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インドルピーの特徴は非資源国。原油や金と逆に動くよ。

インドルピーについてのまとめ

南アジアの大国として成長著しいインドですが、その通貨ルピーは製造業基盤のもろさなどから盤石とはいえない値動きが続いてきました。

インド経済の大きな特徴はなんといっても、資源がないこと。

資源国としての特徴がある国は、オーストラリアドルカナダドルノルウェークローナなどがありますが、インドルピーはこれらの資源国通貨とは反対の特徴を持ちます。

 

旺盛な資源需要があるのに対して、製造業が弱くて外貨獲得の手段が少ないインドは、資源価格が上昇しすぎると、経常赤字に陥り易くて通貨が弱含むわけですね。

金とルピーの関係

旺盛な金需要

インド人は金が大好きです。昔から宝飾品として需要が高かった(古代インドは「金の雀」と呼ばれていた)ほか、縁起が良いものとして繁栄の象徴にもなっています。

そのため、成功者や娘の嫁入りなどで金をふんだんに購入するのです。

そして、金の持つ価値の保存性も高く評価されていて、昔から子孫に資産を引き継ぐ手段として重宝されてきました。

 

インドの宝飾品は、金の含有量がほとんどそのまま価格になります。日本などの先進国では、金などの含有量よりもブランド料や加工量の比重が高く、金の含有量の数倍で取引されることが普通です(インドでも加工量の上乗せはあるが数%程度)。

インドが金自体の価値を重視しているかがよくわかりますね。

 

さらに近年ではインドはインフレに悩まされており、金の対インフレ性もインド人の購入意欲を押し上げています。

金

金の輸入制限で経常収支が顕著に改善

インド経済の金需要の強さを考えると、インドルピーのリスクは金価格の高騰で経常収支が悪化し、インドからお金が流出するような環境であることが分かります。

2013 年に当時のバーナンキ議長が率いるFRB が資産買入れを減額する意向を示した俗にいうバーナンキショックが発生しました。

それが新興国の混乱をもたらすわけですが、新興国のなかでも最も苦しんだのがインドです。その最大の理由が、伝統的に金を好む傾向にあるインドで金輸入が急増し、国際収支の悪化させたことと、それに伴うルピー安が更なるインフレ不安につながったことです。インフレ不安は一層の金への需要を強める結果になり、際限のない悪循環を発生するのではとの不安が高まりました。

 

しかし、こうしたルピーの下落は2013 年秋には底入れします。

インド政府は国際収支を悪化させる主要因である金の輸入を制限し、強制的に国際収支を回復させる行動に出ました。これが好感され、インドルピーの価格下落は終わります。

原油とルピーの関係

原油も重要

インド経済のもう一つの重要な要素は原油です。

大国であり大量の原油を消費する割に埋蔵資源が少ないインドは、原油価格にも経済が左右させられます。

昨今の原油価格の下落インドは国際収支が改善しています。

シェール革命はインドにとっても好機か

米国のシェール革命で恩恵を受けるのはもちろんアメリカが中心なわけですが、シェールガスが原油価格を押し下げる働きをする以上は、原油の純輸入国全般の利益になります。

米国のシェールガスとの競合を意識した原油生産国が、原油価格の高値維持をあきらめました。産油国の採算ラインぎりぎりでの原油価格形成が続きそうで、インドにも追い風になりそうですね。

極端に安い原油価格が良いかと・・・

原油価格は安い方がインド経済には追い風です。それは間違いないのですが、極端に安い原油価格がインドルピーにとって良いかというと、それは微妙です。

なぜかというと、原油価格が極端に低いとき(例えば1バレル20ドル台)は、金融市場がリスク回避的になっているため、インドルピーのようなリスク資産にはお金が向かわないからです。

世界経済が不安定なときは、インドのような新興国にお金を置いておきたいって人は少なくて、先進国に置いておきたいって考える人が多いからですね。

インドルピーは中国の減速リスクを緩和する存在になるかも

原油安の要因は、米国のシェール革命だけではありません。

中国経済の減速で、中国が無尽蔵に石油を消費するって考え方に変化が出てきたことが大きいです。

中国経済が減速するのは、世界景気にとってマイナスですが、インド経済にとっては原油安を通じてプラスの面があることは面白いところ。

分散投資の一環として、インドルピーには投資価値があるかも知れないですね。

 

現在の安い原油価格が続くという環境なら、その環境に有利な国としてインドには注目したいです。

なお、中東のドバイには、原油安で潤ったインド人観光客が押し寄せて爆買いしているようです。

アラブ首長国連邦の通貨UAEディルハムの弱点は、ユーロ問題と共通か?(AEDJPY)

統合通貨の弱さとUAEディラハム

ユーロは1991年1月の利用開始以来しばらくはドルの代替通貨として堅調な展開が続いてきましたが、欧州債務危機以降は加盟国が集まって作った統合通貨としての弱点があらわになっています。

そんなユーロですが、世界にただ一つの統合通貨というわけではありません。

中東のアラブ首長国連邦(UAE)の通貨UAEディルハムもある意味では統合通貨なのです。

UAEとは

UEAはスポーツ面でたまに日本のライバルとして登場することがありますが、その他の部分ななじみがある人は少ないでしょう。

7つの首長国(首長とは部族長的イメージ)が集まってできた国ですが、アブダビ首長を大統領と仰いでおり、国として成立しています。なお、その他の構成国はドバイ、シャルジャ、アジュマン、ウムアルカイワイン、ラスアルハイマ、フジャイラとなっています。

原油の埋蔵量が世界5位と豊富なので、石油化学産業が盛んなのですが、(アブダビに次ぐ力を持つ)ドバイが金融や観光などにも力を入れて経済成長を進めています。

アラブの春でも安定

UAEはアラブの春では近隣国ほどの困難には直面せず安定を保つことができました。その理由は、UAEの人口の85%が海外からの移民であり、景気や雇用情勢の良し悪しを見ながら移民調整が行われていることです。

サウジアラビアのように若年層が増え続けている国は若者に職を用意する必要がありますが、UEAは景気が悪くなったら移民の受付を止めればいいので労働力のコントロールが容易なのです。 

UAEの歴史

1971年にUAE独立

1968 年に第二次世界大戦を経て財政上の余力がなくなった英国が、スエズ以東での撤退を宣言したことで、UAE など今の中東諸国の独立が進むことになります。

アラブ首長国連邦(UAE)の歴史は、1971 年に当初は6 首長国体制で成立し、72 年に現在の7 首長国体制となったことで始まります。

1973年にUAEディルハム導入

現在のUEAを構成する地域では、1900 年代中頃より、インドルピーがこの地域では流通していました。

同じ英国の植民地で、イギリスとの経済的な結びつきでインドルピーが採用されたようです。

1959年にはインドは国外のみで流通する湾岸ルピーを導入したが、1966 年に英ポンドでの湾岸ルピーの価値を切り下げます。

それを切っ掛けにルピー離れが進み、ドバイはカタールと共同でカタール・ドバイ・リアルを導入することになります。

 

アブダビを除く、UAE の首長国では1973 年のUAE ディルハムの導入まで、カタール・ドバイ・リアルが流通していた。

このときUAE最強国のアブダビは、バーレーン・ディナールを採用しました。

 

1971年にUAEは成立しているわけですが、統合通貨であるUAEディルハムが誕生するのは1973年です。

アブダビ首長を大統領とする(一応は)一つの国なのに、この辺りまでは各首長国で採用通貨が別なわけですね。 

ドバイショック

無理な不動産投資でドバイショック

そのドバイですが、アブダビに追い越せ追い抜けで無理な投資を続けた結果、2009年のドバイショックで試練にさらされます。

パーム・アイランドなど海上不動産開発というのは、多額の費用がかかる割に回収可能性が不透明な投資です。

ドバイのパームアイランド

その会場不動産開発を積極的に進めたナキールなどを傘下に持つ政府系持株会社ドバイ・ワールドが資金繰り難に陥りました。

海外からの資金流入に頼っていたドバイにとって、前年のリーマンショックで金融市場が冷え込んだのが痛手でした。

ドバイ・ワールドの資金繰り難は、政府系持株会社ドバイ・ワールドに最も貸し込んでいて融資残高の多い英系金融機関の信用不安につながり、世界的に金融市場が動揺することになります。

アブダビの支援で解決

ドバイショックを収束するため、UAEの中心首長国であるアブダビが支援に乗り出します。

UAE 中銀やアブダビ国立銀行がドバイを金融支援し、アブダビ首長国もドバイ首長国を救済する方針を示したことでドバイ危機は終息した。

ドバイ首長国としては、追い越したいと願っていたアブダビ首長国に救済されるという皮肉な結果になりました。

統合通貨の脆弱性

UAEでは連邦予算制を採用しており、各首長国の財政は統合されています。連邦予算の8 割を産油国であるアブダビが拠出し、1 割をドバイ、残り1 割を連邦政府の税収でまかないます。アブダビ、ドバイ以外の5 首長国の財政負担はゼロなわけですね。

実質はほぼアブダビが全体の費用を賄うことで連邦国家が形成されている国なのです。

 

だから、ドバイの政府系金融機関が危機に陥ったとき、ドバイ首長国としては単独でそれを救済することができませんでした。

そのため、ドバイショックは世界に広がることになります。

 

すなわちドバイショックとは、1強他弱の連邦国家による弊害とも言えそうです。

 

日本の金融機関が危機に陥れば、日本政府はそれが金融危機に繋がらないように必死になるでしょう。

それはアメリカでも一緒です。

普通は1国の信用力の範囲内でしか借金はできないので、国が本気を出せば1金融機関の問題位なら解決可能なのです(スイスみたいにGDPと金融機関の大きさのバランスがおかしいと無理なこともある)。

 

しかしUAE国内のドバイ首長国で起きた問題は、アブダビ首長国が支援に乗り出すまで解決しませんでした。

これは、ドバイがUAE(ある意味アブダビ)の看板を使って、自分の力以上の借金をしてしまったことに原因があると言えます。

 

こうした統合通貨の信用力を使って財政を膨らませて借金を作ったEUのギリシャなど南欧諸国の問題に近いものがあります。

ギリシャもユーロ導入前は高金利で資金調達するしかなく、過度の(借金での)消費は不可能でした。それがユーロが導入されるとドイツの低金利にさや寄せする動きになり低金利での借金が可能になります。

域内最強国のドイツの信用力を一部借りて資金調達できるようになったわけです。

なんとなく、ドバイ問題と似ていますね。

やはり、国の信用力とそれがもたらす金利と通貨の強さのバランスって統合通貨だと崩れやすくなるものかも知れないですね。

 

UAE ディルハム / 日本 円【AEDJPY】:外国為替 - Yahoo!ファイナンス

貿易赤字は円安要因?円相場と貿易・所得収支

貿易収支と為替の関係

貿易収支とは

貿易収支は2国間の物品の売買に伴う収支を指す。

モノと取引であって、金融などの所得の取引は除外される。

日本は自動車など工業製品を海外に輸出し、原油などの資源を輸入している。この輸入に関するお金の支払いは、基本的にドルで行っている。サウジアラビアの通貨であるリヤルを使うわけではないのだ。

そうすると、日本が輸入を増やせば、海外にドルの支払いが増えるのがわかる。

FX的にいうなら、円売りドル買いによって調達したドルを、海外に支払うことになる。

そうすると、

輸入を増やす=円安要因

輸入を減らす=円高要因

であることはわかる。

 

反対に輸出を増やしたらどうなるだろう。

輸出を増やせばドルを獲得することが出来る。その獲得したドルを日本企業は、円に換える。すなわちドル売り円買いが起きるのだ。そしてこれは、円高要因である。

輸出を増やす=円高要因

輸入を減らす=円安要因

整理すれば上記のようになることがわかるだろう。

 

ここで関係を貿易赤字・黒字を絡めて再度整理する。

輸入を増やす=貿易赤字要因=円安要因

輸入を減らす=貿易黒字要因=円高要因

輸出を増やす=貿易黒字要因=円高要因

輸入を減らす=貿易赤字要因=円安要因

 

こうしてみると、貿易赤字が円安要因に結び付くことが分かり易い。

 

しかしこれは、長期的な話だ。

貿易収支は為替の長期トレンドを決める

2011年の東日本大震災以降、日本はしばらく貿易赤字の期間が続いた。

千五兆期にわたり続いてきた貿易黒字傾向が反転したのだ。

原因は、急激に火力発電依存度を高めたことによる化石燃料の輸入増加やリーマンショック以降の円高による生産拠点の海外異動の効果が大きいとされている。

 

普通に考えれば、貿易赤字は円安要因である。貿易赤字とは、輸入金額(海外への料金の支払い)が輸出金額(海外からの料金の受け取り)を上回ったいる状態であるため、トータルでは円が海外に流出することになるからだ。

 

日本は東日本大震災の発生翌月、2011 年4 月から貿易赤字に陥っている。

一方で現実の為替市場は円高になった。

 FX-bouekiakaji

これは、リスク回避的な市場環境が、国内から海外への資金移動を抑制したことと、安全資産としての円買いが円高を招いたとされている。

当時の日本は国際的なサプライチェーンの中核として、他の国では大体不可能な製品(部品)を作っているとみられ、世界経済への影響も一部ではささやかれていた。

 

 

このように、貿易統計と円相場を関連付けようとする分析は、短期的には意味をなさないことも多い。

 

一方で長期的は、貿易収支と為替相場は相関がある。国対国の本質的な資金移動を貿易収支が指し示している部分があるからだ。

 

教科書でならうような話だが、ドル円相場は第2次大戦後1ドル360円の固定相場制だった。それが、1971年のスミソニアン協定より1ドル308円と円高方向への(固定相場制の中で)調整が図られ、1973年には変動相場制へと移行した。

以降、大きなトレンドとしては一貫して円高傾向にあるが、その主たる要因となっていたのは、日本の莫大な貿易黒字であり、米国の貿易赤字である。

 

投機のポジションは一定期間後には決済が必要になる。買った通貨は売らなければならないし、売った通貨は買い戻す必要がある。すなわち、一定期間で見れば為替市場に与える影響はニュートラルに近い。

 

一方で、貿易収支による売買は一方的だ。

日米間で日本の貿易黒字が続けば、資金は日本に流れ込み続ける。長期の方向性を規定するのは、貿易(所得)収支と言って良いだろう。

 

月次の貿易収支は、為替相場を見る上で重要か

ただし、月次で発表される貿易収支を見る際には注意が必要だ。

輸出業者は一般的に数カ月先まで為替ヘッジを行っている。

為替相場が動くと彼らは、外貨の受渡日を調整(リーズ・アンド・ラグズ)を行う。これは詳細に説明すると長くなるが、すでに保有しているポジションの(ヘッジ)量や期間を調整する行為に近いイメージだ。この行為の相場与える影響は大きいと言われている。

 

輸出業者(輸入業者と読み替えても同様)は、すでにドルを得てしまったから円に替える(ドル売り円買い)を行うという部分より、すでにドルを売っておりそれを相場の変動にあわせてポジション量などを調整している部分が大きいのだ。

だから、月次統計としての貿易収支と為替の売買フローは、短期的には必ずしも一致しない。

 

経常収支と円相場

貿易収支と為替市場の関係は述べた。

次は、経常収支と為替市場(円相場)の関係を見てみたい。

 

経常収支とは、上で述べた貿易収支に、「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」を合算して算出される。

なかでも金融マネーに関わる動きは、貿易収支より圧倒的に大きく、かつ機動的に動く。短期的に為替マーケットに大きな動きを与えるのは、貿易収支よりも(金融マネーフローを中心とした)所得収支に絡んだ動きと言えるだろう。

 

所得収支はその国に対する資金の流出入の総計に近く、為替市場の長期見通しに大きな影響を与える。

日本国債が、過剰債務によって暴落すると大昔から言われていても、一向に暴落しないのは、経常収支が黒字であることが原因である可能性が高い。

経常収支が黒字の国は、国内に資金が貯まっていく構造になるため、その国の機関投資家は増加する運用資金で国債を買うという投資行動を取りやすい。(最近は違うが)実際に日本も、海外勢が売ろうとする国債を、国内機関投資家が倍返しで買い続けることで、金利の低下が続いてきた(国債価格は上昇)。

所得収支黒字は続くが・・・

日本は人口が減少中、高すぎた円相場のせいもあり、日本企業の海外進出が続いている。それは製造業にとどまらず、金融や通信サービスなどさまざまな企業が対外直接投資を増やしている。

 

 これは、貿易収支が悪化する要因であった。

 

一方で経常収支は、海外進出企業の利益がもたらす所得収支の黒字という形で、直ちには減少しない。

貿易収支の悪化を所得収支の改善が補う形だ(いずれも経常収支の構成要素)。

 

さらに、豊富な資産を持つ日本企業や日本人が保有する外国証券からの利息・配当収入も所得収支の黒字に貢献している。

 

日本全体が働いて稼ぐ社会から貯めた資産で生活する社会に変容しているのだろう。まさに高齢化社会というやつだ。

 

所得収支の増加により、経常収支はしばらく黒字傾向を維持するだろう。

(これについては様々な意見があると思うが)ただし、長期的には経常収支の基礎を構成する貿易収支が赤字傾向である以上、いずれは所得収支も赤字基調に転落する可能性が高いと思われる。

歴史的に、一国レベルでは、資産が生み出す収益で豊かな生活ができるのは、限られた期間にとどまっている例がほとんどである。

 

為替市場の影響についてのまとめ

・貿易収支は一方方向の資金フローだから(金額は小さくても)為替市場に影響力を持っているよ。

・ただし、月次の貿易収支は、実際の為替フローとは一致しないよ(実際の実需の為替売買はヘッジ量の調整などの影響が大きいため、物の動きと一致しない)。

・経常収支はその国の資金の流出入の総計に近いから為替市場の長期展望を考える上では重要だよ。そして、今のところ日本は経常黒字基調だよ。

・でも、いずれは経常赤字になっちゃうかも知れないよ。

・(本文には書いてないけど)そのときは、本当の意味で日本の借金の多さを実感させられる展開になっちゃうかも知れないよ。

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外貨預金より有利と評判のSBIFXトレードのレバレッジ付き定期外貨取引。

レバレッジ付き定期外貨取引について

慢性的な低金利でお金の預け先に困っている人も多いかと思います。

これを機会に外貨預金で海外の金利で運用しようという人もいるかも知れません。

そういった方向けに、以下の記事で外貨預金とFXのレバレッジ1倍取引を比較した記事を書いたことがあります。

 

レバレッジ1倍のFX取引の基本から丁寧に解説しているので良かったら見てみてください。

 

読むのが面倒な方向けに簡単に結論を紹介しますと、「外貨預金やるくらいならレバレッジをかけないでFXで外貨を買った方が(ほとんどの場合で)有利」ってことです。

 

今回は外貨預金の代わりにFXを利用する仕組みとして便利なレバレッジ付き定期外貨取引をご紹介します。

 

SBIFXトレードのレバレッジ付き定期外貨取引の仕組み

自動的に外貨を購入

外貨預金は持っている円で外貨を買って、その外貨を預金することで海外の金利を得る仕組みです。

だったら、FXの仕組みを使って外貨を買っても同じではないかってコンセプトでできた商品が、レバレッジ付き定期外貨取引です。

 

定期外貨取引というだけあって、定期的に外貨を買い付けることが出来ます。

買い付けるタイミングは以下の3パターンに設定することが出来ます。

  • 毎日
  • 毎週
  • 毎月

こまめに外貨を買うことで、為替市場の変動を平準化して、高金利のメリットを享受しやすくしています(ドルコスト平均法的発想)。

選べる通貨は6種類

運用する対象として外貨を選ばなくてはなりませんが、SBIFXトレードのレバレッジ付き定期外貨取引では6種類の外貨を選ぶことが出来ます。

  • 米ドル(ある意味一番基本)
  • 英ポンド(今熱い)
  • 豪ドル(資源国で高金利)
  • NZドル(豪ドルより高金利)
  • 人民元(中国の経済成長に期待か)
  • 南アフリカランド(高金利だが・・・個人的にはあえて行く必要はないと思う)

レバレッジが使える

FXのレバレッジ1倍で外貨を買うのは、FXの安い手数料を活かして外貨預金より有利に外貨を買おうって発想。

さらにFXの特徴であるレバレッジを活かして外貨を買うことが出来る仕組みにしたのが、レバレッジ付き定期外貨取引です。

選べるレバレッジは以下の3パターンです。

  • レバレッジ1倍(外貨預金と同じリスク、同じ金利)
  • レバレッジ2倍(外貨預金の2倍のリスク、2倍の金利)
  • レバレッジ3倍(外貨預金の3倍のリスク、3倍の金利)

レバレッジを掛けることで、資金効率が上がって金利は多く得られるようになります。

一方で値下がりリスクもレバレッジ分だけ上昇して、2倍のレバレッジなら為替レートが10%下が(円高になる)れば20%の損失になります。

レバレッジ付き定期外貨取引の購入画面

定期外貨取引の画面表示(操作法)

下に、実際のSBIFXトレードの画面を使って、一か月5万ドルの預金を毎週買うって取引内容を入力してみました。

レバレッジ付き定期外貨取引の選択画面

 

画面上部で通貨を選択する箇所があり、ここでは一番左の米ドルを選んでいます。

 

画面中段の左には、一か月で購入したい外貨額入力する欄があります。

ここでは500米ドル、約5万円を毎月購入する設定にしました。

 

画面中段の右にはレバレッジを設定する箇所があり、ここでは2倍に設定しています。

その下には、購入タイミングの入力欄があり、毎週を選択しています。

以上の内容を入力すると、下記の表示が出ます。

 

レバレッジ付き定期外貨取引の取引ルール画面

 

直観的に操作出来て、分かり易く作られていると思います。

1か月に購入するのが約5万円分の米ドルなのに、1か月に必要なお金が約2.6万円になっていますね。これがレバレッジの効果です。

レバレッジ付き定期外貨取引のメリット

1ドルから分割購入が可能

レバレッジ付き定期外貨取引は分割購入が可能ですが、購入単位はなんと1ドルからと非常に少額から始められます。

一般的に外貨預金は1取引10万円程度は必要であるため、かなり細かく売買できるところがうれしいですね。

 

自動購入は手間いらず

細かく売買できても普通のFX取引のように手動で注文を出すのでは少し面倒です。

その点、レバレッジ付き定期外貨取引は、初めに月単位の購入金額や売買タイミング、レバレッジを設定すれば後は自動で外貨を買い増していってくれるので、非常に楽です。

金利狙いの取引の場合、手間をかけて売買タイミングを計る、みたいな面倒なことはしたくないのですよね。

本業が忙しい人や余暇にわざわざ投資の時価を作りたくない人も多いかと思います。

手間がかからないっていうのは、実際に資産運用を始めてみると実に大きなメリットになると思います。

 

「レート固定」機能

「レート固定」機能とは、手動で購入を行う場合やすでに購入した外貨を売却する場合に、一定時間為替レートを固定して売買させてくれる機能です。

買った外貨は、いずれは売却することで決済するわけですが、その際に一定時間レートを固定した状態で売買させてくれます。

もちろん為替市場は値動きするものなので、「レート固定」が出来る時間は限られています。しかし、自分に不利な値動きを回避できる可能性があることは大きなメリットと言えます。ただし、1注文当たりの数量制限があり50万通貨単位(ドル円なら5,000万円相当)となっています。


申告分離課税が適用

外貨預金の収益は、所得税法上の雑所得となり、給与などの他の所得と合算されて課税されます。そのため、収入がある人ほど高い税率が適用されます。

一方で、レバレッジ付き定期外貨取引は、FX取引と同様の税法が適用されるため、申告分離課税の対象となりほかの所得から切り離されます。

現役で仕事をしている人には、こちらの申告分離課税の方が有利になることが多いので、税法的にもメリットがあると言えます。



コストが安い

レバレッジ付き定期外貨取引はFXの仕組みを使っているため、外貨預金よりもコストがかなり割安です。

外貨預金の場合、ドル円で預金したとして往復で1円(1%)程度の手数料が取られることが多いですが、レバレッジ付き定期外貨取引は往復で0.1円程度で済みます。

手数料が約十倍違うのは大きなメリットですね。

デメリットもある

コストについては普通のFX取引には負ける

外貨預金と比べらたメリットしかないレバレッジ付き定期外貨取引ですが、普通のFX取引と比べるとデメリットもあります。

それはコストが高いこと。

さきほど、ドル円の売買コストが往復で0.1円と言いましたが、通常のFXなら0.0054円と約半額になります(SBIFXトレードはドル円のスプレッドが最狭であることも影響しています)。

レバレッジ付き定期外貨取引は自動売買でかなり細かく売買する仕組みを提供しているので、売買コストでは通常のFX取引には及ばないのです。

 

とはいえ、外貨の高い金利と比べたら無視できる程度なので、レバレッジ付き定期外貨取引は使いやすい仕組みだとは思います。

 

SBI FX TRADE レバレッジ付き定期外貨取引を始める

 

SBIFXの評価について書きました。

キャリートレードを理解すればわかる。安定した金利収入を狙うトレード方法。

キャリートレードの仕組みを知ろう

FX市場で行われているキャリートレードについて超基礎から説明してみます。

日本人が高金利の外貨買いを行うことは、しばしば初心者っぽいトレードアイディアとして批判的にみられることも多いです。しかし、低金利の日本円を利用して高金利の外貨を調達する取引は、ヘッジファンドも行っており、為替市場において一般的な戦略の一つです。

キャリートレードの仕組みと特徴を説明することで、

・なぜ高金利通貨買いが批判的にみられるようになったのか?

・高金利通貨を買う場合は何に気を付けるべきか

を説明してます。

なお、キャリートレード的な高金利通貨買いには金利平価説を根拠にした批判もあるかも知れないので、最後に余談としてそこにも言及しました。

目次

金利差がある2地域があった場合、あなたはどうする?

ある地域では、金利1%でお金の貸し借りが行われていて、別の地域では金利5%でお金の貸し借りが行われていたとします。

例えば、

千葉県では金利1%

神奈川県では金利5%

だとします。

この目端の利く人なら、「千葉県で限界まで借りて、そのお金を神奈川県で貸し出す」ってことをやると思います。

それだけで、5%(貸出金利)ー1%(調達金利)=4%(金利差)で4%の利益が得られるわけですから。

 

日本国内で県ごとに金利が違った場合

実際は日本国内では地域ごとの金利差がないため、上記のような収益機会はありません。

FX市場におけるキャリートレード

しかし為替市場では国を跨ぐことで、上記のような収益機会が生まれます。

金利の違う2か国があったら、どうでしょうか?

 

豪州の金利が3%(金利水準は実際と異なる)

日本の金利が0.5%(金利水準は実際と異なる)

 

日本で0.5%でお金を借りて、豪州で3%で貸し付けることができれば

3%(豪州での貸出金利)-0.5%(日本での借り入れ金利)=2.5%

の利ザヤが得られますね。

これがスワップポイントです(厳密には金利差だけでなくフォワード金利市場の需給も影響しますが、FX初心者の方は考える必要はないでしょう)

スワップ金利のイメージ

スワップポイントはキャリートレードによる収益源ですね。

 

スワップポイントと外債の金利との違いについては以下の記事を参照してください。

円キャリートレード

上記のようなトレードは、円で資金を調達して、高金利の外貨で運用するって意味で、円キャリートレードと呼ばれます。

日本は長期的に低金利通貨になっていたので1990年代からこの日本円の低金利性を利用したキャリートレードに収益機会があると睨んだヘッジファンドが、継続的に円キャリーを行ってきたと言われています。

それが個人投資家にまで広がったのが2000年代です。FX業者が成長し、証拠金取引が個人投資家にまで一般的に行われるようになってきたことで、キャリートレードは一般的なものになっていきます。

ドルキャリー・スイスフランキャリーもある

なお、リーマンショックに端を発する金融危機以降は、米国の量的緩和政策でドルの金利が急低下したため、ドルキャリー取引も頻繁に行われました。流動性が高くて調達しやすいドルが低金利なっていれば、キャリートレードの大チャンスだったわけですね。

また、スイスフランは主要通貨中最も低金利(超マイナス金利)であるので、これまたキャリートレードに大人気です。

東欧の人は、スイスフラン建てで借り入れて家を買うっていう、実物資産を使ったキャリートレード(的なもの)を行っています。

低金利でお金を調達し、必要なものを買う(高金利通貨だけでなく、家だったり、その他の株式などの金融資産を買う)っていうのが広い意味のキャリートレードにあたります。

キャリートレードはプロアマ問わず一般的

キャリートレードとはFX市場における主要な利益獲得手段の一つです。

それは、安い金利で調達して高い金利で貸し出すことは、安いものを買って高いものを売るようなもので、金融取引のある種の本質だからです。

 

高金利通貨を買う(日本円を売る)って金利を稼ぐっていうシンプルな投資方法は、個人投資家の好む投資手法として有名ですが、ヘッジファンドに代表される多くのプロフェッショナルな投資家にも用いられています。

キャリー収益っていうのは、為替だけに限らず商品先もだったり、債権だったり様々なものに存在しますが、持っていれば儲かる収益=時間を味方にできる収益っていう意味で愛好者は多いのです。

 

そのため、下の記事で解説したように、金利を上昇させた通貨は買わせる傾向があります。

高金利通貨を買う場合、高レバレッジをかけてはいけない理由

キャリートレードはヘッジファンドの主要な収益源の一つになるくらい一般的な取引手法です。

日本人が高金利の豪ドルNZドルを買うことは、円キャリートレードを行っていることを同様です。

しかし、こうしたシンプルな高金利通貨買いは初心者的な取引として批判されることが多い印象を受けます。典型的なミセスワタナベの取引手法とみなされがちです。

なぜ、熟練の投資家(が多い)であるヘッジファンドと同じ手法を採っているのに、個人投資家が同じことをやると馬鹿にされるのでしょうか?

 

それはリーマンショック時の経験が影響しています。

危機時の高金利通貨の急落 

豪ドル円の長期チャート

上のチャートは豪ドル円の長期チャートです。

黒く丸で囲んだ部分がリーマンショックとその後の金融危機の時期です。豪ドルが大幅に値下がりしているのがわかると思います。

 

当時の日本人のFX投資家が多く行っていた取引が、 レバレッジをかけた豪ドル買いです。5%の金利に20倍のレバレッジをかけて年間100%の金利収入(スワップポイント)を得るという取引が雑誌に載るくらい一般的に行われていました。

 

しかし、20倍のレバレッジということは、5%の値下がりで、元本(証拠金)がすべて吹き飛ぶ計算です。これが10倍のレバレッジだったとしても10%の値下がりで、すべての元本を失うことになります。

 

上のチャートを見て貰えばわかるように、リーマンショック時には30%以上の下落が起きているので、高レバレッジをかけて豪ドルを買っていたFX投資家はすべて吹き飛ぶことになりました。

これが、スワップポイント狙いの高金利通貨買いが嫌われることになった理由のひとつです。

 

高金利通貨の特質

豪ドルをはじめとする高金利通貨は、経常赤字国であることが多いです。そのため、国内のお金が不足しがちで、金利を高くすることによって海外からお金を呼び込もうとします。

こうした性質から、世の中がうまく回っているとき、世界経済が順調なときは高金利通貨は値上がりします。

世界が安全なら、高金利を享受した方が得なので、世界中の投資家が高金利通貨を買うからです。

 

一方でリーマンショックの時のように世界が不安定になったらどうでしょうか?

世界中の投資家は、安全な自国に資金を戻したいと考えます(海外に資金を置いておくだけで決済リスクなどが生じる)。

また、高金利な国は経常赤字国と説明しましたが、経常赤字国は海外から資金調達を頼っているため、金融システムが不安定なときは資金調達リスクが顕在化しやすいのです。そんな国には、投資家はお金を置いておきたいとは思いません。

こうした理由から、世界が不安定なときは高金利通貨は値下がりします。

 

これらをまとめてリスクオン(投資家がリスクを取って勝負したい気分のとき)時の高金利通貨買い、リスクオフ(投資家がリスクを恐れて勝負したくないとき)時の高金利通貨売りと呼ばれます。

 

金利平価説に基づいた批判

余談です(ちょっと難しめなので、この記事を読んで疑問を持った人以外は読まなくて良いかと思います)。

この内容を記事にしようと思ったとき、ちょっと躊躇したのは「高金利通貨は高金利な分だけ減価(値下がり)するからスワップポイント(金利収入)は超過収益にならない」って批判してくる人がいる気がしたからです。

この批判はある意味妥当なのですが、それが成り立つのは金利平価説が成立している世界だけです。

しかし、実際の世界では金融資産にはリスクプレミアムが存在するため、金利平価説は成立しにくいです。そしてリスクプレミアムは、多くの場合、ボラティリティの高い高金利通貨のパフォーマンスを押し上げる方向に作用します。

だから世界中の投資家は、当然、金利平価説を知っているわけですが、それでもキャリートレードを行うのです。

 

高金利買いのトレード成功させるには

高金利の通貨を買い持ちすることは、安定してスワップポイントが得られるトレードです。

しかし、高金利通貨はボラテリティが高い(値動きが激しい)。

そのため、高金利通貨買いのトレードを成功させるには以下の条件が必要です。

・レバレッジをかけ過ぎない(スウィングトレード以上の保有期間で勝負するならレバレッジは3倍以下が望ましい)

・リスクイベントが少ない時期にトレードする。

 

これらを守れば、高金利通貨買いは悪くない取引だと思います。

 

どういった通貨がキャリートレードで買われるか(また、売られるか)は、通貨別の特徴をまとめた記事をご参照ください。