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日銀の金融政策変更の歴史と為替市場の動向

日銀の金融政策変更の歴史を振り返る

円相場に大きな影響を与えてきた日本銀行の金融政策。金融政策の歴史ってブレトンウッズ体制とか大昔の出来事についてはよくまとまっているけど、最近の出来事ってあまり整理されていないと思うので、ここ20年くらいの歴史をまとめます。

その時の、円相場の水準および日経平均株価の動向とともに金融政策変更の歴史をまとめます。為替の大きな流れがわかるようにしたいと思います。

なお、日銀が大きな金融政策の変更を行ったら随時追加します。

 

清水総裁時代:量的緩和、ゼロ金利政策の導入期(1998年3月~2003年3月)

速水日銀総裁の時代

速水日銀総裁はITバブルの発生と崩壊を経験した総裁です。為替市場はドル円140円超、日経平均株価も20,000円超を経験しながらもその後は地獄を味わいます。

ただし、ITバブル崩壊後は相当な金融市場の混乱を経験します。リーマンショック時ほど急激ではないものの、株価の値下がりの値幅を見るとリーマン級の下落幅になっていますね。面白いのは、為替市場の調整はあまり見られなかったこと。

速水日銀総裁は日本だけでなく現在世界中で行われている量的緩和という非伝統的な金融政策の基礎を作った人だと思います。この政策は、リーマンショックから始まる金融危機に各国の中央銀行が対抗する手段になりました。

アメリカのQEが有名ですね。

速水日銀総裁時代のドル円と日経平均

 

速水日銀総裁の金融政策

1998年3月 速水日銀総裁に就任 。

1998年9月 無担保コール・オーバーナイト物金利の誘導目標を0.25%に引き下げた。この辺でゼロ金利の足音が聞こえる。

1999年2月 ついにゼロ金利政策を導入し、オーバーナイト物金利を一段と低めに誘導。

2000年8月 オーバーナイト物金利の誘導目標を0.25%に引き上げ(ゼロ金利政策の解除)

2001年2月 オーバーナイト物金利の誘導目標を0.15%に引き下げ。ゼロ金利解除が間違えだっと認めるような決断。

2001年3月 金融政策の操作目標を金利から日銀当座預金残高に変更し、目標を5兆円。(量的緩和政策の導入及び実質ゼロ金利政策への復帰)。ここから始まるゼロ金利と量的緩和の歴史。

2001年8月 当座預金目標を6兆円に。長期国債買入(買切 オペ)額を月2000億円増額し6000億円。

2001年9月 当座預金目標を6兆円超に。公定歩合を0.10%に引き下げ。

2001年12月 当座預金目標を10‐15兆円に引き上げ。国債買入額を月8000億円にした。

2002年2月 国債買入額を月8000億円から1兆 円に増額。

2002年9月 銀行保有株買い取りを決定。10月に発表した基 本要領で、総額2兆円の上限と買入を行う期間 を2003年9月までと規定。

2002年10月 当座預金目標を15‐20兆円に引き上げ、買い切りオペである国債買入額を月1兆2000億円とした。

福井総裁時代:量的緩和の解除、金利の引き上げを行う(2003年3月~2008年3月)

福井日銀総裁の時代

福井総裁の時代は、景気(金融市場)的に大変良い時代でした。ITバブル崩壊からの回復局面にあり、リーマンショック前の好景気に繋がる局面を総裁として経験しています。2006年3月9日には、量的緩和政策を脱却しました。日銀プロパーの福井総裁としては5年超続いた量的緩和という非伝統的金融政策から脱却できたことはうれしかったでしょうね(日銀では政治の圧力を跳ね返したって意味で、引き締め政策を採ることを勝利と捉える、といわれている)。

任期後半では、サブプライムローン問題や大型ヘッジファンドの閉鎖など、その後のリーマンショックの発端となるような事象が起きており、金融危機の入り口に立っていたことになります。

福井日銀総裁時代のドル円と日経平均

福井日銀総裁の金融政策

2003年3月 福井日銀総裁に就任。

2003年9月 銀行保有株買入れ期間を2004年9月まで延長 同年4月–翌1月 段階的に当座預金目標を30兆-35兆円まで引き上げ

2006年3月 量的緩和政策を解除。金融市場調節の操作目標 を日本銀行当座預金残高から無担保コール・ オーバーナイト物金利に変更。このころは金融市場に限れば、景況感はかなり良かったので、量的緩和解除も納得できるところ。

2006年7月 ゼロ金利政策解除。無担保コール・オーバーナ イト物金利の誘導目標を0.25%に引き上げ。過去ではなく、将来の物価見通しから金融政策を決める(「ビハインド・ザ・カーブ」型だから「フォワード・ルッキング」型にシフト)「新たな金融政策運営の枠組み」を導入。

 

白川総裁時代:リーマンショックに遭遇し立て直しに奔走(2008年4月~2013年3月)

白川日銀総裁の時代

白川日銀総裁は、ねじれ国会を利用した民主党の日銀総裁承認拒否戦略の結果として誕生した総裁でした。その後に誕生する民主党政権時代を通じて日銀総裁を務め、安倍政権誕生とともに勇退しました。

任期中にリーマンショック、東日本大震災が発生する不幸な総裁でした。また、就任時から過度に緩和的な政策を取る弊害を強調するなど、引き締めバイアスが強い印象があります。

世界各国が金融緩和競争に出る中で、日銀の政策は出遅れることになり、日本は強烈な円高に直面することになりました。

潜在成長率を引き上げてこそ経済問題は解決するってスタンスをもっており、迷走する政治の代わりに日銀が成長資金融資などを通じて日本の潜在成長率を引き上げようと努めました。

下に掲載しますが、大きな金融危機と大災害に対応するため頻繁に政策を発表しますが、政策を小出しにする印象を金融市場に与えており、効果は限定的でした。

本格的に為替市場のトレンドが反転するのは、総選挙で民主党が大敗して、安倍政権への期待が盛り上がる任期最終盤でした。

白川日銀総裁時代のドル円と日経平均

白川日銀総裁の金融政策

2008年4月 白川日銀総裁に就任

2008年10月 リーマンショックの発生を受け、無担保コール・オーバーナイト物金利の誘導目標を0.30%に引き下げた。銀行が日本銀行に預ける当座預金のうち、所要準備額を超える金額について利息を付す補完当座預金制度を臨時に導入した。利率は 0.1%。

2008年12月 リーマンショック後金融危機がもたらした2番底で、追加の利下げが必要な状況となり、無担保コール・オーバーナイト物金利の誘導目 標を0.1%に引き下げ、国債買入(買切オペ)額 を月1兆4000億円に増額、買入対象国債に30年債、変動利付国債および物価連動国債を追加。 また残存期間別の買入れ方式を導入。企業金融 支援特別オペの実施を発表。

2009年3月 国債の買入れ額を月1兆8000 億円ペースに増額。また買入残高上限1兆円の 社債買入れを2009年9月30日まで実施することとした。

2009年7月 社債買い入れ、CP等の買い入れ、企業金融支援特別オペの期限を同年12月31日まで延長。

2009年12月1日に開かれた臨時政策委員会・金融政策決定会合にて、10兆円程度の固定金利(無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標水準)、 期間3ヶ月、国債、社債、CP、証貸債権など全 ての日銀適格担保を担保とする資金供給手段 の導入を発表。

2009年12月18日の定例会合後「『中長期的な物価安定の理解』の明確化」を発表。

2010年3月 固定金利方式・共通担保資金供給オペレーショ ンの規模を10兆円から約20兆円に増額。

2010年4月 議長、成長基盤強化の観点から、民間金融機関 による取り組みを資金供給面から支援する方 法について検討を行い、改めて報告するよう、執行部に指示した。実質上の導入指示で総裁の強い思いを感じるところ。

2010年5月 成長基盤強化を支援するための資金供給の骨子策案を発表。貸付時の無担保コールレート・ オーバーナイト物の誘導目標水準での、共通担保を担保とする貸付としての資金供給(原則1 年)。

2010年6月 成長基盤強化支援のための資金供給策の融資・投資対象分野を発表。貸付総額の上限は3 兆円(一回当たり1兆円を限度とする)、対象金融機関毎の貸付限度額は1,500億円とし、貸付 受付期限を2012年3月末までとする方針を発表。

2010年10月 ①政策金利の0%~0.1%への引き下げ、②「中期的な物価安定の理解」に基づく時間軸の明確 化、③資産買入等の基金の創設の3つの措置からなる、「包括的な金融緩和政策」の実施を発表。資産買入等の基金は総額35兆円、資産買入 は5兆円に。 

 

2011年3月 東北地方太平洋沖地震による悪影響を考慮して、資産買入等の基金を5兆円増額し、40兆円程度とした。
2011年4月 被災地の金融機関を対象に、長めの資金供給オペを実施することを決定。

2011年6月 成長基盤強化を支援する資金供給の一環とし て、対象先金融機関が出資やABL(動産・債権 担保融資)等の残高の範囲内で借入れを行なうことが出来る枠を新たに設定。貸付限度額は 500億円(従来の1500億円とは別に設定)。貸付期間は原則2年(最長4年)。金利は0.1%。FRB との米ドルスワップ取極を2012年8月1日まで 延長すると発表。
2011年11月主要6中銀(米国FRB、カナダBoC、英国BoE、日本BoJ、欧州ECB、スイスSNB)、 国際短期金融市場の緊張への協調対応策を発表。米ドルスワップに適用される金利を 50bp引き下げ、新しい金利をUSD OIS+50bpとした。

2012年2月 中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な 物価上昇率として「中長期的な物価安定の目途」 を導入。当面は消費者物価の前年比上昇率1% を目指すこととした。資産買入等の基金を55 兆円程度から65兆円程度に増額することを決 定。 同年3月 成長基盤強化を支援するための資金供給を拡充することを決定。(円貨・外貨建て)貸付総 額は3.5兆円から5.5兆円に増額。

2012年10月 資産買入等の基金を80兆円程度から91兆円程度に増額することを決定。長期国債、短期国債 各5兆円に加えて、そのほかの資産の買い入れ額も増加。「貸出増加を支援するための資金供 給の枠組み」を創設。金融機関の貸出増加額について、低利・長期で 資金供給することを決定。資金供給は無制限。 政府と共同で、「デフレ脱却に向けた取組について」と題する文書を公表。 

2012年10月 財務省及び日本銀行、韓国企画財政部及びBoK との協議の上、日韓通貨スワップの時限的な増 額部分を2012年10月31日に予定通り終了することを決定。

2012年12月 資産買入等の基金を91兆円程度から101兆円程 度に10兆円増額。短期国債、長期国債をぞれぞれ5兆円増額。次回金融政策決定会合において、 金融政策運営にあたり目指す中長期的な物価 の安定について検討を行うことを決定。

2013年1月 ①「物価安定の目標」を導入することと、②資産買入等の基金について「期間を定めない資産 買入れ方式」を導入することを決定。物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率2%とし、2014年初から、期限を定めず毎月一定額の金融 資産を買い入れる(当分の間、毎月、長期国債 2兆円程度を含む13兆円程度の金融資産の買入れ)方式を導入。

黒田総裁時代 積極的な金融政策で為替市場は反転(2013年3月~)

黒田総裁は就任前の日銀の政策が歯がゆくて仕方なかったのでしょうね。

財務官として為替市場にかかわってきた経験も活かして、金融政策は市場の裏をかくのような果断なものが増えます。異次元緩和や量的・質的緩和など分かり易いキャッチコピーで

成長志向が強い政権との相性も良く、日経平均は20,000円を突破、為替市場もドル円が120円を大きく上回るの水準まで円安が進みました。

ただ、直近では世界的な景気悪化の影響もあり、一本調子の上昇とはいかなくなりました。ここからが正念場でしょうね。

黒田日銀総裁時代のドル円と日経平均

黒田東彦日銀総裁の金融政策

2013年3月 日銀総裁に就任

2013年4月 「量的・質的金融緩和」の導入(QQE1)を決定。マネタ リーベースを金融市場調節の操作目標とし、年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行うことを決定。また、長期国債買入れの拡大と年限長期化(保存残高が 年間約50兆円に相当するペースで増加し、平均 残存期間を7年程度になるよう買入れを行う)、 ETF、J-REITの買入れの拡大(それぞれ年間約 1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加。 CP等、社債等についてはそれぞれ2.2兆円、3.2 兆円の残高まで買入れたあと、その残高を維持) を行うことも決定。
「量的・質的金融緩和」を2%の物価安定目標実現に必要な時点まで継続することを決定

「量的・質的金融緩和」の導入 に伴い、

・資産買入等の基金の廃止

・銀行券ルールの一時適用停止

・市場参加者との対話の強化を実施する

ことを決定。被災地金融機関 を支援するための資金供給オペの貸付受付期 間を2014年4月30日まで延長。

2014年2月 「貸出増加を支援するための資金供給」と「成 長基盤強化を支援するための資金供給」について規模を2倍としたうえで、1年間延長することを決定。

2014年10月 「量的・質的金融緩和」の拡大(QQE2)を決定。 マネタリーベースが年間約80兆円(約10~20 兆円追加)に相当するペースで増加するよう金 融市場調節を行うとした。

また、長期国債買入れ拡大+年限長期化と、ETF、J-REITの買入れ拡大(それぞれ年間約3兆円(3倍増)、年間約900億円(3 倍増)に相当するペースで増加)を併せて発表した。

2015年4月 「展望レポート」で、2%の「物価安定目標」 の目標達成時期見通しを従来の「2015年度を中 心とする期間」から「2016年度前半頃」に先送 りした。

2015年6月金融政策決定会合において、金融政策に関するコミュニケーション方法の変更を発表。

2016年1月から 金融政策決定会合を年8回開催すること、「展望レポート」を年4回公表することなどを決定した。

2016年1月29日の決定会合ではマイナス金利の導入を発表した。-0.1%の金利適用で日本もいよいよマイナス金利の世界に入った。しかし為替市場は発表直後こそ円安に振れたが、米国の景気回復に疑念が持たれ始めていたこともあり徐々に円高傾向となる。

 

2016年7月の金融政策決定会合では、ETFの買い入れ額増額を発表。6兆円の買い入れ額を確保し、従来の3.3兆円の買い入れ額から倍増へのこだわりを見せた。

ただし、為替市場はマイナス金利の深堀を予想していたこともあり、為替市場は円高で反応。

 

2016年9月の日銀は10年国債の金利をゼロ近傍にする新たな長期金利コントロールを導入。これは国債の長期から短期までの金利構造を管理することを目的としており、イールドカーブコントロールとも見られる。

量ベースの金融緩和に限界が見えてきているとの見方が強まるきっかけになり、為替市場は円高に繋がった。 

 

関連記事

ビッグマック指数とは。為替レートの決定理論の一つです。

ビッグマック指数についてまとめ

ビックマック指数とは何か、についてご説明します。

為替レートというのは各国の通貨の比率ですので、各国の経済的な力関係から適切な比率(為替レート)を見出そうという考え方があります。

「ビッグマック指数」そうした経済力をベースにした為替レートの決定理論の一つになります。

ビックマック指数についてまとめます。

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ビッグマック指数とは

ビッグマック指数とは、ビッグマックの値段で各国の物価水準を推し量ろうとするものです。ビッグマックは世界各国で(基本的に)同じものなので、比較対象とするのに最適ってわけですね。

同じもの(ビッグマック)が、違う値段である→物価水準が違う

ってイメージです。

 

本来同じもの(ビックマック)の値段は同じであるはずですが(一物一価の法則)、同じ値段でないならそれは為替レートがおかしい(為替レートを通じて調整すべき)って考え方ですね。

 

この指数は英国のエコノミスト(職業ではなくて経済紙の名前)誌が1986年に考案しました。 

なぜビッグマックが指数として使われるのか

なんでビッグマックが指数として使われるかと言えば、その国の商品の調達力がビックマックに端的に反映していると考えられているからです。

牛肉、小麦といった西洋社会では主要な食料を使っており、その値段は食料全体を代表するとみられます。

また、店舗で提供している商品なので、家賃などの不動産関連コストやバイト代などの人件費、配送のための物流費など幅広くその国の実力を反映しているとみられています。

 

だからビッグマックが選ばれているのですね。

 

ビッグマック指数の実例

以下、一覧表(ビッグマック指数は本来はドル建てですが、円ベースに直しております・1ドル105円前提)

ビックマック指数

 

やはり欧州それもユーロゾーン以外の国が高いですね。スイススウェーデンノルウェーの通貨がユーロ安のあおりで以下に高騰しているかが分かります。

イギリスについては、計算方式的に直近のポンド安が織り込み切れていないので実際はもっと低いです。

ユーロ圏の先進国の中で、フランスが最も高いのはフランスの労働者が政府の政策などで優遇されている可能性が高い(だから競争力がない)、などいろいろ読み取れちゃうものもあるかも知れないですね。

 

 

対日本で見ると

日本基準のビックマック指数

このようになります。

 

日本は物価があまり高くないですよね。

 

この表をみて、「日本はもはや豊かでない」っていう主張を見かけることがありますが、その解釈はちょっと違うんじゃないかなって思います。

日本とタイ、ハンガリー、チェコがほぼ同じ水準になっている段階で、感覚的にもこれで豊かさを示すのは無理があるのですが・・・

 

「一人当たりGDP」を見て豊かさの議論をするならまだしも、「ビッグマック指数」は物価の指数なので豊かさを議論するには適さないのですよね

物価の高い国は豊かな国である可能性は高いですが、イコールではありません。

 

ロジカルには、日本の生産性が高いことで、同じ商品を安く提供できているって解釈すべきです。

日本みたいに整理された物流網が、日本よりビックマック指数が上位の国にあったらって考えると結果は同じとは思えないですよね。

物価の高い国は人件費の高さを通じてビックマック指数が高くなりがちですが、それは物流などの生産性の違いによって覆ることも多いのです。アルバイトが優秀な国なら、一人当たりの人件費は高くても、少ない人数で店舗を運営できるので、トータルの人件費はむしろ安くなるってこともあり得ます。

そうした、もろもろの要素を複合したのがビッグマック指数なわけですね。

 

購買力平価説とは

ビッグマック指数とは購買力平価説に基づく考え方です。購買力平価説とは為替レートの決定理論の一つです。

(絶対的)購買力平価説とは、為替レートは2国間の通貨の購買力によって決定されるという説です(上昇率にフォーカスする相対的購買力平価説もあるが省く)。

 

簡略化して説明すれば、

同じものは同じ値段のはず。もしそれが、同じ値段でないならば、それは為替レートの調整によって同じ値段になるべきであるって理論です。

上で説明したビックマック指数の説明そのままですね。

ビックマック指数はビックマック1つをもって簡易的に購買力平価を計算しているということが出来そうです。

 

これを意識しながら上の表を見ると、クローナクローネの北欧通貨、スイスフランなどは過大評価されてるって言えそうですね。

まあ、これらの通貨はユーロの代替としての需要が強い、などの背景があるのですが。

あと、ドル高を反映して米国のビックマック指数も高くなっています。

※ ビッグマック指数も半分お遊びのような指標(ビッグマックの大きさは国によって違う、消費税を調整する必要があるなど)ですし、購買力平価説自体も説明力は限定的なので、参考程度にご利用ください。

 

債券ニュースの読み方はFXにも役立つ。金利構造の違いで上昇する通貨はわかるよ

FXに影響を与える債券ニュースの読み方

債券のニュースって理解しにくいと思いませんか?

私は社会人になったばっかりの頃、そう思ってました。

株式のシンプルさに比べて、債券って特殊な用語が多くて難しいな~って。

でも当然のことですが、金融市場って全て繋がっていて、各国の金利は為替に影響を与えるし、為替は株式に影響を与えます。

特に債券の金利と為替(FX)の関係はとても深くて、債券ニュースを知ることは為替ニュースを理解することにもつながります。

 

なので、自分のメインでやってる市場(例えば為替、株式)以外の知識も一定は必要かなぁ~って思ってますので、債券ニュースの読み方解説(基礎用語と基本的な考え方のみ)をやってみます。

 

下のニュースを題材にします。

米国債(20日):利回り曲線フラット化、縮小見送り観測外れ - Bloomberg

 

いきなりタイトルからわかりづらいのですが、

利回り曲線(イールドカーブ)とは

債券は償還期間(元本が戻ってくるまでの期間)がさまざまに分かれていまして、それぞれに異なる金利水準となります。一般的に短期金利は低く、長期金利は高くなります。

イメージこんな感じです。

f:id:ikahonokaho:20160726233546p:plain

(図の出来が悪いですが)伝えたいイメージは、この棒グラフの頂点を結んだ曲線?が利回り曲線ってことです。イールドカーブって呼ぶことが多いです。この曲線の形状は、その時のマーケットが織り込んでいる事象しだいで様々です。ただ、特殊なケースを除いて右肩上がりになっているってことは大きな特徴です。

 

フラット化とは

利回り曲線は右肩上がりなのですが、フラット化とはこの曲線の勾配がなだらかになることです。

フラット化するパターンとしては、以下のパターンがあると思いますが、それぞれ名前がついてます。

長期金利が(短期金利以上に)低下する → ブルフラット

短期金利が(長期金利以上に)上昇する → ベアフラット

短期金利が上昇し、長期金利が低下する → ツイストフラット(図の矢印方向にねじれて移動)

 

スティープ化とは

反対にスティープとはなんでしょうか? 

フラット化の反対で、上の図の金利の構造が急こう配になることです。イールドカーブの傾きが急になるのでスティープ(急こう配)化ってことですね。

具体的には、長期金利が短期金利以上の上昇すれば、傾きは急になるのでスティープ化ってことになります。

より詳しく分類すると以下のようになります。

長期金利が(短期金利以上に)上昇する → ブルスティープ

短期金利が(長期金利以上に)上昇する → ベアスティープ

 

 

これを実際のニュースに当てはめて読んでみる

上記の内容を頭に入れて記事の中身、について読んでみます。

米国債市場では5年債と30年債の利回り差 が3日連続で縮小。連邦公開市場委員会(FOMC)が緩和縮小を来年まで見送るとの予想が外れ、この見通しに基づいた持ち高の解消が続いた。

5年債と30年債の利回り差 が3日連続で縮小

フラットニングですね。

金融緩和は総じて金利を押さえ込む方向に作用しますが、その効果は短期と長期で異なります。

短期金利は金融政策の影響を直接受けるため、金融緩和による金利上昇抑制が効き易いのですが、長期金利については将来のインフレ率の上昇などを織り込むため相対的に金利上昇を押さえ込みにくい、という性質があります。

当時のFOMCは、金利市場の予想外のタイミングで金融緩和縮小(テーパリング)開始を決定しました。

これはマーケットに織り込みきれていなかった事象であるため、マーケットはそれを織り込みにいきます。

織り込みかたとしては、金融緩和が強く作用している短期金利(年限の短い債券、ニュースでは5年債)を長期金利に比べて(短期債券を売ることで)上昇させることになります。

 

「短期金利が長期金利より上昇した」ってことなのでフラットニングということになります。より詳しく言うなら長期金利も上昇し金利全般が上昇する中でフラットニングが起きたので、ブルフラットということになります。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、アイラ・ジャージー氏は「長期国債の利回り上昇を見込んだ持ち高の反転で、長期債はかなり上昇している。利回り曲線のスティープ化を見越した参加者が逆を付かれ、リスクを抱えたまま休日を過ごしたくなかった」と述べた。

 記事の流れに沿って書いていたので、最後に超基本的な内容が来てしまいました。

長期債が上昇=長期金利が低下

債券価格と金利は逆の関係になります。

 

この辺が分かれば上記のニュースは理解しやすくなるのではないかな~、と思います。

 

フラット化している国とスティープ化している国、どっちの為替が強い

最後に金利がフラット化している国とスティープ化している国は、どちらの通貨がFX市場で強いでしょうか?

通貨が強くなるのは、スティープニングしている国になります。

なぜかと言えば、スティープニング化している国は、短期金利が金融緩和などの影響で低く抑えられていて、将来のインフレ圧力上昇を見込んで長期金利が高止まりしているからです。

金融市場が、将来の金利引き上げを見込んでいるわけですね。

金利引き上げは、為替の上昇要因なのでスティープニング化している国の通貨は強くなりやすいのです。

日本の経済指標10種類まとめ【FX初心者用】

日本の経済指標の重要性が高まっている

日本の経済指標は、FX市場や株式市場で長らく無視されてきました。

だから以前以下のような記事を作りました。

日本の経済指標とかみても仕方ない時代が長かったので・・・

それがなぜかと考えたと、日本の金融政策の行き詰まり感がまず思いつきます。

日本はいち早くゼロ金利の世界に入り、さらに量的緩和政策に踏み出しました。そのため、多少日本の景気が良くなっても、日本がゼロ金利から抜け出す姿はイメージできませんでした。

為替市場は2国間の金利差が決定的な影響を与えるわけですが、日本の経済指標が多少良くなっても日本がゼロ金利から抜け出さないとするなら、日本の経済指標は無視してよい存在になります。

 

しかし、これはゼロ金利が金利の下限と考えられていた世界でのこと。

マイナス金利が受け入れられた世界なら、景気が悪くなればさらにマイナス金利が深くなる(より大きなマイナス金利となる)ことが考えられます。

反対に景気が良くなれば、金利が引き上げられることもあるでしょう。

 

いずれにせよ、日本は再び経済指標によって金利が変化する環境になっています。

これを機に、日本のメジャーな経済指標とその見方について見てみましょう。

経済指標の分類

経済指標には景気の動向を敏感に反映する先行指標や、景気の動向に遅れて反応する遅行指標など、景気に対する敏感さで分類されます。

金融市場では先行きが重視されるため、先行性がある指標は当然重要視されます。

先行指標が良くなれば、遅れて遅行指標もよくなってくるので先行指標さえ見ておけば十分とも考えられます。

しかし、ことはそう簡単ではなく、FX市場で最も注目度の高い米国の雇用統計は代表的な遅行指標です。それでも最も重視されているのは、それが米国の金融政策に直接影響しているからでしょう。

経済指標の重要度は、先行性の高さだけでなく、中央銀行の政策などにどの程度影響があるかという、影響力という面も重要なのです。

 

この記事では、日本の経済指標を

  • 先行性のある指標
  • 重要な指標
  • その他の指標

 の3つに分類して整理します。

 

先行性のある指標

日銀短観

日銀短観の特徴はサンプル数が多く、広範囲な企業を調査対象としてないがら、速報性も高いことです。

信頼性も高く、かつ速報性が高いということで、最重要の経済指標と言ってよいと思います。

日銀短観のなかの企業の想定為替レートは、実需筋のヘッジレートに影響するとも言われしばしば話題に上がります。

 

日銀短観の調査対象は、総務省の「事業所・企業統計調査」ベースとした、全国の資本金2千万円以上の民間企業です。その数は21万社あるのですがそのうち、約1.1万社を調査しています。

 

注目ポイントとしては以下のようなものが代表的です。

  • 業況DI。DI(%ポイント)は「第1選択肢=良いの回答社数構成比(%)」-「第3選択肢=悪いの回答社数構成比(%)」として計算。
  • 設備投資額の年度計画。但し年度計画は、調査時期によって季節性が出る(年度初は弱気、年央にかけて強気)ため、その季節性まで考慮必要。
  • 販売価格DI。これは物価の先行指標として参考にされる。
  • 雇用人員判断DI。これは失業率に対する先行指標として参考になる。併せて、新卒採用者数(6月、12月調査のみ)も参考。
  • 事業計画の前提となっている想定為替レートも発表され、これが現在の為替レートとどれくらいずれているか、また今後為替がどちらに推移するかで、利益のアップサイド、ダウンサイドリスクを判断されるためFX市場だけでなく、株式市場でも注目されます。

 

 

景気ウォッチャー

タクシー運転手などにヒアリングして作っていることで有名なセンチメント調査です。

タクシー運転手だけでなく、景気に関連の深い産業の人々から幅広くヒアリングしています。

  • 消費者センチメントは、スーパー店長、スナック経営者、タクシー運転手、競輪・競馬・競艇場職員などに聞いています(家計調査DI)。
  • 企業センチメントは、製造業、非製造業の従業員にヒアリング(企業動向DI)。
  • 雇用センチメントは、人材派遣会社社員、求人情報誌製作会社編集者、新聞社の求人広告担当者などにヒアリングして作成(雇用関連DI)。

<景気ウォッチャー調査の見方>

景気ウォッチャー調査は消費に対する先行性が高いと言われています。

マニアックな人は各調査対象者が書く業種別の「判断理由」まで見ています。

「冷夏ため家電が売れない」「中国景気が悪化しており設備投資関連製品が不調」など具体的な記述が多く、投資の参考にしている人も多いです。

 

 

貿易統計

貿易というのは、日本の GDPのうち約15%を占めている主要な経済活動です。

それを反映しているのが貿易統計。
日銀短観やGDPなどが四半期ごとの発表であるのに対して、毎月発表されるので重宝がられています。

<貿易統計の見方>
・輸出金額は輸出数量×輸出価格として計算されるが、実質GDPの計算のためには数量のトレンドの方が重要です。それは実質GDPは価格変化を除いたものとして計算されるというテクニカルな要因もあるのですが、日本の生産拠点がどの程度の稼働率を保っているかってことが注目されるためです。

・輸出金額の変化が、数量によるものか、価格によるものかを見てみましょう。
・そして数量変化が、どの地域の経済(アメリカなのか中国なのかEUなのか)が影響しているのかも見てみてもよいでしょう。

 

 

消費者物価指数(CPI)

消費者物価指数いわゆるCPIです。インフレ、物価をみる指標ですね。

「消費者物価指数」は消費者に関わりのあるモノ・サービスの物価を総合的に表したものです。企業物価や貿易の物価などは別の経済指標になります。


この統計の特徴は消費税が値上げとして反映されることです。

消費者が実際に支払う価格に消費税が含まれるので、CPIの上昇要因になるわけですね。

また、原油価格の上昇など国際的なコモディティ相場の影響を強く受ける指標でもあります。

しかし、短期で価格が数十パーセントも動くよう原油(ガソリン)のようなものが統計に含まれることで、物価の基調を判断するのが難しくなっている側面があります。

そのため「総合CPI」(いわいるCPI、すべて含んだもの)から、天気に左右されやすい「生鮮食品」を除いた「コア指数」が作成されています。

またアメリカで作成されているものと同様のものとして「酒類を除く食料及びエネルギー」を除いた「コアコア指数」が作成されている。

CPI


東京都区部だけ当月に発表されるので速報性は高いです。全国のCPIは一ヵ月遅れになります。

東京の結果を見て、一ヵ月後に発表される全国の結果はなんとなくわかるので、東京のCPIが重要ですね。

消費者物価が重視されるのは、日本銀行が注視しているため重要の経済指標です。

世界中の中央銀行は物価の安定を目標にしているので、CPIが重要なのは世界共通でもあります。

 

 

企業物価指数

上記の経済指標と比べると若干重要性が下がるのであっさりと。

企業物価指数は企業側から見た物価を判断する指標です。企業間で取引される財の生産者出荷段階での物価の変化を計測しています。

物価の上昇はまず企業サイドで起こって、それから消費者サイド(CPI)に波及するって面があるので重要と言えば重要なのですが、資源価格などの変動を受けやすいのが弱点で、統計としてそこまで信頼されていません。

 

重要な経済指標 

GDP統計(国内総生産)

GDPは最も有名な経済指標ではないでしょうか。

日銀短観は知らなくてもGDPを知っているという人は多いかと思います。

教科書的には「 GDP=消費+住宅投資+設備投資+在庫+政府支+輸出-輸入」ですね。


経済活動の全体像を計測する必要があるため、重要な経済指標ですが発表は遅いです(約1.5か月後)。

 

発表は2月、5月、8月、11月ですね。

 

機械受注統計

機械受注統計がなぜ重要かと言えば、設備投資の先行指標になるからです。

なんでかというと、ここでいう機械とは設備用機械類を指すからなんですね。

設備用の機械の受注状況が分かれば設備投資の先行きもわかるってことです。


特徴的なのは、基本的に「受注」した段階で書き込む統計であるため、すこし振れ幅が大きくなること。金額が大きくても受注額は契約のあった月にそのまま計上されるので、どうしても振れ幅が大きくなります。大型機械などは、生産が数ヵ月かかることもあるわけですが、受注された月にその金額が計上されたら振れ幅が大きくなるのは当たり前ですね。

 

振れ幅の大きさを緩和する手段として、3か月移動平均の値を見たりします。

なお、3ヵ月ごとに来期の見通しも発表されます。

 

鉱工業生産

鉱工業生産も重要指標として有名ですね。日本企業の国内の生産、出荷、在庫に関わる活動を集計しています。

設備投資の稼働率のほか、生産の先行き2ヵ月の予測も毎月発表されています。

設備投資の稼働率がなぜ重要かと言えば、設備がフルで稼働している状況に置かれたとしたら、企業は設備投資を行うことが想像されます。

だから設備投資の先行指標になるって考え方なんですね。


今後2ヵ月の予測指数については、予測指数の採用品目、調査対象は全体の生産指数より狭いので参考程度ですね。

 

鉱工業生産の見通しは楽観的に出てくる傾向があると言われています。

年初に出た数字は、年間で7割の確率で下方修正されています。

 

その他の経済指標

ここからは「その他の経済指標」という謎の分類で行きます。そこまで、重要性も高くないのですがたまに話題になるくらいの経済指標ってイメージです。

書き方も軽め行きます。

 

消費者動向調査

消費者動向調査は、消費者側から見た消費センチメントの調査です。

消費者態度指数という項目は、暮らし向き、収入の増え方、雇用環境、耐久消費財の買い時判断から構成される。


3ヵ月ごとに自己啓発、レジャーなどの支出予定も調査されており、これらの項目は余裕がある消費活動として注目されます。

景気ウォッチャー調査と近い性質の調査ですが、調査方法が幅広いので発表が遅く速報性は低くなります。しかし、8,400世帯と調査数が多いため、信頼できる調査です。

面白いのは、主要耐久消費財等の普及率、保有数量、買い換え状況がわかることです。

 

日本人は冷蔵庫を平均使用年数で10年、自動車は8年年使っているんだ~みたいなことが分かります。

 

国際収支統計

国際収支統計は、国と国との輸出入や資金の移動などが記録されたものです。

日本の居住者と非居住者間の取引を記録したものであり以下のように分類されます。

  • 財貨・サービス・所得の取引や経常移転を記録する経常収支
  • 生産資産(財貨、サービス)・金融資産以外の資産の取引や資本移転を記録す
    る資本移転等収支
  • 対外金融資産・負債の増減に関する取引を記録する金融収支


この統計のポイントは、経常収支が赤字になるかどうか、というところに注目が集まります。

経常赤字国の通貨は長期的には弱含むので、日本円の長期トレンドを決定する可能性があります。

 

景気動向指数

景気動向指数は一番最後に持ってきました。

なぜ最後に持ってきたかと言えば、景気動向指数が様々な経済指標を組み合わせて、景気の現状及び将来予測に使う指標だからです。

景気動向指数

いろいろな経済指標の組み合わせなので、速報性は全くないのですが、統計としてなめらかというかある種の信頼性があるので内閣府の基調判断に用いられます。

この指数の構成要素に、東証株価指数、日経商品指数、長期金利差、という金融市場で決まる数値が含まれている点には注意が必要です。

変な使い方をしてしまうと、株価で株価を占う、みたいなことにもなりかねません。

 

ふるさと納税で節税しましょ 会社員のレアな節税手段

ふるさと納税で不利な税制を緩和したい

会社員は本当に税金面で不利ですよね。所得の捕捉率を示す「トーゴーサン」なんて言葉もあるくらい(サラリーマンは所得の10割(基本全所得)を把握されて所得税を納めますが、自営業者は5割、農家は3割程度しか捕捉されていないことを示す)で不公平税制の商中央みたいになっています。

そこでその不利な税制に少しでも対抗すべく、会社員の節税手段ってことでふるさと納税を調べてみました。(この記事は2013年に書きましたが、情報が古くなっている部分のアップデートを2016年7月に行っています)

 

ふるさと納税とは

地方自治体に対し、個人が寄附を行ったときに、寄付額マイナス2,000円が所得税及び住民税から控除(税額控除、税金額が直接マウナスになる)される制度です。

寄付が全額控除されれば、寄付したん分だけ税金が安くなるっていうことで、プラス内ナスゼロになります。寄付(納税)したい自治体をただ選んだってことにすぎません。

 

しかし、実際の納税額が減るのは寄付金額に対して、2,000円を引いた部分です。

このマイナス2,000円は適用下限額といって、どうしても控除できない金額になっています。

より詳細な構造は以下のような3種類の税金から、寄付金額マイナス2,000円が減額されるってことですね。

ふるさと納税概念図

所得税・・・(ふるさと納税額-2,000円)を所得控除
個人住民税(基本分)・・・(ふるさと納税額-2,000円)×10%を税額控除
個人住民税(特例分)・・・(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税率(0~45%))

 

 

寄付額がそのまま控除されるわけではなく、▲2,000円となるため、一見損するように見えます。

ふるさと納税は特典付き。寄付額を簡単に回収だ

しかし、このマイナス2,000円(適用下限額)については、実際はあまり気にしなくて良いのです。

なぜなら多くの自治体が寄付を促すため、様々な特典を用意しています。

 

この特典が、▲2,000円を上回れば、得したってことになりますね。

 

ざっくり調べてみただけでも、

●茨城県石岡市では 10,000円の寄付で、お米10kg(ミルキークイーン)と卵30個

●愛知県小牧市 10,000円の寄付で、 小牧市産米(あいちのかおり)7kg

●インターネットを利用した1万円以上の寄付につき、「Tポイント」を2,000ポイント

なかなに米30kgなんて自治体もたって激しい(寄付)争奪戦が釣り広げられています。 

 

明らかに2,000円を上回る価値のものが数多くありますので、2,000円を回収するのは簡単そうです

 

複数のふるさとを指定すればさらにお得

さらに、複数の自治体に寄付することも可能です。

これによって、2,000円の回収はさらに簡単になります。ずっと都会育ちの人でも大丈夫、縁もゆかりもない自治体に対する寄付も、対象になります。

 

税金を多く払っている人は、分割して何箇所もの自治体に寄付して、たくさん特典をゲットできますね。

自分の支払っている所得税+住民税(の一部)が寄付できる予算のイメージですね。

 

寄付予算(支払っている税額)は家族構成等によって大きく変わるうえに計算方法が単純では無いため、どれくらい寄付できるか一概に言えないのですが、

総務省のHPの図表から加工した図を載せておきます。

ふるさと納税上限金額

総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について

ざっくりしたイメージですが、この表の金額を超えたお金を寄付しても税金の控除対象にならないので損をしてしまいます。寄付しすぎですね。

ふるさと納税ワンストップサービス 

ふるさと納税は基本的に確定申告が必要な仕組みだったのですが、現在では寄付対象の自治体が5つ以内なら確定申告は不要になっています。

これをふるさと納税ワンストップ特例と言います。

このふるさと納税ワンストップ特例制度の適用を受けるには、そのほかの確定申告をしないという条件が必要になります。

 

より正確には下記サイトなどでご確認ください。

税金控除額シミュレーター|ふるさと納税応援サイト

 

ふるさと納税って、本来、公が行うべき再配分を個人の手に委ねているところが、謎な制度ですが、利用できるものは利用するしかないですね。

会社員の方って基本節税手段がほとんどありませんので、こうした制度の歪み?でも利用したいところですね。

なお、デメリットは確定申告が必要になることです。ちょっと面倒ですね。

 

 

 確定申告の仕方はこちら