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為替レートの種類を図解。インターバンクと顧客向けレート(TTM、TTS、TTB)の違い



為替レートは2種類に大別できる

為替とは、株のように取り引きが集中する取引所があるわけではありません。相対での取引が原則(くりっく360のような取引所もあるが例外的存在)ですので、為替レートといっても複数の種類があります。

大別すると、銀行間の取引レート(インターバンクレート)と顧客向けレート(カスタマーズレート)の2種類に分かれます。

後者の顧客向けレートは、さらに4種類に分かれるので、今回はそのあたりをまとめてみます。

為替レートの全体図

為替レートの全体図は以下のようになります。

為替レートの図解

 

為替レートが、銀行間の取引レート(インターバンクレート)と顧客向けレート(カスタマーズレート)に分かれています。

この分け方は、取引に参加している主体別に見た分け方です。

銀行間の取引レート(インターバンクレート)は銀行間の取引によって形成されているレートです。もう一つは、銀行が一般企業や個人が銀行と取引する際に適用するレートで「カスタマーズ・レート」(対顧客向けレート)といわれるものです。

 

そのうち顧客向けレート(カスタマーレート)がTTM(仲値)、TTS(対顧客電信売相場)、TTB(対顧客電信買相場)の3つに分かれています。

以下、それぞれについて説明します。

インターバンク・レート(銀行間取引のレート)とは

為替(FX)とは銀行間の取引によって市場が形成されている世界です。

その銀行間の取引市場(インターバンク市場)で決まった為替レート(為替の交換比率、価格)が、インターバンクレートと呼ばれるものです。

上の図でいうところの、黄緑色の箇所ですね。

通常、「円高になった」「円安になった」みたいな話は、このインターバンクレートの動きについて報じられています。

 

なお、インターバンクとは文字通り銀行間なので、そのレートは複数あることになります。インターバンク市場では、複数の銀行が、同時並行的に売買を行っているからです。そうした、複数の価格の中から最も効率的(買い手にとっては安く買える、売り手にとっては高く売れる)レートを抜き出して、インターバンク・レートとして情報端末等に表示されます。

 

余談ですが、銀行間レートというくらいなので本来は銀行のみが取引に参加していたのですが、現在では大手の保険会社や証券会社も参加しています(中堅中小の保険会社、証券会社は普通参加しない)。これは外為法が改正によって本来銀行が独占していた取引に、大手の保険会社等が参加できるように規制が緩和されたためです。

インターバンクレートは、通常最も有利なレートなので、ここに参加できる機関投資家は、コスト面で有利に為替取引ができるわけですね。

 

カスタマーズ・レート(対顧客向けのレート)とは

カスタマーズ・レートとは、カスタマー向けってことです。このカスタマー(顧客)っていうのは、銀行の顧客を指します。

銀行同士はインターバンク・レート、銀行と顧客間の取引はカスタマーズ・レートってことですね。

外国為替市場において、中心的なプレーヤーは銀行です。しかし為替とはそもそも実需取引から発生したものなので、銀行以外にも多数の参加者が参加しています。より具体的には、日銀などの中央銀行、旅行目的などで為替を調達したい個人、輸出入に絡んで為替が必要な事業法人、投資(投機)目的のヘッジファンドなどが参加しています。

 

しかし、銀行以外のこれらの参加者は、全員が為替の中心的な取引市場であるインターバンク市場で直接取引ができるわけではありません。

インターバンク市場に参加できるのは銀行・為替ブローカー・中央銀行などです。大量に為替取引を行う参加者ですね。

一方で限定的にしかFX(為替)取引が必要でない個人投資家や事業法人、機関投資家(一部生保はインターバンク市場に参加している)、ヘッジファンド等は銀行を通じて取引を行う対顧客市場への参加者という事になります。

銀行は顧客から注文があった場合、インターバンク市場で調達して、顧客に提供するって構図になります。そのため、カスタマーズレートとは、インターバンク市場に準じて決まっており、顧客から見て多少不利な方向にインターバンクレートからかい離したレートとなっています。

その顧客にとって不利なかい離が、銀行の利幅になるイメージですね。

カスタマーズ・レート

カスタマーズレートは大きく分けて2種類

カスタマーズレートは、法人向けと個人向けといった2種類に大別できます。

レートの全体図を再掲します。

 

為替レートの図の再掲

黄色部分が法人向け、個人向けは点線で囲ったなかに、TTS、TTM(仲値)、TTBに分かれています。個人向けがさらに3種類に分かれているって意味です。 

以下に、それぞれの為替レートの意味をまとめます。

法人(企業)向けの取引レート

法人は、大きな輸出(輸入)企業や海外に投資をする機関投資家など、個人とは比較にならない量の為替取引を行います。そのため、個人とは別の為替レートが適用されます。

法人(企業)取引レートは、企業と銀行がそれぞれの力関係をもとに手数料を決めています。銀行にとって重要な顧客ほど手数料が安くなるわけですね。

法人取引レートは、この定めた手数料をインターバングーレートに上乗せした値になります。手数料が極端に安い企業は、ほぼインターバンク・レートで取引できるわけですね。

 

個人向けの取引レート

仲値(TTM)

個人向けの取引レートは、毎日午前9時55分のインターバンク・レートを基準にして、それぞれの銀行が基準レートを決定します。この基準となる為替レートを「仲値なかね)」TTM)と呼びます。

TTS (対顧客電信売相場)

顧客が、銀行で外貨を買いたいときに適用されるレートです。顧客が買うってことは銀行は売るってことなので、TTS (対顧客電信相場)ってわけですね

TTSはTTM(仲値)に、各銀行が決めたコストが上乗せされて決定します。

TTB(対顧客電信買相場)

今度は反対に顧客が、銀行で外貨を売って円に交換する際に適用されるレートです。こちらも銀行側から見れば、外貨を買う事になるので、対顧客電信相場とよばれるわけですね。TTMから、各銀行が決めたコストを差し引く事になります。

 

TTM、TTS、TTBは基本的には一日中同じレート

TTSもTTMも仲値(TTM)を基準に決まっているわけですが、基本的に朝TTMが決定してからは、TTS、TTBともに動きません。

個人が少額の外貨取引を行う際、銀行はいちいちインターバンクのレートを織り込む(インターバンクに外貨を調達に行く)のが面倒なので、あらかじめ定めたレートで一日取引しようってことですね。

だから、TTMからTTS、TTMを決定する際には、銀行の利益に加えて為替の変動部分も吸収できるように十分なレート差が乗っています。これによって銀行は為替変動があっても、一日中同じレートで取引できるわけです。

TTMとして最もメジャーな三菱東京UFJ銀行の場合、TTS、TTBはそれぞれドル円で1円分の値幅が乗っています。

ドル円TTMが100円の場合、TTSは101円、TTBは99円ってことですね。

 

顧客から見たら不利な話ですが・・・

 

なお、この一日中同じレートを適用するってやり方は便利な反面、(インターバンクで)為替の変動が急激に起きた場合、困ったことが想定されます。上の例で行けばドル円が90円になってしまった、みたいなケースがあった場合を考えます。

 

ドル円の市場価格(インターバンク・レート)は108円、でも顧客にはTTSである101円で売らなければならないってことになると銀行は際限のない損失を被る可能性があります。こんなおいしい機会があったら、みんな借金しまくって101円でドルを買えば儲かる(可能性が極めて高い)わけですからね。

 

ですので、そうした急激な為替レートの変動があった場合は、ttm等は修正されることになります。TTMとTTS,TTBの間には通貨ペアごとに決まった率のかい離(銀行の儲け幅)があるわけですが、これを実際の為替変動が突き破ってしまうようなケースでは、TTMがその時のレートに合わせて修正されます。同時にTTS,TTBもそれに合わせて修正されるので、為替の急激な変動にも銀行は対応できます。

なかなか銀行は損しないようにできているものです。(手数料ビジネスだから当たり前なのですが)

 

 

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