでも最も苦しんだのがインドです。その最大の理由が、伝統的に金を好む傾向にあるインドで金輸入が急増し、国際収支の悪化させたことと、それに伴うルピー安が更なるインフレ不安につながったことです。インフレ不安は一層の金への需要を強める結果になり、際限のない悪循環を発生するのではとの不安が高まりました。

 

しかし、こうしたルピーの下落は2013 年秋には底入れします。

インド政府は国際収支を悪化させる主要因である金の輸入を制限し、強制的に国際収支を回復させる行動に出ました。これが好感され、インドルピーの価格下落は終わります。

原油とルピーの関係

原油も重要

インド経済のもう一つの重要な要素は原油です。

大国であり大量の原油を消費する割に埋蔵資源が少ないインドは、原油価格にも経済が左右させられます。

昨今の原油価格の下落インドは国際収支が改善しています。

シェール革命はインドにとっても好機か

米国のシェール革命で恩恵を受けるのはもちろんアメリカが中心なわけですが、シェールガスが原油価格を押し下げる働きをする以上は、原油の純輸入国全般の利益になります。

米国のシェールガスとの競合を意識した原油生産国が、原油価格の高値維持をあきらめました。産油国の採算ラインぎりぎりでの原油価格形成が続きそうで、インドにも追い風になりそうですね。

極端に安い原油価格が良いかと・・・

原油価格は安い方がインド経済には追い風です。それは間違いないのですが、極端に安い原油価格がインドルピーにとって良いかというと、それは微妙です。

なぜかというと、原油価格が極端に低いとき(例えば1バレル20ドル台)は、金融市場がリスク回避的になっているため、インドルピーのようなリスク資産にはお金が向かわないからです。

世界経済が不安定なときは、インドのような新興国にお金を置いておきたいって人は少なくて、先進国に置いておきたいって考える人が多いからですね。

インドルピーは中国の減速リスクを緩和する存在になるかも

原油安の要因は、米国のシェール革命だけではありません。

中国経済の減速で、中国が無尽蔵に石油を消費するって考え方に変化が出てきたことが大きいです。

中国経済が減速するのは、世界景気にとってマイナスですが、インド経済にとっては原油安を通じてプラスの面があることは面白いところ。

分散投資の一環として、インドルピーには投資価値があるかも知れないですね。

 

現在の安い原油価格が続くという環境なら、その環境に有利な国としてインドには注目したいです。

なお、中東のドバイには、原油安で潤ったインド人観光客が押し寄せて爆買いしているようです。

アラブ首長国連邦の通貨UAEディルハムの弱点は、ユーロ問題と共通か?(AEDJPY)

統合通貨の弱さとUAEディラハム

ユーロは1991年1月の利用開始以来しばらくはドルの代替通貨として堅調な展開が続いてきましたが、欧州債務危機以降は加盟国が集まって作った統合通貨としての弱点があらわになっています。

そんなユーロですが、世界にただ一つの統合通貨というわけではありません。

中東のアラブ首長国連邦(UAE)の通貨UAEディルハムもある意味では統合通貨なのです。

UAEとは

UEAはスポーツ面でたまに日本のライバルとして登場することがありますが、その他の部分ななじみがある人は少ないでしょう。

7つの首長国(首長とは部族長的イメージ)が集まってできた国ですが、アブダビ首長を大統領と仰いでおり、国として成立しています。なお、その他の構成国はドバイ、シャルジャ、アジュマン、ウムアルカイワイン、ラスアルハイマ、フジャイラとなっています。

原油の埋蔵量が世界5位と豊富なので、石油化学産業が盛んなのですが、(アブダビに次ぐ力を持つ)ドバイが金融や観光などにも力を入れて経済成長を進めています。

アラブの春でも安定

UAEはアラブの春では近隣国ほどの困難には直面せず安定を保つことができました。その理由は、UAEの人口の85%が海外からの移民であり、景気や雇用情勢の良し悪しを見ながら移民調整が行われていることです。

サウジアラビアのように若年層が増え続けている国は若者に職を用意する必要がありますが、UEAは景気が悪くなったら移民の受付を止めればいいので労働力のコントロールが容易なのです。 

UAEの歴史

1971年にUAE独立

1968 年に第二次世界大戦を経て財政上の余力がなくなった英国が、スエズ以東での撤退を宣言したことで、UAE など今の中東諸国の独立が進むことになります。

アラブ首長国連邦(UAE)の歴史は、1971 年に当初は6 首長国体制で成立し、72 年に現在の7 首長国体制となったことで始まります。

1973年にUAEディルハム導入

現在のUEAを構成する地域では、1900 年代中頃より、インドルピーがこの地域では流通していました。

同じ英国の植民地で、イギリスとの経済的な結びつきでインドルピーが採用されたようです。

1959年にはインドは国外のみで流通する湾岸ルピーを導入したが、1966 年に英ポンドでの湾岸ルピーの価値を切り下げます。

それを切っ掛けにルピー離れが進み、ドバイはカタールと共同でカタール・ドバイ・リアルを導入することになります。

 

アブダビを除く、UAE の首長国では1973 年のUAE ディルハムの導入まで、カタール・ドバイ・リアルが流通していた。

このときUAE最強国のアブダビは、バーレーン・ディナールを採用しました。

 

1971年にUAEは成立しているわけですが、統合通貨であるUAEディルハムが誕生するのは1973年です。

アブダビ首長を大統領とする(一応は)一つの国なのに、この辺りまでは各首長国で採用通貨が別なわけですね。 

ドバイショック

無理な不動産投資でドバイショック

そのドバイですが、アブダビに追い越せ追い抜けで無理な投資を続けた結果、2009年のドバイショックで試練にさらされます。

パーム・アイランドなど海上不動産開発というのは、多額の費用がかかる割に回収可能性が不透明な投資です。

ドバイのパームアイランド

その会場不動産開発を積極的に進めたナキールなどを傘下に持つ政府系持株会社ドバイ・ワールドが資金繰り難に陥りました。

海外からの資金流入に頼っていたドバイにとって、前年のリーマンショックで金融市場が冷え込んだのが痛手でした。

ドバイ・ワールドの資金繰り難は、政府系持株会社ドバイ・ワールドに最も貸し込んでいて融資残高の多い英系金融機関の信用不安につながり、世界的に金融市場が動揺することになります。

アブダビの支援で解決

ドバイショックを収束するため、UAEの中心首長国であるアブダビが支援に乗り出します。

UAE 中銀やアブダビ国立銀行がドバイを金融支援し、アブダビ首長国もドバイ首長国を救済する方針を示したことでドバイ危機は終息した。

ドバイ首長国としては、追い越したいと願っていたアブダビ首長国に救済されるという皮肉な結果になりました。

統合通貨の脆弱性

UAEでは連邦予算制を採用しており、各首長国の財政は統合されています。連邦予算の8 割を産油国であるアブダビが拠出し、1 割をドバイ、残り1 割を連邦政府の税収でまかないます。アブダビ、ドバイ以外の5 首長国の財政負担はゼロなわけですね。

実質はほぼアブダビが全体の費用を賄うことで連邦国家が形成されている国なのです。

 

だから、ドバイの政府系金融機関が危機に陥ったとき、ドバイ首長国としては単独でそれを救済することができませんでした。

そのため、ドバイショックは世界に広がることになります。

 

すなわちドバイショックとは、1強他弱の連邦国家による弊害とも言えそうです。

 

日本の金融機関が危機に陥れば、日本政府はそれが金融危機に繋がらないように必死になるでしょう。

それはアメリカでも一緒です。

普通は1国の信用力の範囲内でしか借金はできないので、国が本気を出せば1金融機関の問題位なら解決可能なのです(スイスみたいにGDPと金融機関の大きさのバランスがおかしいと無理なこともある)。

 

しかしUAE国内のドバイ首長国で起きた問題は、アブダビ首長国が支援に乗り出すまで解決しませんでした。

これは、ドバイがUAE(ある意味アブダビ)の看板を使って、自分の力以上の借金をしてしまったことに原因があると言えます。

 

こうした統合通貨の信用力を使って財政を膨らませて借金を作ったEUのギリシャなど南欧諸国の問題に近いものがあります。

ギリシャもユーロ導入前は高金利で資金調達するしかなく、過度の(借金での)消費は不可能でした。それがユーロが導入されるとドイツの低金利にさや寄せする動きになり低金利での借金が可能になります。

域内最強国のドイツの信用力を一部借りて資金調達できるようになったわけです。

なんとなく、ドバイ問題と似ていますね。

やはり、国の信用力とそれがもたらす金利と通貨の強さのバランスって統合通貨だと崩れやすくなるものかも知れないですね。

 

UAE ディルハム / 日本 円【AEDJPY】:外国為替 - Yahoo!ファイナンス

貿易赤字は円安要因?円相場と貿易・所得収支

貿易収支と為替の関係

貿易収支とは

貿易収支は2国間の物品の売買に伴う収支を指す。

モノと取引であって、金融などの所得の取引は除外される。

日本は自動車など工業製品を海外に輸出し、原油などの資源を輸入している。この輸入に関するお金の支払いは、基本的にドルで行っている。サウジアラビアの通貨であるリヤルを使うわけではないのだ。

そうすると、日本が輸入を増やせば、海外にドルの支払いが増えるのがわかる。

FX的にいうなら、円売りドル買いによって調達したドルを、海外に支払うことになる。

そうすると、

輸入を増やす=円安要因

輸入を減らす=円高要因

であることはわかる。

 

反対に輸出を増やしたらどうなるだろう。

輸出を増やせばドルを獲得することが出来る。その獲得したドルを日本企業は、円に換える。すなわちドル売り円買いが起きるのだ。そしてこれは、円高要因である。

輸出を増やす=円高要因

輸入を減らす=円安要因

整理すれば上記のようになることがわかるだろう。

 

ここで関係を貿易赤字・黒字を絡めて再度整理する。

輸入を増やす=貿易赤字要因=円安要因

輸入を減らす=貿易黒字要因=円高要因

輸出を増やす=貿易黒字要因=円高要因

輸入を減らす=貿易赤字要因=円安要因

 

こうしてみると、貿易赤字が円安要因に結び付くことが分かり易い。

 

しかしこれは、長期的な話だ。

貿易収支は為替の長期トレンドを決める

2011年の東日本大震災以降、日本はしばらく貿易赤字の期間が続いた。

千五兆期にわたり続いてきた貿易黒字傾向が反転したのだ。

原因は、急激に火力発電依存度を高めたことによる化石燃料の輸入増加やリーマンショック以降の円高による生産拠点の海外異動の効果が大きいとされている。

 

普通に考えれば、貿易赤字は円安要因である。貿易赤字とは、輸入金額(海外への料金の支払い)が輸出金額(海外からの料金の受け取り)を上回ったいる状態であるため、トータルでは円が海外に流出することになるからだ。

 

日本は東日本大震災の発生翌月、2011 年4 月から貿易赤字に陥っている。

一方で現実の為替市場は円高になった。

 FX-bouekiakaji

これは、リスク回避的な市場環境が、国内から海外への資金移動を抑制したことと、安全資産としての円買いが円高を招いたとされている。

当時の日本は国際的なサプライチェーンの中核として、他の国では大体不可能な製品(部品)を作っているとみられ、世界経済への影響も一部ではささやかれていた。

 

 

このように、貿易統計と円相場を関連付けようとする分析は、短期的には意味をなさないことも多い。

 

一方で長期的は、貿易収支と為替相場は相関がある。国対国の本質的な資金移動を貿易収支が指し示している部分があるからだ。

 

教科書でならうような話だが、ドル円相場は第2次大戦後1ドル360円の固定相場制だった。それが、1971年のスミソニアン協定より1ドル308円と円高方向への(固定相場制の中で)調整が図られ、1973年には変動相場制へと移行した。

以降、大きなトレンドとしては一貫して円高傾向にあるが、その主たる要因となっていたのは、日本の莫大な貿易黒字であり、米国の貿易赤字である。

 

投機のポジションは一定期間後には決済が必要になる。買った通貨は売らなければならないし、売った通貨は買い戻す必要がある。すなわち、一定期間で見れば為替市場に与える影響はニュートラルに近い。

 

一方で、貿易収支による売買は一方的だ。

日米間で日本の貿易黒字が続けば、資金は日本に流れ込み続ける。長期の方向性を規定するのは、貿易(所得)収支と言って良いだろう。

 

月次の貿易収支は、為替相場を見る上で重要か

ただし、月次で発表される貿易収支を見る際には注意が必要だ。

輸出業者は一般的に数カ月先まで為替ヘッジを行っている。

為替相場が動くと彼らは、外貨の受渡日を調整(リーズ・アンド・ラグズ)を行う。これは詳細に説明すると長くなるが、すでに保有しているポジションの(ヘッジ)量や期間を調整する行為に近いイメージだ。この行為の相場与える影響は大きいと言われている。

 

輸出業者(輸入業者と読み替えても同様)は、すでにドルを得てしまったから円に替える(ドル売り円買い)を行うという部分より、すでにドルを売っておりそれを相場の変動にあわせてポジション量などを調整している部分が大きいのだ。

だから、月次統計としての貿易収支と為替の売買フローは、短期的には必ずしも一致しない。

 

経常収支と円相場

貿易収支と為替市場の関係は述べた。

次は、経常収支と為替市場(円相場)の関係を見てみたい。

 

経常収支とは、上で述べた貿易収支に、「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」を合算して算出される。

なかでも金融マネーに関わる動きは、貿易収支より圧倒的に大きく、かつ機動的に動く。短期的に為替マーケットに大きな動きを与えるのは、貿易収支よりも(金融マネーフローを中心とした)所得収支に絡んだ動きと言えるだろう。

 

所得収支はその国に対する資金の流出入の総計に近く、為替市場の長期見通しに大きな影響を与える。

日本国債が、過剰債務によって暴落すると大昔から言われていても、一向に暴落しないのは、経常収支が黒字であることが原因である可能性が高い。

経常収支が黒字の国は、国内に資金が貯まっていく構造になるため、その国の機関投資家は増加する運用資金で国債を買うという投資行動を取りやすい。(最近は違うが)実際に日本も、海外勢が売ろうとする国債を、国内機関投資家が倍返しで買い続けることで、金利の低下が続いてきた(国債価格は上昇)。

所得収支黒字は続くが・・・

日本は人口が減少中、高すぎた円相場のせいもあり、日本企業の海外進出が続いている。それは製造業にとどまらず、金融や通信サービスなどさまざまな企業が対外直接投資を増やしている。

 

 これは、貿易収支が悪化する要因であった。

 

一方で経常収支は、海外進出企業の利益がもたらす所得収支の黒字という形で、直ちには減少しない。

貿易収支の悪化を所得収支の改善が補う形だ(いずれも経常収支の構成要素)。

 

さらに、豊富な資産を持つ日本企業や日本人が保有する外国証券からの利息・配当収入も所得収支の黒字に貢献している。

 

日本全体が働いて稼ぐ社会から貯めた資産で生活する社会に変容しているのだろう。まさに高齢化社会というやつだ。

 

所得収支の増加により、経常収支はしばらく黒字傾向を維持するだろう。

(これについては様々な意見があると思うが)ただし、長期的には経常収支の基礎を構成する貿易収支が赤字傾向である以上、いずれは所得収支も赤字基調に転落する可能性が高いと思われる。

歴史的に、一国レベルでは、資産が生み出す収益で豊かな生活ができるのは、限られた期間にとどまっている例がほとんどである。

 

為替市場の影響についてのまとめ

・貿易収支は一方方向の資金フローだから(金額は小さくても)為替市場に影響力を持っているよ。

・ただし、月次の貿易収支は、実際の為替フローとは一致しないよ(実際の実需の為替売買はヘッジ量の調整などの影響が大きいため、物の動きと一致しない)。

・経常収支はその国の資金の流出入の総計に近いから為替市場の長期展望を考える上では重要だよ。そして、今のところ日本は経常黒字基調だよ。

・でも、いずれは経常赤字になっちゃうかも知れないよ。

・(本文には書いてないけど)そのときは、本当の意味で日本の借金の多さを実感させられる展開になっちゃうかも知れないよ。

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