FXで知っておきたい、金利と為替の関係 2014年9月
米短期金利の動きが鈍いことが話題に
為替市場と金利市場は非常に密接に関わっていることが知られています(よく言われる米金利と日本の株価の相関についても、結局は為替市場を介してのつながりなんですよね~)。
最近、米FOMC、スコットランドの独立投票とイベントを経て、為替市場が大きく動いています。方向感としては、ほぼ全通貨に対して円安の展開。
当然ドル円も大きく円安ドル高に傾いているのですが、その大幅なドル高に比べて米金利の上昇(日米金利差の拡大)幅が小さいことが話題になっています。
日米2年金利差とドル円の関係
チャートにするとこうなっています。
先日のFOMCで大きな注目点とされていた「かなりの期間(considerable time)」という文言は引き続き残りました。前回のFOMC会合(7 月末)と全く同様に、「FOMC は引き続き、こうした諸要因に関する評価に基づくと、特に、インフレの予想がFOMC の長期目標である2%を下回り続け、より長期のインフレ期待が引き続き、アンカーされているのであれば、資産買入れプログラムが終わった後もかなりの期間、現在のFF レート目標レンジを維持することが適切である可能性が高いと予想している」という表現が使用されました。
しかし、FOMC参加者による将来の政策金利推移予想が上振れしたことで、そのことに注目に集中。利上げ開始のタイミングが少しずつだが着実に接近していること市場参加者に意識させる展開になりました。
なお、この決定にはダラス連銀のフィッシャー総裁とフィラデルフィア連銀のブロッサー総裁が反対票を投じています。両氏のスタンスは以下のエントリーをご参照ください(見るのが面倒な人のために書いておきますと、両氏ともタカ派(金利引き上げ志向)です)。
もともと今年のテーマはドル買い、しかし全体のポジションがかぶりすぎているのかそれが報われない状況が続いていました。しかし、今回のFOMCでタカ派的な内容が含まれていたため、手ぐすね引いて待っていたドル高支持派が一気に買いに来た印象で、ドル円はちょっと止まらない感じになってました。
ただ、短期金利と比較してみると、ちょっと先走っている印象です。短期金利差もじわじわ広がっているものの、ドル円の動きはオーバーシュートしているように見えます。
急ピッチな上昇に警戒感も出てきそうですね~(ただ、足下の変化に比べて金利の動きが鈍いようにも見えるので、金利上昇で調整されるかもw)
以下、ポンドとユーロについても少し書いておきます。
日本とイギリス金利差とポンド円の関係
主要国中もっとも金利引き上げが早期に行われるとみられるイギリスは、短期金利が上昇中(一方でまだ長期金利までには波及していない)。
スコットランドの問題もあり直近では乱高下しましたが、ある程度の期間で見ると強い動きですね~。下がったら買いたい通貨、になっていることがうかがわれます。
日本とドイツの金利差とユーロ円の関係
ECBの追加緩和策などもあり、金利低下が続くユーロ圏。特に指標となるドイツの金利低下は強烈で、短期金利はマイナス圏で推移することが多くなっています。
ただ、最近は行きすぎた金利低下の反動とウクライナ情勢の落ち着きなどもあり、短期金利が反転してます。ユーロも一旦下げ止まりの動き。
でも金利政策の方向性がアメリカやイギリスと正反対なので、ユーロが根本的な弱さを抱えている状態は続いているとは思っていますけど・・・。
追記
2015年12月、米国がついに金融危機以降最初の利上げ利上げを行いました。その後の為替と金利の値動きは、金利低下、ドル安となっており、連動性は保たれています。
なお、利上げが金利の低下につながったのは、教科書的な値動きとな反対ですが、すでにポジションが溜まっていたことの裏返しですね。